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ungulates メールインタビュー


コロナ禍にも関わらず続々と良質な若手バンドが現れ続けている印象の国内エモシーン。
(つい最近も、7th Jet Balloonというバンドが、かっこよかった!)
その中でも一際存在感を放つのが、くだらない1日やANORAK!といったバンドたち。
そしてそれらのバンドがリリースしている、国内次世代エモの震源地とでも言うべきレーベルがungulatesです。
今回はungulatesのレーベルオーナーの中川 航くんにメールインタビューをさせて頂きました。

インタビューしてみて印象的だったのは、真摯で丁寧な回答。そして、質問のひとつ「影響を受けたレーベルは?」との問いにたくさんの偉大な先輩たちの名前を挙げてくれたこと!
ungulatesもパンク、エモシーンの尊敬すべき先輩たちが築いてきた大いなる流れの中にある信頼出来るレーベルだと思いました。
これからもきっと、ルーツを踏まえたうえで独自性を持った、魅力的なバンドをリリースしてくれるはず!



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カバー写真:稲垣ルリコ
インタビュアー 植野秀章(HOLIDAY! RECORDS)




ーーよろしくお願いします!まずは簡単に自己紹介をお願いします。


よろしくお願いします!
中川 航 (なかがわ こう) 29歳になったばかりです。

ーーさっそくですが、ungulatesのレーベルオーナーのコウくんはバンドマンでもあります。様々なバンドを兼任してますよね?
この機会に参加バンドを全て教えてください。


ドラマーとして活動していて、現在メンバーとして参加しているのが
sans visage, AGATHA, Shapeshifter, POINT HOPE, くだらない1日, 
as a sketch pad, Birth Reversalで、
またサポートとしてHOLLOW SUNS, Curve, Awesome &roid, とがるに参加しています。

これまでにクレイマン・クレイマン, Local Blue Sheeps, lawrence,
プラグラムハッチ, ヘンレの罠といったバンドで活動するほか、
ANORAK!, either, loqto, iida Reo, The Chimney Sweeper, flamingo,
よしだそういちろうぐるーぷ, イロメガネ, 相澤瞬, ニュー昭和万博, ユームラウト, 夕雲といったバンドやアーティストのサポートをしてきました。

FRIENDSHIPの2020年3月のUKツアーをサポートする予定もありましたが、
コロナウイルス蔓延により出発直前にキャンセルとなってしまいました。




ーーなるほど。思ったよりも、めちゃくちゃ多かったです、、!笑
では、レーベルの事を聞いていきますね。
2013年の自身のバンド クレイマン・クレイマンのリリースが第一弾リリースですよね?
その後2020年からレーベルの動きが活発になり、精力的にリリースが続いています。
これは何かきっかけがあったのでしょうか?


2020年は上半期だけでもsans visageのヨーロッパツアー、
くだらない1日のアジアツアー、サポートでFRIENDSHIPのUKツアーと、
海外ツアーの予定が結構決まっていたので、各地でディストロとして音源を仕入れてこようと思っていたんですが、コロナウイルスによって予定が全てなくなってしまいました。
これから何をしようかなと思ったタイミングで、
東京に遊びに来ていたWorst Party Everのアンディとバンドをやろうという話になり、くだらない1日の高値くんと友達のクリスと一緒に、as a sketch padとして活動を始めました。
音源をどう出そうかなと思ったタイミングで、ungulates名義でデジタルリリースすることに決めました。
コロナ禍でツアーやライブ活動が思うようにできない中で、
音源がこれまで以上に意味を持つようになると思っていたので、すぐにリリースできてよかったと思っています。




ーーなるほど、コロナ流行で予定が無くなったことが音源リリースの活発化に繋がったんですね。

それではungulatesの音楽的なルーツを教えてください。
所属バンドsans visageのインタビューではtoeやenvy、残響レコードが音楽的なルーツだと語っていました。
レーベルとして参考にしているレーベルや、シンパシーを感じるレーベルがあれば国内外を問わず教えてください。


国内だと、COSMICNOTEにはレーベルとしてもブッキングエージェントとしてもかなり影響を受けています。
stiffslackICE GRILLSのおかげで出会えた音楽やライブを見ることができた海外バンドがたくさんあるのでとてもリスペクトしています。
Like a Fool Recordsはレーベルとしてもレコードショップ/立ち飲み屋という場所としてもすごく理想的だと思っています。
Long Legs Long Armsの一貫したスタンスにも影響を受けていますし、
further platonicImpulse Records, Friend of Mine等々、上げていくとキリがありませんが、
DIYシーンの中でもそれぞれのレーベルカラーを色濃く感じるレーベルの活動を参考にしています。

ーーなるほど、パンク、エモシーンの偉大な先輩たちがしてきた活動があってungulatesが存在しているんですね。
海外だと、どうですか?


国外だとUK/ヨーロッパで世界中のDIYバンドをリリースし続けている
Dog Knights Productionsに影響を受けていて、
sans visageのLPもここからリリースしています。
2019年にレーベルオーナーのDarrenが来日した時には一緒に飲みに行ったりして嬉しい時間を過ごせました。
2020年夏にやる予定だったsans visageとInfant Island (USA)のヨーロッパツアーでは彼がアテンドしてくれる予定ですごく楽しみにしていたので
来年こそは実現させたいです。

マレーシアのUtarid Tapesも2003年からカセットリリースにこだわり続けているレーベルで、
アジアのバンドを中心に世界中の音源をリリースしていてsans visageのカセットをリリースしてくれています。
Utarid Tapesリリースを共同で制作していたのが
同じくマレーシアのTerr RecordsのオーナーでInquiry Last Sceneryというバンドでも活動していたKimiという人物で、
sans visageの東南アジアツアー中に彼の家を訪れたときにいつもダビングしているカセットデッキを見せてもらったことが
自分でダビングしてみようと思うきっかけになったのでとても感謝しています。
マレーシアではほとんどの日程を彼が運転/アテンドしてくれて、とても助かったし楽しいものになりました。
残念ながらKimiは昨年亡くなってしまったのですが、彼から受け取ったものを糧に活動していきたいと思っています。



ーーそうなんですね。。
カセットテープのリリースのきっかけなど、マレーシアのシーンとの交流もungulatesの活動に大きな影響を与えているんですね。


Inquiry Last Sceneryのライブ映像。




ーー今後はどんなバンドをリリースしていきたいですか?
レーベルカラーやコンセプトは決まっていますか?


ジャンルで括るつもりはないんですが、
やっぱりパンク・ハードコアやエモ・インディーといったDIYシーンが音楽も精神性も含めて好きなので、
レーベルカラー・コンセプトとしても、音楽や活動スタイルに独自性を感じる音楽をリリースしていきたいと思っています。
影響を受けたものをただ焼き増しするだけでなく、自分なりのフィルターを通じてオリジナリティに持っていけているバンドやアーティストが好きです。


ーーなるほど。確かにくだらない1日や、とがるといったバンドは
バンドの世界観に彼らの人間性も強く反映されているように感じます!
音楽性も決して焼き直しではなく、未来を感じさせてくれると僕も思います。
コウくんから見て、レーベルのリリースバンドである
くだらない1日、とがる、ANORAK!はそれぞれどんな人たちですか?



くだらない1日の高値くんには、エモという音楽をニッチなシーンで終わらせたくないという気持ちがあって、だからもっと大きい流れにしないといけないんだという思いから、チャンスがあればフィールドを問わずどこにでも挑戦するハングリーなところが魅力です。

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とがるは、エモやシューゲイズも好きだけどそれ以上にサカナクションやチャットモンチーのような存在でいたいという思いがあって、彼もまたインディシーンとメジャーシーンという壁を壊してくれる存在になるんじゃないかと思っています。




ANORAK!は、現状EPサイズのリリースしかないですが、サウンドも欧米のバンドが基盤になっていて詞も英語がメインなので、フルを出したらすぐに世界中で話題になるポテンシャルを秘めていると思います。





ーーありがとうございます!
ここ最近、ungulatesの所属バンドをはじめ良いバンドがたくさんいて、傍から見ていて国内エモシーンの盛り上がりを感じます。
内側にいて、盛り上がりは感じますか?


これまで国内のエモ・インディシーンは海外バンドの来日ツアーがあるタイミングに盛り上がることが多かったと思いますが、
コロナの蔓延によりそれが難しくなり、今まで以上に国内バンド同士の団結が重要になったように感じています。
それを体現するように
くだらない1日とANORAK!もそうですが、WHITE SURF!とSHIZUKU、
HaikiとAwesome &roid、BearwearとTHEティバ、
オルタナシーンではpeelingwardsとayutthaya、
ポップパンクシーンではUNMASK aLIVEとGood Griefといったスプリット作品が多数リリースされる流れに繋がったように思います。


ーーなるほど、国外との交流が出来なくなり、みんな国内に目が向いて、国内バンドの交流が活発になった。
最近スプリット作品が多かったのはその結果かもしれませんね。


はい。音源が充実して盛り上がりも感じていますが、個人的にはやっぱりこの手の音楽はライブやツアーが醍醐味だと思っています。
来年あたりからは徐々に渡航も解禁されていきそうですし、
これまでやれなかった分海外バンドの来日はもちろん、国内バンドの海外ツアーも多くなりそうなので、
その時に最大限力を発揮できるように、今はそれぞれ切磋琢磨して温めるタイミングかなと思います。


ーーそうですね。コロナが収束して、のびのびとライブやツアーが出来るようになればきっと更に盛り上がりますね!

ちなみに、さっき名前が出たバンドとも被るかもしれませんが、
自分たちの周りの同世代のおすすめのバンド、シンパシーを感じるバンドはいますか?


大阪のSHIZUKUとWHITE SURF!はコロナ禍にもかかわらずライブも企画もたくさんしていて、関西のパンク・エモシーンを盛り上げてくれているなと感じています。
また、岐阜のquiquiはsans visageと同時期に活動を始めたバンドで、世代も近いのですが、これからリリースされる新譜がかなり凄いことになっているようで期待しています。




ーーそれでは最後に、変な質問ですが、、自分たちで次世代のシーンを作りたい、という気持ちや新たなシーンを作り出している感覚はありますか?
傍から見ていると、新たな世代のバンド達によるシーンが出来つつあるように見えてワクワクします。


そこまで大それたことを言えるほどのことをできているかはわかりませんが、前述したレーベルやブッキングエージェントがやっているようなことを僕の世代でやっている人があまりいないので、それなら僕がやろうかなと思ってやっているところがあります。
また、ungulatesでリリースしているバンドのメンバーが僕より若い世代の子が多いので、彼らの世代だとSNSの使い方はこうだとか意見をもらったりと、フレッシュな感性を取り入れながら活動することができています。
そういう意味では、新しい流れと言えるかもしれませんね。


ーーなるほど、頻繁にライブ映像をSNSに投稿したり、
Vlog作ったり、若い世代っぽいですよね。笑
すごく距離感が近い気がします。
さっきも言っていたようにエモという音楽をもっと広めたいという気持ちも伝わってきますね。


ーー本日はありがとうございました!今後はどんな動きを予定していますか?

ungulatesからは10月にdowntという新しいバンドの音源をリリースしますし、
この先のリリースの予定やツアーの予定を続々と組んでいるところなので、
さらなる盛り上がりに協力できるよう楽しみながら活動していければと思っています!



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