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映画『PLAN75』感想

amazon prime で『PLAN75』を見た。
「plan75」が施行された時。自分の意志でその時の選択が出来る。

ホテルの客室清掃の仕事をして、生計をたてている主人公、ミチ。(倍賞千恵子さん)
年齢は78才。職場には同じような年齢の女性がミチを含めて4人。
その一人が仕事中倒れてしまったため、ホテルから解雇されてしまう。
多くない収入で細々と丁寧に暮らしていたが、それがままならなくなる。
高齢のため、次の仕事は決まらず、家賃を払えないので、次の部屋を探すが、部屋も決まらない。

八方ふさがりで、茫然自失のミチが公園のベンチで座っていると、炊き出しの場で「PLAN75」の案内をしていた、行政職員のヒロム(磯村勇斗さん)から一杯の炊き出しを手渡される。

場面が変わり、ミチは「PLAN75」の案内担当者、成宮と電話で話している。
申込をしたことが分かる。

◇◇◇◇◇

これは、年齢を75才以上としているが、今の時代であれば若者であろうと向き合っている人がいる現状ではないだろうか。
雇用が安定せず、収入も部屋も、何か歯車が狂いだせば、あっという間に失ってしまう。
その先に「PLAN」を見てしまう人は少なくない気がする。

映画の中でも「生活保護」を勧められる場面があるが、ミチは「自分でもう少し頑張りたい」と断ってしまう。
「生活保護」は受け入れられないけど「PLAN」を選択してしまう考え方。
日本という国がそこで暮らす人に知らず知らずのうちに、刷り込んでいる考え方なのだろうか。国民性、と言ってしまいたくない。

映画では、ミチ以外にも、「PLAN75」の手続きをする職員:ヒロム、電話等でサポートする職員:成宮、その時のその後を処理するアルバイト(元介護職の外国籍の女性:マリアと、様々な「PLAN」に関わる人の視点が描かれる。
そして、今回、視点としては描かれなかったが、施行されれば、その処置をする看護師の様な役割の人も実際には必要になるだろう。

自分だったら選択するのだろうか、自分の家族が選択すると言ったら受け入れられるのだろうか、「PLAN」に関わる仕事を、仕事として選択出来るのか。すべての時に選択を迫られる映画だ。

背筋をまっすぐに伸ばして客室清掃の仕事をしているミチが、仕事帰りは少し足を引きずりながら、しんどそうに坂の上にある部屋に向かって歩いていく。
その生き方が美しくて、少し悲しい。

そして、最後、山の中のような一本道を、一人で歩くミチの足取りは力強く以前とは違う。


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