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保苅実。「個性的な人材」ついて考えてみた

遺品を整理していたら、「350[サン・ゴー・マル]LIMITED」という文庫本が出てきた。日本の就職風景 Text Book とあって文化放送ブレーンによる出版。1993年。友達の日比野克哉くんも、別ページに登場している。

一橋経済学部3年の頃。


世の中たいていの奴は、自分がなかなか個性的だと思っている。 冗談じゃ
ない。 僕にいわせればみんな似たようなもの。 所詮は時代の申し子です。 「オレってちょっと変わってるからさぁ、目立つんだよネー」 なんて言ってる奴に限ってどこにでもいるようなタダの大学生。 オールナイトで飲み歩いて、大学サボって遊んで、ちょっとカッコイイ車乗ってて、 クリスマスには最高のホテルを予約して、ポリシーがあるらしいファッションで、ライブでギターでもかきならして最後に英語で話せば ”マニュアル的個性派” 一丁あがり! これじゃあ金もっている奴が個性的っていうことになってしまう。それに加えて会社が就職情報誌に「私たちは個性のある人材を求めます!」なんてことを書くからなおのこと始末が悪い。 本当の意味で常識の枠にとらわれないような "個性的" な人間は、 会社なんていう共通の利害をもった組織体にとって役に立つはずがない。 そんな奴は変人扱いされて、会社という共同体から排除されるのが関の山。 会社も正直に「私たちは、常識的で、日本の商習慣になじみやすく、良識があってほんの少しだけ個性的な人材を求めます! 」と書いたらいいと思う。これぞまさしく個性的な会社です。

保苅実(ほかりみのる)
一橋大学経済学部3年
Profile
1971年生まれ。 経済学部に在籍しつつも近代経済学を使用していない。 ゼミは経済史 最近は、エロティシズムと人間の経済活動の関連を考えるのに没頭中!? 日本的タテ社会の中で、いかに自分らしく人生を充実させるかという課題をかかえてはや21年.....。

350[サン・ゴー・マル]LIMITED (1993) p.410

彼の声が聞こえてくるような文章だ。この頃にはもうオーストラリア先住民の研究に入っていたのだろうか。

卒論のタイトルは「オーストラリア先住民の歴史 ~アボリジニと近代~」


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