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政治家と行政に読んでもらいたい「待機児童」のウソと保育園の既得権益の闇が子育てを阻害する②

前回の続き。前回は「待機児童ゼロ」は実は行政的政治的に成果として主張しやすい定義であって、実際の本質的な待機児童のイメージとは違うよ。ということと、本来あるべき姿について書きました。

本日は、保育園の闇や既得権益について言及してみます。ですが、その前に理解してほしい知識として保育士さんの待遇について

1、保育士さんは低所得者は本当?

保育士は給料安い!!と言われ続けてはや数年…なんだか手取り14万とかあり得ない数値がsns上で先走りしてますが、そんなこたぁないです!

普通に基本給+処遇改善費(ばらつきありますが3〜4万)で残業無しでも総支給で25万くらいはあります。

加えて、家賃補助がありますので一定の条件満たせば月85000円の補助(ほぼタダで住める)あるので可処分所得は高いはずです。

ですが、某地域の役所調べではこの処遇改善費をまともに出している園は50%程度という報告もあり、毎年の監査で指摘されたりしてます。つまり、保育士さんに還元すべきお金なんですが、還元し切れていない園も多いということ。

サービス残業や持ち帰りの仕事などの無料奉仕が常態となってる園は経営者や運営者の怠慢と言えます。実質賃金下がるし。

■保育士さんを悪用する企業もある

これは、「子どものため」という理由を使ってサービス残業や持ち帰りの仕事をさせる経営者がいまだに少なくないということ。

えぇ、子どもためってそれ、普通なんで。。普通だからこそ、ルール通りに残業はしっかり払うものだし、持ち帰りは無くすのが普通です。それを子どもという大義名分を悪用して押し付ける経営者はアホです。そんなんしたら保育士さんは「子どものためって何だろう?」と思っちゃいますよ!

2、保育園の闇①

保育園は元々は大地主さんや神社、お寺さんなどの大資本家が経営者の大半でした。当然、地元では名士だったりするので政治家には「選挙」の時にはありがたい存在です。

なので、政治家が立法し、執行するのが行政機関ですから当然の如く、大資本家達に有利な仕組みが出来上がりました。

超長い間、保育園はボーッとしていても沢山の園児が送り込まれてくるので左団扇で経営できていました(過去形)

園児置き去り事件の舞台となった園の経営者も大資本家です。

そうすると、経営をまともにやる人は少なく、仕事の効率化はせず、皺寄せが保育士さん達に行く。でも子どもの命を預かってるんだから!とゴリ押し経営体質になります。なので、色々な皺寄せが保育士さんへ溜まり、他のお仕事と比べても「あれ?」的な状態が常識的になったりもしました(ほぼ過去形)

・保育園はキャパの大きい園はより補助金もらえる
・保育園は長く続いてる方がより補助金がもらえる

という仕組みです。サイズがどうあろうが、長かろうが「仕事」にはそんな差がないと思うんですが…

要は大資本家優遇策の1つです。

前回も言及した待機児童のウソにも絡みますが、「待機児童」が流行ったお陰で、保育園が沢山出来まして、ここ2〜3年はかなりの園で定員割れになったりしてます。大手電鉄会社とコッソリ提携出来てる優秀な経営者の園では駅中とか超良い立地を確保できるのでいつでも人気園ですが。

定員割れが起き始めたら焦るのは左団扇だった「大資本家」の経営する園です。

そうすると、実質的な総量規制を舵をとるような「力」が働きます。実際に、ここ数年で保育所新規整備事業に民間企業が応募する際には実際にかかるイニシャルコストの3倍もの真水資金が実質的に要求されるようになり、年々そのハードルは上がってきています。

30名定員の保育所で5000万ちょい。
60名定員の保育所で1億ちょい。

の真水資金がないと選考ベースに乗りません。要はイニシャルコストのハードルを上げることで新進気鋭な小資本企業の門前払いを実現しています。大資本の老舗園は今までの留保で数億なんて歯牙にもかけない体力がある園も少なくありませんから。

こうして実質的総量規制を行い、老舗園には自治体が保有する大規模施設の無償貸し出しで園の経営をやらせることで更に肥太る体制が出来ています。

ここからは僕個人の弱小ではあるけどもイチ保育園経営者としてのスタンスになりますが、保育園は児童福祉施設です。

なので、子どもの写真とか売りません(うちは無料ダウンロードにしてます。だって子どもが被写体ですもん)し、一部の園では有料課金コースになる部分も全て無料で親の資本力によって子どもが受けたいのに受けられないカリキュラムがあるというようにはしてません。子どもが受けたくても受けられない時の顔を見てほしい。保育士さんたちもかなり切ないはず。

園児の保育の質は大人の質に反映されます。

うちでは残業もほぼ無しです。仮にあっても100%払いますし、持ち帰りの仕事ありません。年間休日も130日を基本として有給は完全消化してますので3日にいっぺんは休みです。うちは、包括保険も独自加入してるので従業員で傷病者が出た場合は保険からお見舞い金もそれなりに出ちゃいます。コロナでもかなり支払いました。

とはいえ、このコロナでは国の保育に対するプライオリティが見えた気もしてます。

コロナ最盛期。エッセンシャルワーカーという言葉が取り沙汰され、お医者頑張って!的な流れがありました。うんうん。そりゃそうでしょう!!諸手で賛成です!

でも我々保育園もですよ。しかも他業種との圧倒的な違いは防護対策が取りにくいこと。密も密ですし、なんなら鼻水、ヨダレ、糞尿まみれです。ちょっと糞尿まみれは語弊ありますね笑 要は保育園では無理なんです!乳幼児にマスクも0〜2には無理でしょ!

それでも保育士さんたちはコロナへの不安ありながらも頑張ってくれましたよ!!

どうしてもコロナ罹患者は出ます。ゼロだった園があったとしたらPCRしてないだけでしょ。そうしたら「休園」にもなります。お子さんが罹患してないパパママさんには怒られますし、働きに出れない分とうしてくれるんだ!となります。お気持ちは重々承知してますからこちらとしても心苦しいのです。

でもそういうルールなので致し方ありません。そして、コロナ罹患した職員が保育士の場合、月間労働時間が120時間を割りますから、園は役所にお金を徴収されます。

休職者が出て人員苦しい中回して、更に罰則のようにお金が徴収される。。これは苦しかったし、腹ただしかったです。

つまり、日本ではエッセンシャルワーカーの中に保育所は入ってませんでした。これが現実です。


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