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生命保険と医療保険は本当にあなたに必要?

この記事のポイント

●生命保険や医療保険は総額で数百万円の支出となる大きな買い物です。自分自身に必要な保障をしっかりと理解して、本当に必要な保険にだけ加入するようにしましょう。
●独身の方や子供がいない人やあなたの収入に依存している人がいないなら、生命保険への加入の必要はないでしょう。一方で配偶者や子供があなたの収入に依存している場合は、一般的には生命保険に加入する必要があります。
●生命保険に加入するときは、まず遺族年金をいくら受給できるのかを把握し、残された家族の生活費の足りない部分について生命保険でカバーするようにしましょう。
●日本の高度な医療制度では病気のときの出費は限定されており、医療保険は百万円単位の貯蓄があるなら不要との考え方もあります。

よく、「人生で一番高い買い物はマイホーム、二番目に高い買い物は保険」と言われる通り、生命保険や医療保険は支払総額で見ると非常に高い買い物です。

典型的な具体例で見てみましょう。専業主婦の妻と未就学児の子供1人と暮らす30歳の会社員男性が、自分自身が死亡したときの家族の生活費や学費の備えとして、65歳満了の月額10万円の収入保障保険と2,000万円の定期保険に加入し、また自分自身が病気になったときの保障として、別途入院給付金日額5,000円と三大疾病一時金50万円の保険に加入したとします。なお、これらの保険や特約の詳細についてはここでは割愛しますが、先述の家族構成の方には典型的な保険への加入パターンだと考えてください。以下がオリックス生命保険とSBI生命のネット保険で、これらの保険に加入したときの月額保険料と65歳までの保険料総額になります。

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ご覧の通り、1ヶ月の保険料は総額で1万円程度となり、65歳までの保険料支払総額は400万円を超えます。このように生命・医療保険は総額で数百万円の支出になるものですので、不要な方は加入する必要はなく、また必要な人も自分自身に必要な保障をしっかりと理解して加入する必要があります。

なお、ネット保険の代表的な保険であるオリックス生命保険とSBI生命の保険は、一般的に対面販売でしか売られていない保険より安いため、一般的な対面式の保険でこれらの保険に加入したら2割程度は高いことが多いと考えてください。

独身の方

独身の方は、例えば親や兄弟に一定の仕送りをしていなければ、あなたの死亡後に経済的に困る方はいませんので、基本的には生命保険への加入は不要です。あまり蓄えがなく、葬式代等で親兄弟に迷惑をかけたくない場合は、ある程度まとまった貯金ができるまでの期間(例えば10年満了)で300万円程度の定期保険に加入するといいでしょう。

子供がいない夫婦の方

子供がいない夫婦の方は、共働きで配偶者の方が1人でも生活できるくらい収入があるならば生命保険への加入は不要です。一方で、配偶者の方が専業主婦である、もしくはその他の理由であなたの収入に生活を依存している場合は、生命保険への加入を検討するべきでしょう。

生命保険に加入する際は、必ず概ねの遺族年金受給額を把握することが必要です。あなたが自営業の場合は、子供がいない配偶者の方は遺族年金をもらえませんので、生活費を収入保障保険や定期保険で補う必要があります。例えば現在の生活費が月額30万円で、あなたが死亡した場合の配偶者の生活費が月額約20万円と考えられる場合は、65歳満期の20万円の収入保障保険に加入するといいでしょう。

一方で、あなたが会社員で厚生年金に加入しており、年収が500万円の場合は、配偶者の方は遺族厚生年金を40歳まで月額約4万円、40歳から65歳まで約9 万円受け取ることができますので、生命保険によって追加の保障が必要になる金額はこの遺族厚生年金で補いきれない部分になります。例えば、あなたの死亡後の配偶者の生活費が月額15万円で、月額4万円から9万円の遺族厚生年金を受け取れると想定すると、65歳満了の10万円の収入保障保険に加入すればいいかと思います。

子供がいる夫婦の方

子供がいる夫婦の方は、基本的に生命保険への加入は検討するべきでしょう。配偶者の方が専業主婦である場合や共働きでも配偶者の方の収入だけでは生活できない場合は、遺族年金でカバーできない生活費を収入保障保険や定期保険で補う必要があります。

遺族年金は子供の人数と年収によって変更しますが、自営業の方は月額約8万円から12万円、会社員の方は月額約10万円から18万円受給できることとなります。生活費のための保障とは別に、将来の学費についても定期保険で備えることも検討するべきでしょう。お子さんがまだ小さい場合は、幼稚園から大学まで国公立の場合で約1,000万円の学費が必要と言われていますので、お子様1人につきそれぞれのお子様が大学を卒業するくらいを満期として1,000万円程度の定期保険に加入することも考えるべきです。

例えば、配偶者の方が専業主婦で3歳と5歳の子供がいて、あなたが死亡した後の生活費が月額25万円と仮定すると、生活の保障のために、あなたが自営業の場合は月額15万円、会社員の場合は月額10万円から15万円の65歳満期の収入保障保険に加入すればいいかと思います。一方で、学費への保障として、お子様が大学を卒業するくらいまでの20年満期の定期保険2,000万円に加入することも検討するべきかと思います。

医療保険

医療保険については、世界でも類を見ないほど素晴らしい日本の医療保険制度のお陰で、入院や手術に当たっての医療費は想像以上にかかりませんので、まずそもそも加入するべきかどうかを検討するべきです。

令和元年度の生活保障に関する調査によると、入院時の自己負担費用と逸失収入の総額の平均が約30万円となっています。これは、高額医療費制度のお陰で大抵の方は月額自己負担額が9万円弱に抑えられることや、通院治療が主になってきており入院日数が少なくなってきていることも関係しています。これより、あなたが百万円単位の貯蓄があり緊急時にこれらの貯金を少し切り崩しても問題ない場合は、医療保険に入らないという考えかたも十分考えられます。一方で、このような貯蓄が現在ない方、もしくは貯蓄があってもなるべく切り崩したくない方は、日額5,000円から10,000円の入院給付金の終身医療保険に入っておくことを検討するべきかと思います。