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「脚の貯金」と「脳の貯金」

練習しないと「貯金」がなくなる!?

1年半前。
とあることで元競輪選手の方と知り合いました。

ある日のこと。
一緒にお茶をしていた時に、選手時代のお話を伺ったのです。
レースのことも興味深いところではあるのですが、もっと面白いお話が「練習」のことでした。

競輪選手はとにかく自転車を漕ぐのが仕事。
筋力トレーニングはやって当たり前なのでしょうが、それよりもとにかく自転車を漕ぐ練習を時間の限り行うのだそうです。

その方がおっしゃるには、室内で漕ぐ「ローラー」を何時間も…

という練習はあまり好みではなかったよう。
体を慣らす意味では必要な練習だったそうですが、とにかく「バンク」と「街道」を走るのが効果的、とおっしゃっていました。

バンクを使った練習はなんとなくイメージが湧くんです。
いつもレースを行う場所で練習するのは当たり前ですものね。
だから、練習はとにかくバンクでだけやっていたら良いのかなと思っていたんですよ。

でも、それだけでは「足りない」のだそうです。

バンクで行う練習と街道を走る練習では、「使う筋肉」がそもそも違う。
バンクで行うのは、例えば仕掛けるタイミングや実際のレースの流れの中でどう対応するかという実践的なもので、長く自転車を漕ぎ続けるための脚力はどうやら養われにくいようです。

競輪のレースはS級のレースで2,000メートル、A級のレースで1,600メートル位が一般的です。
レースでは一瞬で最高速に達する瞬発力が必要な上、その最高速で数百メートルを漕ぎ続けられなくてはならないので、「瞬発力」と「持久力」の両方が求められます。
バンクは「瞬発力」を身につけられますが、持久力を養うには数十キロのロードワークをこなさなくては身につかない、とその方はおっしゃいます。

では、試合への斡旋が続いているとどうなるのか?
と聞いたところ、意外な答えを教えてもらいました。
試合中(通常3日間、記念等は4日間以上)は原則的に競輪場から一歩も出られないことから、街道での練習ができなくなります。
また、試合のためにコンディションを整えなくてはならないことから、バンクでの練習もほどほどに…となるため、練習をしない=筋力が落ちていくのだそうです。

この、「練習をしないために筋力が落ちる」ことを「貯金がなくなる」と言い、その状況に陥らないために選手は街道に出てトレーニングをするらしいです。

「共感」するために必要な「脳の貯金」

その話を聞いていて、ふと自分のことに繋がったのです。

昨年の9月頃から、キンマwebにてMリーグや麻雀最強戦の観戦記を書かせてもらっています。
その仕事をいただくようになってから、自分で麻雀を打つ時間よりも誰かの麻雀を見つめる時間が増えました。

その比率は3:7くらいになっているかと思います。

あれだけ打ちたくて打ちたくて仕方がなかったのが、最近は「この場に身を置きたい」と思える場所が少なくなりまして、積極的に出かけていく機会が減りました。

ただ、困ったことが起きたのです。

ある日、Mリーグの観戦記を書くために試合を観ていました。
ひととおりゲームを見終わった後で文章の構成を考えるのですが、それが全くまとまらないのです。

読者にこのゲームの何を伝えたいのか?
自分の心が動いたのはどの場面だったのか?

そういう「心の機微」みたいなものが全くなかったのです。

結局、「心が動かなかった」原因は突き止められました。
それは、「実践から遠ざかっていて、打ち込み量が少なくなったから」です。

観戦記を書く際、私は俯瞰的な視野で書かずに誰か一人の視点に入り込んで書くことが多いのですが、自分が麻雀をしていないから「感動」を共有することができず、誰かの立場になってドキドキしなくなっていました。

冒頭に書いた競輪の話になぞらえると、「貯金がなくなった」状態になっていました。

これはイカン。

それからは意識的に実践量を増やして、緊張する場に身を置くことを心がけていますが、定期的に麻雀を打っていると先日のような現象に陥ることは無くなりました。

アマチュア選手としてはほとんど一線から取り残されたような打ち手の私ですが、これからは「脳の貯金」を減らさないような麻雀の付き合い方をしなくてはならないようです。

負けの言い訳ができない勝負

緊張する…といえば。
明けて今日ですが、岐阜県大垣市で行われる国民文化祭への出場をかけたペア戦が行われます。

この大会に出場しようと思った動機は、もちろん本大会へ出場したいということもあるのですが、先ほども書いたとおり「緊張感」あふれる場に身を置きたかったから。

もちろん個人戦でも緊張感は味わうことができますが、「バンク」と「街道」みたいなもので緊張感の質が全く違います。
勝ち負けが自分の責任だけではないところにペア戦の難しさと面白さがあって、久々にその緊張感を味わいたくなったのですね。

で、その相方として伴走をお願いしたのが…

今日の麻雀最強戦店舗予選を勝ち上がったhibiくん。
この日にコンディションを合わせてくるあたり、さすがですよね。
余勢を駆って、ペア戦でも活躍してくれると思います。
やはり、私のメガネに狂いはなかった(笑)。
うん。

彼に伴走をお願いしたのは腕を信頼しているということはもちろんですが、彼の前で恥ずかしい麻雀をするわけにはいかないから、という点が大きいと思います。

一緒に戦って、負けの言い訳ができない相手、っていうんですかね?
あとは、例えば彼が良くない成績だったとしても諦められるから、ということ。
彼の麻雀に対する姿勢や腕を信頼していますから、彼が負けたのであれば仕方がないだろう…と素直に思えるんです。

あとは…私の出来はどうなんだろうか。
せめて、足を引っ張ることにならなければ良いなと思いますが、さて。
とりあえず調整がてら打った龍龍では良い成績が残りました。

が、久々に眠れない感覚と吐き気を覚えています。はい。

明日は、いつも以上に必死に打ちます。
負けたら…次の休みは街道練習に出ます。
探さないでください。

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