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エッセイ 〜割り箸の気持ち〜

「物に心があったら、今どう感じているのだろうか」と私はしばしば考える。

その1つに割り箸がある。

彼らは、ここでは"彼ら"と呼ばせてもらうが、割られるのが良いのだろうか。

1本全体を1つの生命体と捉えたときには、私たちが行っている行為はとても残虐なものになってしまう。彼らの身体を容赦なく真っ二つに引き裂いているからだ。

だが元々は2つの身体であり、これ以上くっつき合っているのは耐えられない、むしろ早く2つの身体をひとつにして欲しい、というのであれば店に置いてある割り箸全てを割ってあげたくなる。

そして、逆に変な形で割れてしまったときには
「完全に君の身体をひとつに戻すことが出来なくて、こっちの方は余計な分を残してしまって、申し訳ない」といった気持ちが芽生える。

果たして正解はどちらなのだろうか。

今日も釈然としないまま、私たちは割り箸を割り続ける。


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