え?バイキン?娘に胎内記憶を聞いてみたら……
※こちらは、ライティング講座で3回目に投稿した記事です。
以前noteに書いていた内容をもとに書き直しました。
講座の記事は写真を文中に入れずに構成するので、それもなかなか大変でした……!
これは長女に聞いた、ちょっと不思議な胎内記憶の話。
皆さんは「胎内記憶」というのをご存知だろうか?
胎内記憶とは、「母親のお腹の中にいたときの記憶」のことを言う。
「ママのお腹の中、あったかかったな〜」「ぷかぷか浮いてたよ〜」など、
実際に聞いたことがある人の体験談をみると、とても心温まるエピソード満載だ。
せっかくだから、聞いてみたい! と、私は娘への聞きとり調査をはじめた。
ここで2年半にわたる調査結果をお伝えしたいと思う。
ネット情報によると、胎内記憶を聞けるチャンスは一度らしい。
会話ができるようになる3歳くらいがベスト。
入浴中や寝る前など、リラックスした状態のときに聞くと、話してもらいやすい。
何度も繰り返し聞くと、最近の出来事が混ざったり、楽しくて話を盛ってしまうことがあるから注意が必要だ。
娘への聞きとり調査を実行したのは、3歳目前の夜のことだった。
いつもどおりの入浴タイム。
バスボムを渡し、ちゃぽんと浴槽に投げ入れてフィギュアが出てくるのを待つ。
娘は、バスボムが好きだ。
しゅわしゅわと溶け出し、お湯の色が変わっていくのがたまらなく面白いらしい。
溶け出すと、中からキャラクターフィギュアが姿をあらわす。
なにが出てくるのか分からないワクワク感も、楽しみの1つのようだ。
そんな娘の幸せな入浴タイムを邪魔しないよう、私はさりげなく、いたって自然に、
「ママのお腹の中はどうだった?」と聞いてみた。
すると、先程までニコニコ笑っていた娘が、急に真面目な顔になり、振り向いてこう言った。
娘「ママと一緒に……」
私「一緒に……?」ドキドキ
娘「いたいわけじゃないから!」
「……」
私「え?」
頭の中でこだまする。
「ママトイッショニイタイワケジャナイカラ!」
ガーン!
(なにそれ!どうゆうことだ!)
実は娘、予定日より2週間も早く産まれてきた。
夜中にシャーっという感覚とともに、破水からはじまり、半日後には産まれた。
(一緒にいたくないって事は、よほどお腹の中にいたくなかったのか?)
(だから、お腹蹴って破水したとか?)
(それとも今一緒にお風呂に入っていたくないのかな?)
(おいおい、それはそれで複雑だぞ)
平静を装いながらも、頭の中は、「?」でいっぱい。
そんな事はお構いなしに、娘はちゃぷちゃぷとおもちゃで遊んでいる。
今言ったことなど、気にもとめていない。
バスボムに入っていたキャラクターフィギュアが、ぷかぷかとひとりさまようように泳いでいた。
今回のキャラはあまり気に入らなかったらしい。
フィギュアは笑顔だけど、なんだか寂しげ。
思わず自分と重ねてしまった。
謎を残したまま、チャンスは一度きりと言われた聞きとり調査は終了となった。
*
一緒にいたくない発言から1年半たったある日。
娘は4歳。もうずいぶん会話もできる。
夜、寝る準備をしていたとき、
夫が、「ねえねえ、ママのお腹の中どうだった〜?」と、軽いノリで娘に尋ねた。
私は、(また、ママといたくないとか言うかな)と、ドキドキしていると、思いがけない一言が飛び出した。
娘「バイキンがいた〜」
私「えっ!?」
爆笑する夫の横で、動揺する私。
そして畳みかけるように娘は、「そんでねー!パンチパンチパンチ!ってやっつけたの!」
と、ボクシングのポーズをとってシュッシュッシュとジャブを繰り出していた。
私「そ、そうだったんだ……」
彼女のいうバイキンとはなんだったのだろうか。
お風呂で聞いたときとは変わっていて、作り話のようだったから、テレビでみた事が混ざったのかもしれない。
謎が謎を呼ぶ出来事だった。
それにしても胎内記憶とは、まさにビックリ箱だ。
なにが飛び出すか全く予想できないのだ。
想像を越える発言が、次から次へと繰り出される。
そもそも胎内記憶自体、覚えていない子や、答えない子もいるらしいので、聞けただけでもよかったのかなと思っていた。
…………
が!
せっかくだからどうゆうことなのか知りたい!
バイキンってなに!
と悶々としていた。
そして、この謎は思わぬタイミングで明かされることになる。
「バイキンがいた」と聞いたのは、私が第二子を妊娠し6ヶ月が過ぎた頃だった。
数日後の妊婦検診で、夫と一緒にエコーをみていた時のこと。
助産師さんと3人でエコーを見ながら、「ここが目で〜、鼻で〜」と丁寧に教えてもらっていた。
夫が唐突に、「あの〜お腹の中って、バイキンています?」と質問した。
助産師さんは間髪入れずに、「無菌ですよ〜」と笑顔で答えた。
娘が戦ったと言っていたバイキンはなんなのか、聞いてみたかったようだ。
続けて助産師さんは、「バイキン……」と少し考えてから、
「もしかしたら産まれるときの話じゃないかな?」
「破水とかで始まったら、そこからは産道も無菌ではなくなるから、ちょっとはバイキンと会ったのかも?」
それを聞いておもわず私は夫と顔を見合わせた。
はじめにも話したが、娘の出産は破水から始まった。
夜中の12時に破水してから、産まれる昼の12時までの間は、無菌ではなかったことになる。
そしてなにより助産師さんは、私が娘を出産する時に破水から始まったことを知らない。
そうか、産まれる時に進入してきた菌と闘いながら、一生懸命、産道を通ってきてくれたのか。
大変だったろうな、頑張ったな……
そんな想像をしながら、検診を終えた。
冗談かと思っていた、娘が話す胎内記憶(産まれる直前の記憶は誕生記憶というらしい)が、急に真実味をまして、嬉しくなった。
バイキンの正体が分からず迷宮入りかと思われたが、なんとなくつじつまが合いスッキリもしている。
そして先日、第二子が娘よりももっと早い、予定日の3週間前に産まれてきた。
もしかしたら数年後、娘と同じように、
「ママと一緒にいたいわけじゃない!」と答える日が来るかもしれない。
次の胎内記憶の調査も楽しみにしよう。
今度はどんなビックリ箱か。
我が家の2年半にわたる、調査の結果は以上だ。
もし、お子さんに胎内記憶を聞いていない方がいたら、ぜひ尋ねてみてほしい。
過度な期待は禁物だが、思わぬ発見ができるかもしれない。
是非、お試しあれ。
<終わり>
会話形式のテンポが良いと講評してもらった記事です。
確かに自分の文章を読んでいると会話文「」の形式が多いなと気づきました。
これは自分の強みや、読んでもらえる文を書く上では重要なことだなと思いました。
いつの時代も人はストーリーに心動くんですね!
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