開放性が高い手すりって建築物の高さに入らない?本当に?
私はずっと思っていました。
みなさんはどうですか?『開放性が高い手すり=建築物の高さに入らない』という認識をお持ちの方、多いのでは無いでしょうか。(私はそうでした。)
しかし、それは勘違い(かもしれない)と思った出来事が発生しました。
ある行政庁の取り扱いを発見
それは、建築基準法の調べものをしている時でした。
見つけてしまったんです。こんな取扱いを。
(引用:建築基準法等に関する新宿区の取扱い)
取扱いでは『跳ね出しバルコニーの上の手すり』は建築物の高さに入るから、斜線を当てちゃいけないという解説がされているんです。
だから、『開放性が高い手すり=建築物の高さに入らない』は嘘かもしれない!という事です。当時の私にとってはかなりの衝撃でした。
さて、どうしてでしょうか?建築基準法を元に考えてみましょう。
建築基準法でそのあたりの法文を読んでみよう
そもそも、建築基準法には高さの緩和というのは、2つあります。
①建築面積の1/8以下に抑えている階段室等(建築基準法施行令第2条第1項六号ロに当てはまるもの)
②棟飾、開放性がある手すり等(建築基準法施行令第2条第1項六号ハに当てはまるもの)
①と②の違いも少し触れておきましょう。
①は、一部の規定の建築物の高さを除くだけです。例えば、ペントハウス(階段室)って道路斜線の高さには入らないけど、北側斜線の高さには入れていると思います。そういう、一部の高さから除かれるものです。(詳しい事を知りたい方は私のブログ記事を読んでください)
②はどうでしょうか。これは、全ての規定で建築物の高さから除かれます。(天空率と日影の検討には入れますが)だから、北側斜線だろうが、道路斜線だろうが、高さから除かれるんです。
では、話を戻しましょう。
今回の『開放性の高い手すり』は、②です。
つまり、問答無用に建築物の高さから除かれるはずなのに、どうして『跳ね出しバルコニー』だけ入れているのでしょうか?
では、ここで②の法文を読んでみましょうか。
棟飾、防火壁の屋上突出部その他これらに類する屋上突出物は、当該建築物の高さに算入しない。
そうなんです。『屋上突出物』なんです。
確かに、言われてみると跳ね出しバルコニーの上部の手すりって屋上突出物って言えないような気がしませんか?(屋上では無いので)
だから、法文を厳密に読むと、跳ね出しバルコニーの手すりは開放性があっても建築物の高さに含めなければならないという事です。
(新宿区さんが道路斜線を△にしている理由は、多分法の趣旨を見て①の仲間だと判断したからだと思います。だから、北側斜線は高さに含めて、道路斜線は高さに含めていません)
結論!
『開放性が高い手すり(屋上突出物に限る)=建築物の高さに入らない』
申請先や行政の取扱い次第ですが、もしかしたら上記の理由で『跳ね出しバルコニー』の手すりは建築物の高さに入れるように言われる事もあると思いますので、頭の片隅に入れておきましょう。
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