DO TO(4) 「あれから好きな画家は河原朝生」
その絵を見たのは大学の美術館だった。展覧会の終盤にその絵の前で立ち止まった。そして妙に気分がはしゃいだことを思い出す。興奮して、去りがたかった。この絵には、どこか懐かしいところがあった。ノスタルジックが基調だが、いつの時代を描いたのかはわからなかった。こういうのは有本利夫以来だった。でも古典的な趣味を押し付けるのとは違った。つまり美しさの主張ではなかった。今はなき時代を偲び、幼いころの手を差し出したいようだった。どうやら、この画家にとっては過去に関心をよせることだけでも制作の