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よく”引く”話

-”引く”とは
わたしはよく”引く”。
医療従事者として勤務している人なら良く使う表現であるが、”引く”とは急変によく当たるという意味を指している。
看護師時代もわたしはよく”引く”タイプで、勤務中に急変が起きたり、お看取りがあったり、何に起因しているかは不明であるがそのようなタイプであった。
今日は日常生活で引いたことのある話を紹介する。

-飛行機
人生の中で何回、このような経験をすることがあるのだろうか。
大学時代、海外旅行から帰国する便で、「Emergency, any doctor or nurse in this airplane?」というアナウンスが流れた。「まさか・・この飛行機の中で」という緊迫感を感じたのを覚えている。当時看護学生だった私は何もできない事に引け目を感じていた。
2回目のアナウンスでは「Are there anyone who've got extra insulin?」とのこと。少ない知識ながらも糖尿病をお持ちの人なんだと理解し、CAさんにできる事はないかと挙手した。既に2名の医師が見つかっており、わたしには何もできる事はなかったけれど、「I am so proud of you, you are such a brave girl」と言ってくれたのを何年も経った今も良く覚えている。

-新幹線
看護師時代、夜勤明けで新幹線に乗っていた。「6号車で急病人です、この中にお医者様か看護師の方は・・」というアナウンスが聞こえ、急行した。現場には泡を吹いて白目を向き全身硬直した女性がいた。医師1名、看護師4名が現場に集まり、限られた道具を使用し対応を行った。予定していない駅で緊急停車し現場にいた医師のみ付き添い救急隊に搬送された。搬送を確認すると何も言わずサッと去っていく他の看護師たちを見て、とてもかっこいい・・と思ったのを覚えている。(それを見てわたしもサッとその場を後にした)

-人生の中で何回このような経験があるだろう
上記以外にも電車内での急病人もたまに出会うことがある。日常生活でよく”引く”ことは良い事ではないかもしれないが、過去に経験した出来事によって、「人のために何かしたい」「困っている人がいたら助けたい」という思いを肯定してきてくれていたのかなとも思う。

いま医療現場の最前線で、困っている患者さんのために向き合っている看護師のみなさんには尊敬の気持ちでいっぱいである。臨床現場からは離れてはいるものの、看護師であろうと保健師であろうとも、誰かのために何かをしたいという根本の気持ちは変わらず過ごしていきたいと思っている。

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