自然気胸 NG+ Deathless RTA 完走レポート

2023年3月31日から4月6日までをかけて自然気胸RTAを完走したレポートです。今回はNG+で、左肺の2回目の気胸です。また今回はdeathをできるだけ避けるという制限付きのプレイによるRTAです。なおNG Any%カテゴリの難易度は高いということを聞いています。
今回の入院から土日を除き2日で手術、手術後2日で退院という記録は、痩せ型男子で特に人気と言われる自然気胸RTAコミュニティでも良い方の記録かと思われます。チャートの助言をいただいた近所の内科クリニックの某先生、神奈川県立循環器呼吸器病センターの呼吸器外科の某先生と看護師の方々、自然気胸について広範囲にわたる情報やQ&Aを掲載している国立埼玉病院呼吸器外科、少し遠いにも関わらず手術と退院に立ち会ってくれた母には多大な感謝を申し上げます。

2023-03-31

朝ごはんを食べていたら左胸に痛みが走って、その痛みの強さから気胸を疑う。その時点でツイートしていた。ただ息苦しさはあまりなく神経痛っぽい感じもしたので放置。午後になって良くなった気がしたが夕方に差し掛かりまた痛みは増し、息苦しさもでてきたので気胸を確信した。

前回気胸になった時と同じ病院が今は自宅から遠いため、まずかかる医療機関を探す。この時点で判断材料として、この痛みだと今日中に胸腔ドレーンを入れる処置が必要だろうこと、同じ左肺で二度目であることから胸腔鏡下の手術をする流れになることを知っていたので、肺の手術ができる呼吸器外科が設置されている病院に今日中に入院することを目標に据えた。

病床がある病院でも呼吸器外科があるのは大学病院か、先進医療や急性期医療を据えていることが多く、紹介状なしの外来はともかく医者の紹介があっても断られることもある。ここでの突破口はインターネットであり、気胸を積極的に取り扱っている大学病院ではない病院から近場を探しておいた。

いずれにせよ最初に気胸の診断をもらい紹介してもらう必要はあるため、近所で肺のレントゲンを撮り診察をできる医者を探した。幸い近くの内科がギリギリ開いていたので滑り込み保険証を出しながら「たぶん気胸なんですけど」と言ったら間髪入れずレントゲン室に案内された。

結果的にかなり肺が萎んでいた。医師はまず慣れた手つきで、近くの呼吸器外科がある大和市立病院に紹介してもらったが断られ、呼吸器内科しかない病院にリダイレクトされた。確実に転院が必要になるためそれは断り、探しておいた神奈川県立循環器呼吸器病センターはどうかと伝えてみた。医師は躊躇なく電話をかけてくれて、詳しく病状を伝えてくれて、その時の先方で対応した医師が偶然呼吸器外科医だったことも幸いし快く受け入れてくれた。

「〇〇先生御侍史」とか仰々しい宛名(「先生直々にお手紙お送りするのは大変畏れ多いので秘書宛のお手紙です」という意味)が書かれた紹介状を片手に一回家に帰り、まずシャワーを浴びた。のんびりしてると思われるかもだがこの先1週間くらい胸の中にチューブを入れっぱなしにしてシャワーを浴びられない。その後Switchと着替えと洗面用具一式を揃えて駅前のタクシーに乗り病院まで飛ばしてもらった。

循環器呼吸器病センターに着いたら当直の看護師と呼吸器外科医がすごく丁寧に対応してくれた。まずCOVID-19の検査、その後血中酸素濃度やレントゲンでの肺の様子の検査、同意書やアレルギーの確認などを経て緊急入院という形で病室を用意してくれた。レントゲンでの診断をもとに医師が手術が必要なことと手術日程の見通しを伝えてくれてとても安心感があった。病室で落ち着いたところで医師が胸腔ドレーン(胸に穴をあけ管を通し肺から漏れて胸腔に溜まった空気や体液を外に出す)を入れる処置をしにきた。自分は痛いのが苦手なのでかなり騒いだが無事終了。ドレーンの位置を確認するレントゲンをもう一度とり、痛み止めを飲んで睡眠に入った。

2023-04-01

自分でもびっくりするくらい順調に入院から手術日程まで見通しがついたので各所に連絡した。あとはひたすら寝ていた。というかドレーンが痛くて寝ないと体力がもたない。自分は薄味も好きなので病院食はけっこう楽しい。少量でありきたりだけど自分では料理しないようなものをたくさん食べれて良い。あと病室から満開の桜と横浜の中心部が遠くに見える無駄なハイスペック。

2023-04-02

少しずつ痛いのに慣れてきたが痛いものは痛い。レントゲンをとるくらいであとはベッドでゆっくりしていた。手術が4月5日になる方向で正式に調整を始めたりした。

2023-04-03

入院して最初の平日なのでたくさん検査をする。脇の下から管が刺さったまま採血から始まり、レントゲン、CT、心電図をこなしてヘトヘトになった。
お昼前くらいに、新年度で人員異動にため急遽明日手術したいという話が来て、早く管を抜きたいという気持ちでいっぱいな自分には棚からぼたもちなので快諾。いきなり看護師も含めてバタバタと準備を早めた。
親と通話を繋ぎ手術説明を呼吸器外科医と麻酔科医から受けいろいろな書類にサイン。CTスキャンの結果はっきりとした病変(今回の気胸を引き起こした箇所)が見つけられなかったが、膜が分厚くなっているところがありそこだろうという予想と、右肺にも大きな肺嚢胞(穴が開きやすい気泡のような肺の病変)があり、術中にそこが気胸を引き起こした場合右肺の緊急処置が必要になるだろうことなど説明された。麻酔科の医師は通話を繋ぎながら説明するのは初めてだと言っていた。
緊急入院の時に胸腔ドレーンの対応してくれた医師が執刀医になることになったので安心感がさらに上がった。

2023-04-04

手術までの流れ、手術後の退院までの行程の説明があった。早くて3日で退院できるとのこと。手術に使う点滴を入れたが痛かったしなんなら次の日に抜くまでずっと痛かった。手術用は通常より太い針らしい。
昼過ぎくらいに13時から手術開始の予定との通知が来た。手術立ち会いの母はすでに到着しており荷物をまとめて面会室へ。なお手術後に集中治療室(ICU)で一晩過ごすには確定していたため、ICUに持ち込めるものが制限されている関係で持ち物を看護師と一緒に精査した。スマホはおろか本も持ち込めないのでかなり暇になりそう。

13時が近くなり看護師と一緒に渡り廊下を歩き手術室へ。途中で広い窓から海が見えて綺麗だった。手術室の入り口はドラマで見たことあるようなでかい自動ドアで、中に入ってしばらく待機したらいきなり4人くらいの看護師と2人の医師に囲まれて名前の確認、ヘアーキャップ装着からの手術室への案内。急に緊張してきた。
手術室のベッドはかなり狭くピッタリ体が収まる感じ。胸に管が入っているので横になるのも一苦労だが背中を支えられつつ横になる。手早く検査着を剥がしていき計測するチップみたいのを体に貼り付かれていき、いよいよだなという感じがした。その間に周りを見回したがいかにも手術室という感じで、奥の方では執刀する医師がCTスキャンの写真を大きな画面で見返していた。
この手術では気胸を起こした左肺を萎ませて切り取るため、全身麻酔は点滴から静脈注射していくことは説明されていた。麻酔科の医師がこれから麻酔を入れていく合図をしたのちすぐ、だんだんと手足の感覚がなくなっていき、少し体全体が痺れるような感覚をして少しずつ意識を失っていく感じがあった。記憶が正しければ周りの医師と看護師に「すごい、本当に効いてきてる」みたいなしょうもないことを言っていたはず。

急に目が覚めて、手術が無事終わったことが告げられた。一瞬だけどういう状況なのか思い出せなかったがすぐに把握した。その後意識半分のままICUまで運ばれ、その道中に医師にはっきりとした病変を見つけたので取り除いたことが説明された。意識半分ではあるがその言葉でかなり安心した。

ICUは薄暗く狭いというイメージで覚悟していたが、正面に大きな窓、窓から散りかけの桜とその奥一面に東京湾と対岸の房総半島という絶景だった。ただもちろんやることはないので桜の蜜を吸いにくる鳥が枝に必死にぶら下がったり逆さまのまま蜜を吸ったりしているのをずっと眺めていた。あと横須賀の方が見えたので軍艦みたいなのが二隻いるのが見えてたが特に何もなかった。
ICUはICUというだけあって常に心拍数、血中酸素濃度と呼吸回数がリアルタイムで計測される。人によっては動脈に管を刺して血圧をリアルタイムで測るらしいが想像しただけで痛い。数値が上下するとかなり気軽に警告音を鳴らしてくるし、何回か全く呼吸してないことになって警報を鳴らしてきて少しびびった。血中酸素濃度は92以上が正常と聞いていたがしばらくは93-94くらいを推移していたので結構意識して深呼吸していた。というかそれ以外にやることがない。
しばらく経つと呼吸器外科の医師が詳しい手術の結果を教えてくれた。狙い通りのはっきりとした病変があり切り取ったこと、そのほかに破れそうなところがあり縛って漏れないようにしておいたことが説明された。翌日レントゲンの結果を見て胸に入っている管を抜き退院へ向かう。
担当の看護師はかなり丁寧に対応してくれて、全身麻酔直後で基本動けないので、ベッドの上げ下げ、歯磨きの準備、体を拭く、尿瓶の用意(実際にするときは1人にしてくれる)など至れり尽くせりだった。全体が見えなかったけど多分患者1人に対して看護師が1.2人くらいいたはず。
手術直後は誤嚥の危険があり何も食べてはいけないため、点滴を打ちながら寝る流れ。本当に何もやることがないので寝るしかない。一回看護師にみんなこんな暇な中どうしてるのかきいたら、大体の人は痛みに耐えるのに必死で暇な人はあまりいないと言われて少し反省。でも暇なことは暇なので寝たりバイタルの計器を眺めたり景色を眺めたりした。

2023-04-05

翌朝起きたら採血があったがすでに痛いからか慣れてきたのかあまり痛くなかった。その後レントゲン写真を撮ると言われてついに歩くのかと思ったらベッド横までどでかい機械がやってきて颯爽とX線を胸に浴びせて帰っていった。レントゲンってそんなことできるのか。

肺のレントゲン写真から回復に向かっていると判断され、昨日の呼吸器外科の医師が管を抜きに来た。これは前回の気胸でもやったことだが肺を傷つけないように息を抜くのに合わせて吐いて止めるということをやる。管が入っていた手術跡に固定テープを貼り完了。5日ぶりに胸の中に管が入っていない生活になった。ただまだ点滴に針は入っているのでけっこうつらい。
病院に来てドレーンを入れてからずっと便秘気味で一回も出なかったが、管を抜いたら数時間後に一気に出た。環境に変化で便秘になりやすいがそれ以上に管が入っていると踏ん張りにくいのもある。

午後になり昼ごはんを完食したことを確認後、抗生剤を点滴してから点滴針をとった。抜いてみてからその針の長さにびびったし長い間入っていたので少し出血したが無事塞がった。ついに体になにもつながっていない自由な身になった。積極的に動いてと言われていたので3階分の階段を2往復したがちょっとはしゃぎすぎたかもしれない。
夕方に医師がまた様子を見に来て、翌日午前のレントゲンで問題なければその日のうちに退院という流れになった。

2023-04-06

午前、朝ごはんを食べたらレントゲン検査に呼ばれ、その後医師がきて問題ないので退院という結果に。お昼ご飯を食べてから着替えて準備をし、会計を済ませて退院という形になった。胸腔鏡手術ということもあり保険適用前で100万円を超える入院になったが、健康保険のおかげで10万円以内に収まった。


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