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2003年卒、23期生の綾部智子(旧姓 本郷)と申します。初めましての方も、そうでない方も、宜しくお願いいたします。

ベトナムに関わる商社に10年、その後、士業事務所に11年務めて今に至ります。商社を退職して以来、ベトナムや海外との関わりがめっきり減ってしまっていましたが、子育てが少し落ち着いた近年、またそれらに関わる仕事ができたらという思いが強くなり、今年4月からは日本語学校で日本語教師を始めました。とはいえ、まだタマゴのタマゴ、研修生で、教案づくりに追われ、授業をしては多くのご指導を頂く日々です。向いてないかも…と落ち込むことも多いですが、1クラス×2の瞳が真剣に私の授業を聞いてくれる様に触れると、頑張らなくてはといつも鼓舞されます。ベトナム語科で1からベトナム語をご教授頂いた先生方やホーチミン市人文社会科学大学で直接法で懇切丁寧に指導していただいた先生方を思い出しながら、初心に戻って留学生たちに日本語を教えていきたいと思っています。

私とベトナムとの出会いは高校時代、世界史の授業でした。当時の教科書は、中国史やヨーロッパ史には多くのページを割いていましたが、東南アジア史は注釈程度、およそ重きを置いているとは思えないような内容でした。が、母校の世界史の先生は東南アジアの歴史を、自作のプリントで何時間もかけて説明してくださいました。その中には、もちろんベトナムがあり、王朝の歴史やベトナムの伝統文化など、興味深い内容をそれはそれは丁寧に。聞くほどに、強さの中に雅さを兼ね備えるベトナムの魅力に引き込まれました。近代の戦争のイメージしか無かったベトナムに、鮮やかな色が付き、もっとこの国を知りたいと思うようになりました。このことをきっかけに、大学で専攻するなら、「世界のことを」と漠然と思っていたところから、「ベトナムのことが勉強できる大学へ」と目標が定まり、ベトナム語科の門を叩いたのでした。

私の生活に根付いているベトナムは「食」です。私は、本当に食べることが大好きで、各国料理何でも作りますが、特にベトナム料理はただならぬ情熱で作っています。今も家では週2日はベトナム料理が食卓に並び、家庭菜園では野菜だけでなく、フルーツやパクチー、レモングラスなどのハーブも一年中収穫できるようにしています。

卒論のテーマは、「ベトナムの精進料理 (Ăn chay)」でした。皆様もご存知のとおり、ベトナムはお寺の前に精進料理屋さんがあり、とても人気があります。メニューもとても面白く、野菜や厚揚げなどを使ったもの以外にも、通常の肉や魚を模したもどき料理も豊富でThịt khoやBò bít tét 、果てはốcまであります。精進を実践しつつも、ここまでもどきにこだわった料理の数々に、人の欲望とは…と考えさせられました。ここに載せられる写真はないかなぁと、大学時代の資料をひっくり返していたら、プリントアウトした画像がありました。ちょっと見にくいですが、雰囲気は伝わるでしょうか。これは、全部精進料理です。

また卒論のためにベトナム全国を周って収集した、精進料理についてのたくさんのアンケートも出てきました。北、中、南部各地のたくさんのベトナムの人が、精進料理を食べる動機や精進料理に対する認識についてを書いてくれたアンケート。懐かしくすべてに目を通し、各地の調査とアンケート行脚に同行してくれたベトナムの友達や、知り合いにアンケートの協力を仰いでくれた留学中の先輩、同期、後輩のことなどを、感謝とともに思い出しました。また、留学中には、カルチャーセンターの料理クラスに入ったり、友達のおばあちゃんに精進料理を教えてもらったり…料理をよく習いに行っていました。これらが今もベトナム料理づくりの基礎になっていると思います。これは余談なんですが、ベトナムではどこで料理しても、「なんでそんな危ない包丁使いをするのか!!」と驚かれたり注意を受けたことは、当時本当にカルチャーショックでした。(日本人は自分に包丁の刃をを向けて皮をむくので…笑)

和食よりベトナム料理のほうが母の味になっている3人の子どもが居ますが、やっぱりベトナムとベトナム料理が大好きです。コロナ禍の数年間はベトナムに行けませんでしたが、ここらでまた、子どもたちを連れて、ベトナムの食をアップデートしに行きたいと思っています。


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