見出し画像

子どものお絵かき…どう関わればいい?発達を解説します!

子どもが大好きなお絵描きですが、大人がどう見守った方がいいのか、どんな発達が見られるのか、わからなくなったことはありませんか?

・子どもはなんで絵をぐるぐる描くの?
・どんなことに気を付ければいいの?

子どものお絵描きには腕の発達拇指対向(ぼしたいこう)という指の動きの発達が大きく関わってきます。それぞれの意味を知ることで関わり方の参考になるでしょう。

一緒に学んでいきましょう!

園長コマツ
とある私立認可保育所の園長です。 子どもや保護者、職員みんなが活き活きと暮らせる保育園へ向けて悩みながら改革中。 自分の取り組みや学びをNoteを通して発信します。 プライベートでは二児の父。 好物はハンバーグ。



子どもが絵を描き始めるのはいつぐらい?

絵を描くのに大切な発達「拇指対向(ぼしたいこう)」

子どもは絵を描き始めるのはいつぐらいからでしょう?

もちろん、色々な形で早めに始めることはできるかもしれませんが、子どもが自分の力でペンやクレヨンを握り、自由に絵を描くようになるのは1歳位からです。

しかし、この時期は個人差が大きい時期です、決まった年齢になっても行動が見られない時があります。

発達の目安として、拇指対向(ぼしたいこう)ができてきたら、ペンやクレヨンを握って絵を描くことができるようになるでしょう。

拇指対向(ぼしたいこう)とは?
親指と人差し指を向かい合わせて使うこと。
拇指対向がどんどん発達していくと、より細やかに物を持てるようになります。

例えば、ティッシュをつまむ、本のページをめくる、紐をほどく、積み木を重ねるなど、この時期から見られるようになります。

子どもがティッシュを出しまくる経験ありませんか?これは拇指対向が発達し、指が自由に動かせるようになってきているからです。ティッシュを出す感触の気持ちよさと相まって、出しまくるわけです。

手指の発達は脳の発達に密接に関連し、身体機能・精神発達にも影響を及ぼすと考えられています。ティッシュを破られるのはストレスが溜まりそうですが…子どもの手指運動は保障してあげたいものです。

ちなみに、園長コマツはこのオーガンジーで疑似ティッシュを作ったら、ハマりました。色々な色があるのと、シュルシュル~という感覚が気持ちよかったみたいです。

ティッシュを出されてイラッとしてしまう場合は、繰り返し使える布で代用するのをオススメします。

このサイトに作り方が載っています。簡単に作れて楽しいですよ。


まずは直線から

1歳ごろになると、いよいよペンやクレヨンを握り、絵を描いていきます。しかし、先ほど説明した拇指対向はまだ発達途中です。なので、肩を軸として、腕を上下左右に動かします。この段階では点々や縦線、横線などの直線を描いていきます。


始まるぐるぐる描き

1歳6か月頃になると、肩だけの動きではなく、次第に肘を軸に動かす事が出来るようになります。さらには肩と肘を連動させることで、ぐるぐると円を描けるようになります。

一見、なぜぐるぐるばっかり描くのだろう?と思うかもしれませんが、お絵かきをするにも、ちゃんと段階があるのですね。

この「体の様々な部位が連動する」というのは一見普通の事です。しかし、身体の機能が発展途上の子どもからすると、動作を連動させるのは難しいのです。たくさん、ぐるぐる描きを経験することで、自分の動きとして修得しているのですね。

この時期の描写の特徴としては、円・短形・十字形などのシンボルを1つ書くことも特徴的です。


進化する「ぐるぐる描き」

2歳を過ぎるころには、手首を軸にしたぐるぐるを描くようになります。大きな動作から、小さな動作で円を描けるようになる、より効率的な動きができるようになる、これは紛れもなく成長の証と言えます。

さらに描く内容も、円を複数組み合わせたり、線を足していったり、少しずつイメージを持って描いていきます。ここから更にイメージが発展すると、人の顔を描いてみたり、木を描いてみたり、いわゆる絵画へ繋がっていくのです。

絵と言葉は繋がっている?

絵を描くことと言語の発達は連動しているとも言われています。

例えば、子どもが描いた絵に対して「これなぁに?」と聞くと、子ども達は言葉を尽くして説明してくれます。自分のイメージしたこと、描いたことを言語化するのは言葉の発達へ繋がります。

「ほら、ワンワン描いてみたよ~」など一緒に絵を描きながら、自分の説明をしてあげることで、犬の視覚=ワンワン、という言葉が結び付くのです。

また自分の考えたキャラクターに名前をつけたり、設定を話したり…絵を描くことで話す能力にも繋がっていくので、大人と一緒に楽しく絵を描く時間も大切にしたいですね。


子どものお絵描きで大切にしたいこと

子どもにとって絵を描くことの意味や大切さを解説してきました。それでは、大人はどのような事に気をつければ良いのでしょう?

すぐに描ける環境を整える。

まずは絵を気軽に書く環境を整えることが大切です。保育園ではある程度環境が用意されていると思うので、今回は家でのバージョンの説明をします。

家で遊んでいる場合、子どもが「おえかきしたい!」となった時、正直少し面倒臭いですよね?紙を用意して…クレヨンとペンを用意して…机が汚れないようにシートを敷いて…やる事はたくさんです。

その割に書き始めたら、すぐに「やーめた」となり、準備の時間の方が大変だった…となるケースもありますよね。

子どもにとっても大人にとっても、絵を描くまでのハードルを下げる環境作りが大切です。その為には以下の点を整えてあげると良いでしょう。

・使いたいものが定位置にある。
・すぐに始めることができる。
・部屋の壁沿いなど、集中して取り組める。

また、体のサイズにあった机を用意してあげると良いでしょう。園長コマツはこの商品を使用しています。

イスとテーブルのサイズが変えられるので、ある程度大きくなるまで使用できます。また、引き出しがついているので、中に紙とペンをしまっておけば、すぐにお絵かきが開始できます。

デザインも可愛らしいですよね。ちょっと値段はしますが…。娘が1歳半の時に購入し、3歳になった今でも余裕で使えています。お気に入りの机です✨


発達に合った道具を用意する

これまで解説した通り、ぐるぐる描き1つをとっても、様々な発達を経て到達します。その際に発達に合っていないものを用意してしまうと、上手く描けなかったり、使い方によっては怪我をしてしまいます。子どもの発達に合った道具を用意することが大切です。


1歳~
1歳の書き始めの頃であればベビーコロールがオススメです。

オススメポイント
・握りやすく、柔らかいフォルムで初めての赤ちゃんにも抵抗なく使用できます。
・通常のクレヨンと違い、舐めても大丈夫な素材です。
・積み重ね出来るので、クレヨン以外でも遊びが広がります。

保育園でも定番のアイテムですね。


1歳6か月~
この時期ぐらいからは拇指対向がしっかりしてくるので、もう少しペン型のものにしても大丈夫です。色も少しずつ色の名前を憶えてきたり、好きな色も出始めるので、色数を増やしてもいいと思います。

オススメポイント
・クレヨン等の老舗メーカーで安心感のあるクオリティ。
・値段が手ごろで使いやすい。
・握るのにちょうど良い太さで、色数も多い。

一度は聞いたことあるメーカーだと思います。やはり老舗のメーカーは作りが考えこまれている物が多く、安心感を持って子どもに提供できます。
色味もとても素敵なので、ぜひお子さまと一緒に絵を描いてみてください。


2歳~
2歳を超えたあたりであれば、様々な素材に触れ合うことも大事です。

紙質を変えてみる、絵具を使ってみるなど、色々な素材に触れてみましょう。指先がかなり器用になってきます。また、描きたいもののイメージが少しずつ出始めてきます。

色数の多いものにする、ペン先が細かいものにして描き込める、などの物を選ぶと良いでしょう。園長コマツのオススメは以下の商品です。

オススメポイント
・色合いが良い
・描き心地がなめらか
・芯が折れにくい

様々な道具を使う事も有効です。絵の具、スタンプ、ボールペン、サインペン、描く道具だけでもたくさんあります。

自分を表現する幅を持たせるために、様々な道具を用意してあげると子どもも集中して描けます。


大人はどう見守ればいい?

これまで、お絵描きの発達や環境について解説してきました。さて、これらを踏まえた上で大人はどのように見守れば良いのでしょう?

発達に合わせておこなうことが大切です。

上記で解説したとおり、お絵描きにも意味があり、発達の段階があります。段階を踏まえて、大人も距離感を変えていくことが大切です。

1歳~
・とにかくやりたい!時にすぐにできる環境を整える。
・「楽しいね」「いっぱい描けたね」など、楽しい気持ちを言葉にして共感する。

2歳~
・イメージが膨らむ時期。先入観を与えないように、大人の手本は控える。
・「これなぁに?」など子どものイメージを引き出す声掛けをすると〇。

3歳~
・自分で目的を持って絵を描き始める時期。一緒に絵を描くことを楽しみましょう。
・「これはどういうキャラ?」「好きな食べ物は?」「どんな人なの?」など子どものイメージが膨らむような声掛けや会話を楽しみましょう。


"絵を評価しない"姿勢が大切

みなさんは、子どもから「みてー!」と絵を見せられた時に、どのように答えていますか?おそらく、多くの人が「上手だね」と答えたことがあるのではないでしょうか。しかし、この「上手だね」という言葉かけが、意外な落とし穴にもなるのです。

保育士が保育をする上で、指針となっている「保育所保育指針」の解説には、このような文章が記載されています。

遊びには、子どもの育ちを促す様々な要素が含まれている。子どもは遊びに没頭し、自ら遊びを発展させていきながら、思考力や企画力、想像力等の諸能力を確実に伸ばしていくとともに、友達と協力することや 環境への関わり方なども多面的に体得していく。ただし、遊びの効用は こうしたことに限定されるものではない。遊びは、それ自体が目的とな っている活動であり、遊びにおいては、何よりも「今」を十分に楽しむ ことが重要である。子どもは時が経つのも忘れ、心や体を動かして夢中 になって遊び、充実感を味わう。そうした遊びの経験における満足感や 達成感、時には疑問や葛藤が、更に自発的に身の回りの環境に関わろう とする意欲や態度の源となる。

保育所保育指針解説

ここでは「遊び」と記載されていますが、「絵」に置き換えて読み返してみましょう。

子どもにとって、絵を描くことの出発点は、何かを学んだり、上達するためというわけではありません。描くこと自体が目的だったり、描くことで充実感や達成感を得たりしています。

そのような時に「上手だね」という言葉かけは、『評価』として伝わってしまう可能性があるのです。すると、子どもの絵を描く動機が、「楽しい」から「褒められたい」へ変わってしまう可能性があります。

もちろん評価によって意欲に繋がったり、達成感を味わったりすることもあります。ただ、安易に「上手だね」という言葉を使用するのは、よく考えて使用するようにしましょう。

私も娘の絵に「上手だね」と伝えたら、絵の上からさらに色を塗りつぶしてしまいました。娘からしたら、もっと褒められたいから、色をいっぱい使ったのかもしれません。親の言葉とは、子どもにとって大きい存在、ということを学びました。


自分が感じたことを伝えてみよう

「上手だね」という言葉がつかえないと、どうやってコメントしたらいいの?と思われるでしょう。結論を言えば、「評価」ではなく「感想」や「疑問」を伝えると良いでしょう。

例えば…

・この絵を見て、なんだか元気がでてきたよ。
・一生懸命描いてる姿を見て、嬉しくなったよ。
・ここはどんな気持ちで書いたの?

など、自分が感じたことを伝えると、「評価」ではなく「感想」になります。もちろん、なぜこのように描いたかなど、気になった部分を聞いてみてもよいでしょう。そこから、やり取りが発生し、子ども自身も楽しくなったり、次はこう描いてみよう!という意欲へ繋がります。


まとめ

お絵かきの発達
・絵を描き始めるのは「拇指対向(ぼしたいこう)」が発達してから。
・「拇指対向(ぼしたいこう)」とは物をつまむ力
・お絵かきは1歳頃から腕をつかって直線から始まる。
・1歳6か月頃から肘や肩を軸にぐるぐる描きが始まる。
・2歳頃から手首を固定したぐるぐる描きが始まる。
・絵と言葉は繋がっている(イメージを言語化する力)

お絵描きで大切にしたいこと
・発達を理解する。
・発達に合った道具を用意する。
すぐに描ける環境を整える。

大人の見守り方は?
・発達に合った言葉かけをする。
・絵を評価しない姿勢。
・自分が感じたことを伝えてみる。

以上です。参考になれば嬉しいです!


コチラもオススメです!

園内研修のススメ

保育園、幼稚園、こども園向けの記事ですが、組織開発やチームビルディングはどの業種においても役立つ知識だと思います。進め方はもちろん、配布用資料や研修時の台本データもダウンロードできるようになっているので、すぐに活用できます。

知っているようで、なかなか知らない……子どもについての話をわかりやすく解説しています。

「子どもは自分自身で育つ力がある」
これまで保育士を経験し、たくさんの書籍を読み、学んだことです。
「子どもを育てよう!」と意気込んでしまうと、上手くいかなかったり、疲れてしまうことがあります。そのような時に「子どもは自分自身で育つ力がある」ということが信じられれば、気持ちが軽くなるかもしれません。

保育士の視点から、こどもの育つ力について、解説しています。

仕事でつまづかないコツ

仕事をするうちに…様々な悩みや問題に直面します。そんなとき、ちょっとしたコツを知っていればトラブルを回避できるかもしれません。現役の管理職である、園長コマツが仕事をする上で役立つ「コツ」を発信します。

保育【制度、ガイドライン、ニュース】まとめ

🌈目の前の子どもが健やかに育つこと
🌈これからを生きる子ども達が希望を持って生きる社会を作ること

これは私たち大人の役割だと思います。そのためには、国の動向や社会のニュースを知る事が大切だと思います。それらをわかりやすく解説しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?