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『在宅における転倒対策 〜転ぶことの予防と怪我をしないための工夫〜』【#在宅医療研究会 オンライン|5月度開催レポート】

今回は、株式会社 Magic Shields 取締役の杉浦太紀さんにお話をいただきます。今日のテーマは、「在宅における転倒対策 〜転ぶことの予防と怪我をしないための工夫〜」です。この在宅医療研究会では、普段は医療機関の方にお話をいただくことが多いのですが、今回は企業の方からのお話です。その理由は、お話を聞いていただければご理解いただけると思います。
それではよろしくお願いいたします。
 
 
皆様はじめまして。株式会社Magic Shields取締役の杉浦太紀です。
元々は理学療法士を10年しておりました。
 

まず本日のAgendaは次のようになります。


1.  自己紹介


理学療法士として、愛知県の病院で10年間勤めました。この間、救命センターから療養病床まで、幅広く経験をさせていただきました。最後の3年間は、ADL維持向上等体制可算病棟で、専従療法士として経験を積ませていただきました。この時の経験をきっかけに、起業いたしました。
資格としては、理学療法士、転倒予防指導士、福祉住環境コーディネーター2級などを取得しており、転倒に関して幅広い指導をさせていただいています。普段から転倒の予防に関する情報発信を心がけており、最近はTwitter、Facebook、インスタグラムを使った情報発信も本名でさせていただいています。

2.  現在取り組んでいること


 
現在私が取り組ませていただいているのが、「転んだ時に柔らかい」ということで、「ころやわ®」と呼んでいる、転倒・骨折リスクを軽減する、歩行安定性と衝撃吸収性の2つの特徴を兼ね備えた床材に関する活動です。
この床材は、普段立ったり、歩いたりする時は硬い床なのに、転倒時は柔らかいという床材で、この床材の開発、製造、販売を取り扱う会社を立ち上げさせていただきました。「ころやわ®」は、普段は硬いから、歩きやすく、転んでしまっても、衝撃を吸収する床材ですが、詳しくは後ほどご紹介します。
 
このような活動に至った背景ですが、私は医療現場において患者さんの転倒に関するジレンマを抱えていました。理学療法士として、担当患者さんが院内生活や退院後の生活で転ばないようにリハビリを行い、活動性を上げる支援をしていたにもかかわらず、転倒を防ぐことに限界があると感じていました。なんとか患者さんの自立を支援し、看護師さんとも相談してベッドサイドの環境調整を工夫したにもかかわらず、転んでしまう方がおられる。どうにもならない現実に悩んでいました。
 
そこでこのように考えました。
100%転倒を防ぐには身体拘束なしかない。ただよく考えてみると、転ぶこと自体は「悪」ではない。転んだ結果、怪我をしてしまうから転倒予防をしなくてはいけなくなっている。
それでれば、転んでも怪我をしない環境があれば、患者さんは自由に動くことができるし、看護師も慌てて駆けつける必要がなくなるのではないか?
じゃあ、床がベッドのように柔らかければ、転んでも怪我をしない。でもそれでは歩けない。
そのような考えを経て、転んだときだけ柔らかい、「ころやわ®」を思いつきました。
これは私だけで思いついたわけではなく、当時通っていたグロービス経営大学院の研究プロジェクトという科目で、健康長寿をテーマにビジネスアイデアを出していたなかで生まれたものです。同じグループにいた理学療法士とバイクエンジニアが一緒になって考えてできたものです。バイクには、事故にあったときにバイク本体が潰れるように設計することで衝撃を吸収する技術がありますが、その技術を応用することで「ころやわ®」ができました。

3.  転倒について


 
転倒とは
「転倒・転落」と言うことが多いが、どのように違うのか、定義をご紹介します。
 
■転倒の定義
「自分の意志ではなく、地面・床またはより低い地面へ体が接地すること」となっています。
(Frailty and Injuries: Cooperated Studies of Intervention Technics) (1993年)
 
■東京消防庁による転倒の定義
・転倒:同一面上でバランスを失い、倒れて受傷したもの
・転落:高低差のある場所から地表面、または静止位置までのスロープなどに接触しながら転がり落ち受傷したもの
・墜落:高所から地表または静止状態まで落下し受傷したもの
 
<高齢者に多い4つの骨折>
高齢者には、次の4つの骨折が多いことが知られています。
a.大腿骨近位部骨折
b.脊椎圧迫骨折
c.上腕骨近位端骨折
d.橈骨遠位端骨折
 
◆転倒時とっさに反応し、手で体を守ろうとすると上肢の骨折が起きやすい。
◆反応が間に合わなかった場合に大腿骨の骨折が起きやすい。
→前期高齢者は上肢、後期高齢者は大腿骨の骨折が多いことが知られています。
 
1.大腿骨近位部骨折
大腿骨の骨折は予後も悪いので、少し詳しくみています。
■種類と治療
・頚部骨折と転子部骨折の2種類がある
・どちらの場合も基本的には手術適応
(高齢で元々のADLが低い場合には保存療法もあり得ます)
■予後
・骨折1年後の死亡率は約20%
・誤嚥性肺炎、褥瘡などの併発から、ADL・QOLが低下しやすいことが問題
 
 
2.頭部外傷
転倒・転落による死亡原因の多くは頭部外傷。2種類の硬膜下血腫に注意が必要です。
■急性硬膜下出血
・事故直後から症状あり
・特に急性硬膜下血腫は予後不良
・死亡率は約65%
■慢性硬膜下血腫
・一般に外傷後約3週間〜数か月経って発症
・転倒直後は問題なくても、数週間後に症状が出てくる可能性があります。少しでも異変(認知機能低下、手足の麻痺、歩行障害)を感じたら、すぐに受診が必要です。
 
3.転倒の発生頻度
■日本の高齢者人口
65歳以上の人口が3,617万人(全人口の28.7%)おられます。
■高齢者の転倒
65歳以上の3人に1人が1年間に1度以上の転倒を経験しています。これは、約1,200万人に相当します。
■転倒・転落による死亡者数(2019年人口動態調査より)
年間で7,644人が亡くなっています。これは、交通事故による同年の死亡者数の約2.4倍に相当します。
 
4.転倒が発生しやすい場所
■発生場所(救急搬送のデータより)
・1位:住宅居住場所 2位:道路・交通施設
・住宅等居住場所で起きる転倒の9割以上が、屋内で起きています。
■屋内の中でも、居室・寝室で最も多く発生しています。
 
以上をふまえ、転倒予防学会が推奨する、ご本人やご家族への指導の際の合言葉があります。それが 【ぬ か づけ】
です。それぞれ何を意味するのか説明しますと、
 
・ぬれている所はすべりやすいので、気をつけよう
・かいだん、段差がある所に気をつけよう
・片づけていない部屋はつまづきやすいから、気をつけよう
となっています。
 
<転倒が発生しやすいタイミングや動作は?>
■時間帯や状況によって転倒のリスクが高まります。
・夜間のトイレや起床時
・体調の変化がある時(薬の影響が出ている、風邪をひいているなど)
・急いで何かをしようとした時(トイレ、電話、突然の来客など)
・着替え時(特にズボン、靴下、靴の着脱時など)
 
<転倒予防の考え方>
転倒予防の二つの観点についてご説明します。
◎一次予防:転倒を予防する
◎二次予防:転倒した後の外傷を予防する
二次予防は、「予見できない転倒」への対策としても重要です。
 
このうち一次予防についてできることは、次のようなことです。
◇運動などを通して行う、転びにくい身体づくり
◇転びにくい環境整備
◇転びそうな場面での付き添い
これらは、そもそもの転倒を予防するという考え方です。
 
次に二次予防についてできることは、次のようなことです。
◎転落外傷対策:緩衝マットを利用する
◎転倒外傷対策:ヒッププロテクター(下着にパットが入ったもの)、保護帽(頭部外傷予防)、ころやわ®
これらは、転倒した後の外傷を予防するという考え方です。
 

4.  転ぶことの予防


―転倒リスクの評価―


転ぶことを予防するため、まず転倒リスクの評価を行います。
 
転倒リスクのセルフチェック
転倒リスクを自分でチェックする方法です。
■Fall Risk Index (FRI)
口頭の質問で把握できる、簡易的な転倒リスクのスクリーニングです。点数の合計が6点を超える場合は、転倒の危険性が高くなると言われています。質問が多いものもありますが、この方法はとても簡便です。

・過去1年間に転んだことがありますか
はい   5点
・歩く速度が遅くなったと思いますか
はい   2点
・杖を使っていますか
はい   2点
・背中が丸くなってきましたか
はい   2点
・毎日お薬を5種類以上飲んでいますか
はい   2点

(出典:高齢者の転倒予防ガイドライン)

この点数配分をみると、転倒歴があるかどうかが、転倒のリスクを評価する上で重要であることがわかります。
 
転倒の3つの要因
■以下の3つの要因が関連し合うことで転倒が起きると言われています。
①内的要因:身体状況(加齢、疾患、服薬)に関連
②外的要因:周辺環境(家屋環境や服装)に関連
③ 行動要因:行動(対象者側と介護者側の両者)に関連
 
それぞれについて、もう少し詳しくご説明します。
 
①内的要因
■内的要因に分類されるものとして、以下のものがあります。
a.加齢的変化:加齢に伴う筋力・耐久性・バランスなどの低下
b.疾患:転倒しやすい代表的な疾患として、以下のようなものがあります。
⇒・麻痺などが起こる脳血管疾患
・パーキンソン病などのパーキンソン症状が出る疾患
・脊髄小脳変性症などの運動失調症状が出る疾患
c.服薬状況:ポリファーマシー(特に5種類以上の薬)は、転倒のリスクを高めるとの報告があります。また単剤でも注意が必要なのが降圧剤・向精神薬・睡眠薬などです。
 
 
②外的要因
■外的要因に分類されるものとして、以下のものがあります。
a.家屋環境:「ぬかづけ」のキーワードで確認します。
・ぬれている場所
・かいだんや段差
・片づいていない部屋
b.服装:特に履物による影響が大きいとされています。
⇒・スリッパは極力避け、ルームシューズに変えます。
・靴下で室内を歩くことが多い方は、滑り止め付き靴下を対策として推奨します。
 
③行動要因
■行動要因に分類されるものとして、以下のものがあります。
a.対象者側の行動要因:欲求に基づく行動。「トイレに行きたい」「水を飲みたい」
b.介護者側の行動要因:希望的観測に基づく行動。「トイレに行く時は呼んでくれるだろう」
 

双方の行動要因が異なることで、転倒リスクが上がります。


―(狭義の)転倒予防―


次に狭義の転倒予防について考えてみたいと思います。これは、一次予防と同じと考えていただいて良いです。
 
身体機能を高めて転倒を予防しよう!
 
まず身体機能を高め、転びにくい身体を作ることです。
■転びにくい身体づくり
<転倒予防のエビデンスがあるもの>
・集団での複合的な運動介入
・在宅での個別の複合的な運動介入
・集団での歩行・バランスまたは機能的訓練
ex) 太極拳
一方で、「個別でのバランス訓練」「集団での筋力訓練」「在宅での個別の筋力訓練」など、単一的な運動による転倒予防効果は確認されていません。
 
家屋環境を整えて転倒を予防しよう!
次に環境整備についてご説明します。

■転びにくい環境整備
つまずきに対して
・部屋を片付ける(基本的には床に物を置かない)
・わずかな段差(5~10mm程度)を解消する
ex) カーペットの除去、配線コードの整頓
すべりに対して
・滑りにくい床を選択する
・濡らしてしまった際はこまめに清掃をする
ふらつきに対して
・手すりなど、掴むことができるものを適切に配置する
(家具の位置を変更するだけで、支えになることもあります)
 
住宅改修:介護保険制度の活用
手すりをつける時などには、介護保険制度を活用することができます。

■介護保険制度を利用して住宅改修を行うことができます
・住宅改修における介護保険の支給は、工事代金の9割〜7割
・介護保険給付限度額は、20万円まで(原則1回限り)
・住宅改修における利用限度は、要介護区分に関係なく、20万円が限度
 
<介護保険の対象となる工事>
以下のような工事が、介護保険の対象となります。
・手すりの取り付け
・段差や傾斜の解消(付帯する工事として転落防止柵の設置)
・滑りにくい床材・移動しやすい床材への変更
・開き戸から引き戸等への扉の取り替え、扉の撤去
・和式から洋式への便器の取り換え
・その他これらの各工場に付帯しての必要な工事
(出典:LIFULL介護)
 
<福祉用具貸与>
■手すりはレンタルも可能です
なお手すりをレンタルすることもできます。以下の2つはレンタルが可能です。
・つっぱり棒型手すり
・据置型手すり
 

5.  怪我をしないための工夫


 

―基本的な考え方と具体策―


怪我をしないための工夫、つまり二次予防の具体策について考えてみたいと思います。
■外傷を予防・軽減するための考え方
a.骨粗鬆症治療:骨折予防のため、骨粗鬆症治療は必須となります。
b.保護具や環境調整:転倒時の衝撃を減らすために、複数の対策を検討します
・保護帽(頭部外傷の予防):最近はとてもおしゃれな製品もあります。
・ヒッププロテクター(大腿骨骨折の予防):パンツ型のものは履きにくいこともあり、継続して使用することが困難です。最近は、ズボンのポケットに装着できるおしゃれなタイプのものも最近出ています。
・コロバンエアベルト:センサー付きのベルトで、転倒時の加速度を感知して、エアバッグが開く仕組みになっています。
・低床ベッド
・緩衝マット:スポンジ・ゴム製のものがあります。
・衝撃吸収床材
 

―ころやわ®のご紹介―


ここで、衝撃吸収床材であるころやわ®についてご紹介します。
ころやわ®は、
◇立位・歩行時は硬い
⇒普段は硬いから歩きやすい
◇転倒時は柔らかい
⇒転んでしまっても衝撃を吸収
という製品です。
 
ころやわ®の衝撃吸収性は、JIS試験にて確認済みです。計測するとヘルメットをかぶった時と同じくらい、衝撃から体を守ってくれます。畳よりも衝撃吸収性が高くなっています。
 
広島県における実証実験でも、「ころやわ®」の衝撃吸収性を確認しています。広島県内11病院において、1年4ヶ月(2021年7月~2022年10月末)に渡り調査を行なっています。その結果、通常の床上では2,418回の転倒数中、骨折は63回でした。一方で、メカニカルブロック(ころやわ®)上での193回の転倒数中、骨折は0回でした。これはまだ論文にして報告したものではありませんが、ころやわ®を使用することで、骨折の回数は激減していることがお分かりいただけるかと思います。
 
ころやわ®の製品タイプについてです。
ころやわ®は、設置範囲や目的に合わせて2種類をご用意しております。
①おくだけころやわ®(マットタイプ)
 ベッドの周辺だけなど、限られた領域に設置するだけのもの
②どこでもころやわ®(組立てタイプ)
 自宅内の部屋全体などに組み立てて設置するタイプ
 
いずれのころやわ®も厚さは、約20mmです。杖・車椅子を使ってもへこみませんし、掃除や消毒の方法は、既存の床と変わりません。
 
例えばベッドサイドで使いたい場合は、おくだけころやわ®、またはどこでもころやわ®の1床用を利用することが可能です。
 
おくだけころやわ®(3分割マットタイプ)
1枚の「ころやわ®」が3分割に分かれており、ベッドサイドにおくだけでも転倒転落対策が可能となります。お部屋の移動時などに持ち運びがしやすいタイプです。患者さんが短期で入れ替わり、取り外しの機会が多い医療機関(急性期病棟)で人気のタイプです。縁がスロープになっていますので、車椅子でも容易に乗り上げることが可能です。
*製品のズレ防止や清掃を簡易的にするために、切れ目の部分へ養生テープの併用を推奨しています。
 
どこでもころやわ®(組立てタイプ 1床用セット)
通常は床全体に敷き詰めることが多く、1床用セットとしてご利用いただけます。転倒・転落が気になる場所に、メカニカルブロック(ころやわ®)、スロープ、表面カバーの3つの部品を組み合わせて、簡単に設置が可能です。ただ持ち運びが容易ではないので、常設したい時におすすめしています。
なお、どこでもころやわ®は、3つの工程で組み立てが可能です。
①   ブロックを設定(3枚x 4枚)
②   スロープを設定(3枚-4枚-3枚)
③   表面カバーを被せる
 
実際の設置事例をご紹介します。
(東京都/医療機関/場所:HCU/個室病室/タイプ:おくだけころやわ®)
センサーと看護師の駆けつけにより転倒を防ぐだけでなく、「転んでも骨折しない」安全な環境を作るために導入されています。
 
「自分では動かないだろう」と考えていた患者さんが、不意に動いて転倒・転落することで骨折するリスクへの対応策として、脳神経外科病棟などにてご利用いただいています。
 
なお広い範囲に導入したい場合は、おくだけころやわ®に拡張パーツ追加する、またはどこでもころやわ®を広範囲に設置していただいています。
 
有料老人ホームでの導入事例です。
木目調の自然な見た目の床で、変わらない歩き心地ですので、普段の生活に安全をプラスすることができています。導入後、大腿骨骨折報告数は0(ゼロ)(2020年8月~2022年8月報告受領)となっています。普通の床の上に2cmの厚みのあるころやわ®を設置しますので、ドアから入ったところの縁にだけスロープをつけています。
 
次のご導入事例も、東京都内の有料老人ホームです。
入居された方のご家族が「ころやわ®」ブランドを指名してくださり、購入いただきました(施設側の費用負担はなし)。表面カバーの色は、落ち着いた高級感のある「シャインウォールナット」を使用しています。白金エリアで「質の高い暮らし」を実現。高級感と最高水準の安心をご提供しています。
「ころやわ®」は全国の医療機関・介護施設で導入が進んでいます。採用実績は500施設以上。北海道から沖縄まで、全国の福祉施設/国公立病院などで選ばれています。ご入居者様・ご家族様からの「ころやわ®」指名買いにも対応しています。
 
病院や福祉施設だけでなく、在宅での導入実績もご紹介します。
 
<提供状況>
昨年秋まで、在宅でのモニター販売を実施していました。マットタイプ、設置タイプどちらも導入実績があります。現在、販売・レンタルともに可能で、マットタイプはYahooショッピングでも購入が可能です。
 
<介護保険の適用>
在宅で使用する場合、介護保険が適用できるのか気になるのではないかと思います。
・福祉用具貸与:非該当のため、マットのレンタルは自費となります。
・住宅改修:『床材の変更』で申請が可能です。静岡県磐田市で実績があります。「滑りにくい床に変更する」として申請していただくことで、自己負担を極力減らして導入していただくことができます。
 
≪事例≫
・静岡県磐田市
・持ち家戸建て
・被保険者:A様(80代女性)
・同居家族:夫
・改修理由:元々2階を寝室としていたが、階段昇降が大変となってきており、1階の和室にベッドを移動し、寝室に変更することを検討されました。しかし和室は老朽化により凹凸があり、さらに滑りやすい状態だったため、移動の円滑化を図るために床材を変更することになりました。
・予算:20万円以内
 
18日ほどの期間で、6畳の和室が「ころやわ®」の床に入れ替えられられました。
 
今後は、このような事例を増やしていきたいと考えていますので、転倒リスクのある在宅患者さんがおられましたら、ご検討いただけましたら幸いです。
 

6.  まとめ



『在宅における転倒対策 〜転ぶことの予防と怪我をしないための工夫〜』
として、一次予防と二次予防についてお話しをしました。私自身の理学療法士としての経験から、特に二次予防については、これまで十分に考えられてこなかったのではないかと思います。
 
現在、ころやわ®という製品を販売する立場ではありますが、それよりも転倒することに対する医療関係者の意識を変えていきたいと考えています。転倒することは悪いことではなく自然なことです。これからは転倒予防を超えて、“転倒許容”という考え方を推進していきたいと考えています。
 
ころやわ®のデモ品のお貸出しも可能です。どうぞお気軽にご連絡ください。
 
 
<お問い合わせ先>
所在地
〒430-0933 静岡県浜松市中区鍛冶町100-1
ザザシティ浜松中央館B1F・FUSE
<WEBサイト> https://www.magicshields.co.jp/coroyawa/
<お問い合わせフォーム> https://www.magicshields.co.jp/inquiry.html (24時間受付)
E-mail contact@magicshields.co.jp (24時間受付)
電話番号(代表) 050-1742-4400 (平日午前10時〜午後5時)
 

7.Q&A


Q. 訪問看護をしております。自費レンタルの場合、どの程度のサイズで、値段はいくらになるでしょうか?
A. レンタルの場合、おくだけころやわ®の標準サイズが165cmx120cmです。弊社より直接レンタルする場合は、月々6,000円です。福祉用具貸与事業所でも一部扱っていただいており、こちらは少し安くなって大体4,000円です。

Q. 競合会社はありますか?
A. 以前からある緩衝マットやヨガマットを厚くしたタイプの製品を扱う会社は、ある意味競合と言えるかもしれませんが、衝撃の吸収性はころやわ®の方がしっかりとしていますので、性能面では弊社の製品が一番です。また床材の下に4mm程度のスポンジを入れる製品を扱う会社も何社かあります。ただこちらも、大腿骨骨折を予防するという性能面では、弊社のころやわ®の方がしっかりしていますので、自信を持っておすすめしています。ただ、弊社はまだ創業して四期目であり、大量に生産しているわけではありませんので、価格が高いということはあります。

Q. ころやわ®の移動時の沈み込み感はいかがでしょうか?
A. 沈み込み感は、車椅子であればほぼ気になりません。ただベッドを移動させるなど、重いものを移動させるときは、ベッドが重いと感じることがあるようです。また縁に緩やかなスロープをつけていますが、高齢の方などはこのスロープを上がることに負担に感じることがあるようです。今後は、ころやわ®を後付けで設置するのではなく、建設の時点で設置できるようにすることで、スロープをなくすことができるのではないかと考えています。

Q. 転倒リスクは高いが、家の床のレイアウトを変えることに抵抗がある方がおられるかと思います。先生は、どのように声をかけてころやわ®を勧められますか?
A. 高齢の方は、環境を変えたくない方が多いのではないかと思います。実際にあった事例ですが、ご家族の希望で有料老人ホームの床にころやわ®を敷き詰めることになりました。しかしご本人は、床を変えることを嫌がられました。そこでこの時は、床を変えるのではなく、床をきれいにすると説明することで、ご納得いただきました。なおこの時は、できるだけ元々の床のデザインと近いものをご用意しました。

Q. 訪問リハビリをしています。ころやわ®は衝撃があった場合、その部分が凹むのでしょうか?また凹んだ場合、すぐに元に戻るのでしょうか?耐用年数はどのくらいでしょうか?
A. ころやわ®は変形することで衝撃を吸収しますので、凹むという認識で合っています。素材はすぐに元に戻るものを利用しています。耐久性は10年です。通常の床としては、耐用年数が足りないというのは事実です。

Q. スリッパからルームシューズに変えると、どこまで転倒予防になるのでしょうか?またおすすめのルームシューズはございますか?
A. スリッパは非常に不安定です。スリッパから滑り止め付きの靴下に変える、またルームシューズを使う方が安定します。具体的にどのルームシューズが良い、というはありません。なお高齢の方は、足先が寒くてスリッパを履かれることもあります。ころやわ®は、本来は転倒リスク、骨折リスクの軽減のためにご利用いただいていますが、導入することでフローリングよりも温かくなり、足元が冷たくなくなったことを喜んでくださった事例もあります。

Q. 住宅改修を満額されていて、これ以上の改修が難しいご家庭で、「たちあっぷ」などを導入していますが、動いてしまいます。何か据置型で動かない道具(手すり)があれば教えてください。
A. まず据置型でいくつかのタイプがあると思います。難しい場合は、つっぱり棒型が良いかと思います。つっぱり棒型は縦だけでなく、横に連結させることで動かないようにすることができます。あとは、滑り止めシートを併用すると良いのではないかと思います。

Q. 住宅改修の場合、6畳の部屋の全面に入れるといくらくらいかかりますか?
A. 定価だと20万円を超えます。定価は1m2で36,000円です。ただ現在、在宅での利用を広げたいと思っているので、赤字覚悟で6畳を20万円に収めるようにしています。

Q. ころやわ®について興味があります。ころやわ®には傾斜が結構あるように見えました。傾斜による転倒リスクはいかがでしょうか?
A. 傾斜は12分の1にしているので、バリアフリーの基準に則っています。しかし、確かに転倒のリスクはあるかもしれません。でも、これまで傾斜で転倒したという話は聞いていません。

現在、転倒のリスクを減らすために考えている方法が2つあります。ひとつは、新築から入れることです。もうひとつは製品を薄くすることです。衝撃の吸収性を維持した状態で、現在の厚みの半分の厚さにすることで、傾斜をさらに緩やかにすることができます。現在、製品の開発に取り組んでいるところです。





今後の予定につきましては下記リンクよりご確認ください。
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