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「ナスカの地上へ/+3」感想

めちゃくちゃ面白かった。
LIVEや講義があった後、半年から一年以上あけてやっと感想を書くような自分が、公演が終わって一時間半後にこれを書き始めている。それくらい誰かと感想を共有したくなる面白さだった。




2023年4月16日、日曜日。北ノ庄クラシックスにて、クリエイティブ集団「+3(たすさん)」の第一回公演「ナスカの地上へ」が行われた。
劇やコント、音楽、幕間のラジオや映像など、色々な形で彼らの表現を観た。


自分が特に好きだったのは「カニ」の演目。

これは(自分の解釈では)、大学生のカップルと彼女の男友達の3人がカフェ(?)でお茶している場面を演じている。犬っぽい人が好き、猫っぽい人が好きという感覚で、その女の子は「カニっぽい人」が好きで、今の彼氏と付き合っているという。「手もカニっぽいし、匂いもカニっぽいから」。彼氏の両手はずっとカニ。うなずくだけで喋らない。それが、ある出来事から急展開をむかえる話。


「カニっぽい」「カニっぽい」と何度も連呼するのにもじわじわ笑えたし、そもそも「カニっぽい人」って何なん笑。自分が生きている中で絶対に出会わない言葉&存在で、面白かった。
カニっぽい彼氏、ちょっと個性的な感覚の彼女、まともにつっこんでくれる友達。この3人がつくる空気感がめちゃくちゃ好きだった。


あともうひとつ、この演目が好きな理由があって、それはある人物に共感してしまったから…。

友田君。

カニっぽい彼氏の名前。

友田君は、元々はカニっぽくなかったのに、女の子の気を惹くため、カニっぽく振る舞い始めた。カニっぽく振る舞っているうちにどんどん後に引けない状況になり、もう本当にカニになってしまった。元の人間に戻れなくなってしまった。チョキの手はパーにもグーにもならないし、横歩きしかできない。

この狂った(褒めている)設定の友田君に、近いものを感じてしまった。


友田君の場合は「カニっぽく」なろうとすることだったけれど、自分も、好きな人(恋愛的な好きだけでなく、友達とか尊敬とか、人間として好きな人)に近づくため、今までの自分はしていなかった行動を取り始めることがある。好きな人に合わせにいってしまう。


新しいことを始めるきっかけになったり、世界が広がったり、好きな人に少しだけ近づけたり、良いことがたくさんある。


一方で、ひとつ重大な悪いことがある。

自分が分からなくなること。

好きな人の「好き」を、どんどん自分の中に入れていくほど、元々の自分は薄まっていく。そうしていった先で自分を振り返ったとき、自分は本来どんなだったか、もう分からない。


人は誰かの影響を受けながら変化するものだし、その変化の過程だと捉えても良いと思うけど、
元々はそうではなかったのに、好きな人に合わせて「そうだ」と思い込んでいくうちに、自分の中で、純粋な自分の意思のもとに存在しているものと、思い込んだ意思のもとに存在しているものがごちゃ混ぜになる。
そんなことを自分はずっと繰り返している。

色々なものを好きになれたのは良かった。「色々なものが好き」ということが自分を説明するひとつの要素になっていると思う。
一方で、自分で自分のことがよく分からなくなった。これが怖い。

友田君はある方法で元の自分を取り戻したけど、自分はまだこの問題を完全には解決できていない。


喜劇を観てひたすら笑いながら、自分と少し重なる友田君を見て、そんな感じのことを思った。
面白い演劇を観ていると、その刺激で頭のどこかが動き出し、なんか考え事が始まるのが楽しくて、好きだ。(これは純粋な自分の好き。笑)


あと、アドリブで出てきた「裸餓死」って言葉の語感とか、頭をぐわんぐわん揺らされまくっているのにちゃんと引き続けようとするのとか、幕間のゆるい食レポ映像とか、ツボに刺さりまくった。


第二回公演も絶対観に行きたいし、今回の公演ももう一度見返したいので映像化希望…!

車で9時間かけて行った甲斐があった。笑
次回も楽しみ。






オレボのベーコンエッグおにぎり

あの食レポは、どんなんなん?って、逆に気になってしまう。笑


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