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「エキセントリック・カレッジふくい」10月合宿 in 熊川宿&小浜&敦賀(2)

この記事は、「『エキセントリック・カレッジふくい』10月合宿 in 熊川宿&小浜&敦賀(1)」の続きです。

今回の舞台、熊川宿!



〇はじめに

この記事では、10月9,10日に開かれた「エキセントリック・カレッジふくい」10月合宿での講義に参加して学んだことを書きます。

今回の講義では、若狭と京都をつなぐ宿場町・熊川宿で古民家を活かした宿泊施設やシェアオフィス、食品加工所を運営している株式会社デキタ代表の時岡壮太さんのお話を伺いました。

SOL'S COFFEEの塩バターパンとともに


〇事業の複業化

熊川宿で事業をやるにあたって、踏まえなければならない4つの点がある。


  1. 人口が急激に減少し、空き家が増加していること

  2. 元々有名な観光地ではなく、広報費も限られているため、何もせずともお客様が来てくれる訳ではないこと

  3. 集落規模は大きくなく、資源が限られていること

  4. 冬には大雪が降り、観光需要の季節変動が大きくなるため、冬の仕事がなくなってしまうこと


このような状況の中で、事業を行って食べていくには、いくつかの事業を組み合わせる必要があるという。

実際、宿泊施設「八百熊川」や、シェアオフィス&スペース「菱屋」、食品加工所「八百熊川FACTORY」など、多種類の事業を組み合わせている。

中でも、近年力を入れているという食品加工所では、いくつかのオリジナル商品を手がけている。

ひとつは、若狭町・山内集落のみで栽培される伝統野菜「山内かぶら」の種からつくったやさしい辛さの粒マスタード。私はまだ食べたことはないのだけど、紹介していただいた時から4ヶ月経った今になって粒マスタードにハマりつつあるので、いつか絶対食べる。


熊川葛は、江戸時代から作られていて、かつては吉野葛・秋川葛と並んで日本三大葛といわれていた。一度は作り手が途絶えてしまったのだが、有志の強い思いから、江戸時代の書物などを参考に手探りで復活させたという。そんな熊川葛を使ったお茶も手がけている。

葛に関する仕事は12~2月にかけて行うなど、観光需要が減ってしまう冬にできる仕事として行っている。

地域産業や文化資源を巻き込んだ事業をしていることもポイントだ。


〇複数の接点でお客様と繋がる

これまでの観光業のビジネスモデルは、「夏は海だ!」というような「瞬間最大風速型」であることが多かった。

しかし、これからのビジネスモデルを考えていく上では、地域や自社、自分たちが得られる価値(「インナーバリュー」)だけでなく、お客様に提供できる価値「アウターバリュー」を考えていく必要があるという。

「八百熊川」の事業では、お客様に提供する価値として、「集落に属している」感覚から生まれる心の安心や安らぎ、癒やしを提供している。

一度宿泊していただいたお客様とSNSで繋がりを保ったり、「おすそわけ便」を送ったりすることで、「集落に属している」感覚を生み、「また来たい」と思ってもらえるように工夫しているという。

これからの観光業のビジネスモデルは、このような「寄り添い型」へ移っていくのではないか。


〇家に帰って病まない方法をとる

集落のコミュニティが存在する場所で活動していく上で、人間関係のあれこれには向き合わざるを得ない。

熊川宿の案内や講義中、また交流会でお話しさせていただいた時ずっと感じていたのだけど、時岡さんはずっと柔らかい雰囲気で人と接していて、めちゃくちゃ人当たりが良い方なのだと思う。
実際、地域のおばあちゃんたちとも気さくに話し合える関係を築いてきたそう。

そんな時岡さんが人間関係において心がけていることが、「家に帰って病まない方法をとる」ということ。

この地域で活動する中で、向き合った相手がかなり言ってくることもあったが、決して反撃はしなかった。
相手は、これまで何十年も地域を守ってきた先輩であり、この方々が守ってきてくださったからこそ、その土俵の上で今の自分たちが活動できているのだから、感謝とリスペクトを絶対に持って関わるべきだという。
また、たとえ相手にどれだけ嫌われていたとしても、「あなたの家の雪かきするぞ!」というように、絶対に自分たちは良いことをやり続けることにしているともいう。

このような関わり方を続けることで、自身も家に帰って病んでしまわないし、相手にも徐々に受け入れてもらえるようになってきたそう。

私も、今回の講義で「家に帰って病まない方法をとる」というお話を伺って以来、この考え方が頭の中にずっと残っていて、これをもとにいくつかの行動をとることができた。自分に合っていた考え方だった。



〇おわりに

以上、時岡壮太さんの講義を伺って学んだことを書きました。
交流会で少しだけお話しさせていただいたのですが、自分のようなただの大学生の話もめちゃくちゃ親身になって聞いてくださる素敵な方でした。
お金を貯めて、大切な人ができたら、「八百熊川」に泊まりに行きたい。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
エキカレ10月合宿後半戦に続きます。

(3)へ続く

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