【作家視点】1冊の小説が出版されるまでの流れ(#6)
【最初から:①はじめに】
【前回:⑤140字小説選びと新作執筆編】
書き下ろしの執筆を終え、残る作業は目次と解説です。
140字小説は1つ1つにタイトルがあるため、目次にはそのタイトルを並べるのが自然の流れですが、私から1つ、担当さんに提案しました。
今までツイッターに140字小説を投稿してきて、タイトルが後出しでわかるスタイルが面白いと好評だったのです。
ツイッターは140字が上限のため、本文にタイトルを入れる余裕がありません。
ですので、仕方なくタイトルはツリーに載せて、本文を読んだ後にわかる形式にしたのですが、それが意図せず好評に繋がったようです。
「どうせなら、タイトルでも楽しんで欲しい」という思いがあり、タイトルも結構考えているのですが、その甲斐もありました。
ですので、書籍の中でも「タイトルの後出し」スタイルを維持したいと思い、目次にはタイトルを載せないことにしました。
では何を載せたかと言うと、140字小説本文の1フレーズの抜粋です。
これは、まだ140字小説を全てブログに載せていたころにもやっていた手法です。
本文中の一文だけを抜き出すと、「一体、それはどんなシチュエーションなんだ?」となるものも珍しくないため、キャッチーさを持たせられるという考えでした。
ただ、ブログ時代はアクセスしてもらうためにキャッチーさが必要でしたが、本の目次となると、役割が変わってきます。
本屋でパラパラと読む人は、目次より本文を直で見るでしょうし、電子版の試し読みをする方も同じです。
少なくとも、目次を見て購入に傾く人は少ないでしょう。
ですが、そもそも目次の役割は索引にあります。
「あの話を見返したいな…」となった時、どの辺にあるか目星がつくのが目次の役割です。
一文の抜き出しフレーズから索引するのはちょっと難しいかもしれませんが、それはタイトルを載せてても「あの話はどのタイトルだっけ?」となるので、同じことかもしれません。
逆に、一文の方が「あ、そうそう。確かこんな文章があった」と直感的にわかるかもしれません。
その辺りは、ケースバイケース、人それぞれかもしれませんね。
以上の背景により、本書の目次は、ちょっと特殊な形になっています。
この作業は、割とスラスラと終わりました。
問題は「一言解説」の方でした。
【次回:⑦一言解説の執筆編】
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