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阿佐ヶ谷芸術高校映像科へようこそ

3年ぐらい前の話。

おれは当時日銭を稼がなければという動機で始めたバイトを辞めて、デザイン系の仕事行きたいなと思って就職活動をしていたら採ってくれる会社があってそこで働いていた。

希望はグラフィックデザインだったのだが、映像制作の部署に回され「わっかんねぇな」とか思いながらAdobe premireを毎日触ってた。

「折角だからプライベートでも映像作りたいな」と思って毎日通勤の際にiphoneで素材を集めていた。

一本映像が出来た。envyの君の靴と未来に入ってるポエトリーとking brothersのXXXXXを使ってその上に自分で撮影した素材を乗っけるといった内容のビデオで始めて自分で映像が作れた時は「あ、やってみたらできんじゃん」と口に出した事を覚えている。

そんな日々を過ごしていたのだが、ある日コンビニでジャンプでも読むかと思って「あ、読切あるじゃん。映像作家の話?珍しいな...」と思って読んでたら読み終わった直後に買うつもりもなかったジャンプをレジに持って行ってた

阿佐ヶ谷芸術高校映像科へようこそはアクタージュ にも登場する柊木雪の前日譚である。

おれが感銘を受けたセリフを抜粋する

「元より人は一人じゃない だから誰かに媚びる必要もない 共感はさせるものではなくすでにあるものです どうせ私に似た感性の者には必ず届く 理解されたい 共感されたい その思いで自分を誤魔化し始めたら 人生に意味はなくなります」

「そんなことより良かったなお前 あそこで思わず手が出ちまう それがお前という人間だ 自分は何で怒り悲しみ笑うのかもっと知れ 追求しろ 自分を殺すな それが人生だ」

「柊の処女作を観終えた訳だが...ドキュメンタリーにしちゃシーンが少なすぎる バックグラウンドがわかりにくい カメラもぶれぶれだ 本人なんて自分から観せておいて赤くなってる始末だ とんだ変態女子高生だな 柊、お前の処女作は独りよがりで説明不足 他人様に観せるには傲慢とも言える代物だ またいつものごめんなさいか?」
「謝ることは...してないです」
「監督の切実さしか伝わってこねえ それ以外は意味不明 それでも誰かに観て欲しい お前らよく覚えとけ これを映画という そして自分の映画を誰かに観せた人間が自ら映画監督を名乗る覚悟を持ったとき映画監督は生まれる」

俺はそれからストロベリーショートケイクスというユニットの映像制作に携わり、girlscomic syndromeを再開させるんだけどこの言葉たちは肝に命じてる。

共感や理解を狙いにいくのではなく拙くとも自分の感情を正直にしっかりと作品に込めようと今でも思っている。

この作品は俺にとって最早教科書だ。

アクタージュの最終巻に掲載されるのかなと思ってアクタージュをそれから集めていたんだけど、どうやらそれは今後なさそうで本当に残念である。

だけど俺の本棚にこの作品が掲載された2017年9号のジャンプはずっと残り続けるだろう


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