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保苅実とつながる会ニュースレター: January 5, 2023

皆様、明けましておめでとうございます。大学4年生の息子が帰省して家族の時間をゆっくり過ごしていたため、年内にお便りできませんでした。

さて、良いニュースと悪いニュースがあります。重い心を抱えて、悪いニュースから先に。

ニューサウスウェールス大学インターナショナルハウスの保苅実記念奨学基金についてご報告しなければなりません。2003年に設立されてから、2016−17年にある種の「組織再編」があり、それ以来、私は知りませんでしたが、学長が2回変わっています。

今まで、一体何が起こっていたのか分からず、奨学金の情報が入手できないでいました。何度目でしょうか、最近の試みの結果、現在の学長であるDr
Charlene Griffithsに辿り着き、2014年から奨学金の授与が停止していることを知りました。

基金残高は2005年にA$31,820、そして2007年にA$51,000だと報告を受けていますが、現在インターナショナルハウスの奨学基金全体でA$200,000だということだけで、保苅実記念基金の残高はわからないというのです。ご存知の通り、お金が動くとその記録は必ず残りますから、基金運用担当がその記録をなくすなど無責任以外の何物でもありません。ただ、少なくとも基金全体の監査はされていたとのことで、私はこれまでに一度もその監査報告を受けたことはありませんが、使い込みなどの事態にはなっていないと想定していいとは思います。

ミノルの奨学基金の核は、その永遠性です。Dr. Griffithsは誠実にこの事態に至ったことを謝罪してくれたのですが、彼女自身も基金情報にアクセスできないとのこと。私の方からは、これから毎年永遠にA$1000の奨学金を提供することを約束してほしいと言ってあります。11月29日に、私からインターナショナルハウスの監督委員会の責任者であるGarry Browneに問い合わせを出しました。すぐにFinance担当者に連絡を取ると返事が来ましたが、まだ回答はもらっていません。

年が明けたので、明日にでも再度問い合わせを入れるつもりです。詳細が分かり次第、また皆さんにご報告します。このような事態になり、本当に申し訳ありません。


これから先は、良いニュースです。

1。最近 ANU History Departmentを退職し名誉教授となったとなったProf. Rae Francisの尽力により、Ronin Filmsが保苅実についてのドキュメンタリー映画を完成させる目処がつきました。彼の英語の著作である ”Gurindji Journey: A Japanese Historian in the Outback”が、2023年半ばに予定されている映画の公開に合わせて、また店頭に登場しそうです。

この映画の完成を決して諦めず、私とProf Ann McGrathに状況を逐一知らせてくださったRonin FilmsのAndrew Pikeに心よりお礼申し上げます。

2。6月に、ANUの奨学基金に関しての連絡先であるAndrea Morrisが、Prof. Rae FrancisとProf. Bruce Scatesと一緒に、アメリカ出張の忙しいスケジュールの合間に、私に直接会いに来てくれました。夕食の席で、奨学金がどのような形で学生たちを援助しているかという話や、今後の授与金額や人数などを変更する計画などについて、話し合いました。

ANUは2022年のMinoru Hokari Scholarを発表するプロセスに入っています。情報が入り次第、ご報告します。

3。2020年のコロナ禍のためキャンセルした保苅実写真展を、今年の秋10月初めに、地元新潟市にて開催する予定でいます。私にとっては2019年以来の一時帰国となります。詳細はまたお知らせしますが、どうか大勢の方に会場でお目にかかれるよう祈っています。


弟、保苅実の他界からほぼ19年間という月日が流れました。時折、ミノルの友人や生前のミノルに会えなかった人たちからメールを受けとります。私はとりわけ若い人たちにミノルのことを知ってもらいたいと常々強く思っているので、彼の人生と業績が今も変わらず、若い世代に影響を与え続けていることを知り、溢れんばかりの喜びと幸せでいっぱいになります。

先日、ミノルの友人である野上元教授のもとで戦争社会学を学んでいる清水亮さんから連絡をいただき、何度か楽しいやり取りをしました。彼が最近発表した論文を送っていただいたのですが、研究者間だけでわかるような難しい用語に隠れていない、素人の私でも十分に読めて理解できて楽しめる平易な日本語で書かれたその論文には、ミノルの影響がところどころに散りばめられていて、私は嬉しさで目に涙が溢れました。

どうか、これからもミノルの人生と業績を若い世代に伝えたいという私のサポートをお願いします。最初の写真展を編集した笹倉いる美さんと、新潟市での写真展開催の他にもいくつかプロジェクトを計画しています。7月のミノルの誕生日に出す次のニュースレターをお楽しみに。

2023年が皆さんにとって充実した一年になりますよう。

由紀

追記:トップの写真は、保苅実の母方祖父である芥田一馬が趣味で描いた水彩画です。手元にある20枚を、これからニュースレターのトップ写真に使っていくつもりです。


「葩餅(はなびらもち)」昭和58年1月8日


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