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ルクセンブルク VS アゼルバイジャン戦レビュー

2022W杯欧州予選、グループAの第4節。相手が相手だけに、絶対に落としくない一戦。
加えてこの試合は、新スタジアム”Stade de Luxembourg”のお披露目試合。新たな門出を勝利で踏み出したい。

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フォーメーション

基本的フォーメーションは4-3-1-2で、攻撃時に3-4-2-1、守備時に4-5-1気味に変えていた。

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ビルドアップはポゼッション重視。サイドバックのLaurent JansとMica Pintoが高い位置を取り、中盤の底にポジションしているChristopher Martins(CMP)が降りて、最終ラインからの組み立てに加わる。

2列目のDanel SinaniとOlivier Thillはサイドで受けることが多く,Danel Sinaniは中に入っていく動き、Olivier Thillはサイドで連携して最終的にクロスを入れるシーンが多かった。

また、Danel Sinaniはボールを受けに中盤まで降りてくるシーンも多く、ワンツー気味に突破したり、パスを裁いたりと、右サイドの攻撃のカギを握っていた。

守備時にも2列目の二人が重要となる。相手が相手陣内でボールを回すときには、4-3-3気味に前線の3人でプレスをしかける。
逆に自陣まで運んできたときには、4-5-1のブロックをつくり、不用意にプレスにはいかず耐える守備を見せた。


対するアゼルバイジャンは5-3-2の布陣。守備は不用意に追わず、攻撃時にはサイドバックが高い位置を取り3-5-2のような形で攻めていた。


前半

前半はポゼッションがうまくハマった。相手のプレッシングが弱かったため、最終ラインからの組み立てがスムーズに行えたことが大きい。

また、アゼルバイジャンの縦パスのインターセプト、敵陣内でのボール奪取も光っていた。

前半7分、Christopher Martinsから降りてきたDanel Sinaniへパスが通り、Sinani→Jans→Barreiro→Sinaiのトライアングルがワンタッチで守備を躱す。
フリーになったSinaniが逆サイドに展開したボールを、走りこんできた左サイドバックのMica Pintoが勢いよく受け、その勢いのままシュート。
これが新スタジアムでの初得点となった。

前半26分は、クロスのセカンドボールを拾ったアゼルバイジャンにGerson Rodrguesが寄せてボールを奪う。RodrguesのOlivier Thillへ向けたパスが跳ね返され、そのリバウンドを拾い抜け出したLeandro Barreiroがペナルティエリア内で倒されファール判定に。
Gerson RodrguesがPKを右にしっかり決めて追加点。

前半のスタッツを見ると、ゴール期待値(xG)、シュート数、枠内シュート数、ポゼッション率、パス数、パス成功率のすべてで相手を上回る結果に。
特に相手にはシュートを1本しか打たせておらず、攻守ともにグッド。
Holtz監督のシステムがかなり機能しており、完璧な内容で後半へ。


後半

前半とは打って変わって、防戦となった後半。

アゼルバイジャンは前線からのプレッシングを強め、ルクセンブルクはポゼッションをほとんどさせてもらえず。寄せが早く、ボールの出しどころに困っているようなシーンも多かった。

逆にこちらのプレッシングがそこまで強くないこともあって、相手にボールを支配される時間が長かった。途中交代で入った相手の10番のキープ力の高さも厄介だった。

守備時には中を固められていたため、1点目のようにSinaniが中央でフリーになることもなく、攻撃も単調になっていった。

サイドバックが大外に開く動きや中盤の飛び出しも増え、正直いつ点が入ってもおかしくないくらい攻められていた。

そして後半によく狙われたのがDirk Carsonの背後。最終ラインと中盤の間のスペースから飛び出す選手に向けたスルーパスや、ギャップで受けられる場面が散見された。失点シーンとなるファールはまさにギャップで受けた選手に対して、CMPが激しくいってしまったのが原因である。

後半74分にOlivier Thillに代わりFlorian Bohnertで受けられを投入。Jansがひとつ内側に入り、Bohnertがサイドバックとして起用。
これによりCMPを中盤のストッパーとして機能させることにし、このまま勝ち逃げすることを選んだのである。

結果として後半のxGは0.22という低い数値を示したものの、プラン通り逃げ切り勝ちに成功。新スタジアムの初試合は白星で幕を閉じた。


選手別評価

5.0点満点で勝手に評価をつけていく。

5.0点
Danel Sinani
前半の攻撃の起点。パスを散らして突破して、彼なしでは点が取れていなかっただろう。個人的MOM。

Leandro Barreiro
中盤のバランサー役として、またハードワーカーとしての役割はもちろん、PKを取ってくる仕事ぶり。満点。

Chiristopher Martins
中盤の底で本当によく守ってくれた。縦パスと前への寄せが特に良かった印象。2枚目のイエローカードで次戦出れないのが悔やまれる。

4.0点
Gerson Rodrigues
球離れがもう少しよくなればいいのになあ。

Mica Pinto
先制点はお見事。後半の守備に一抹の不安を覚えたため、この点数。

3.5点
Anthony Moris

可もなく不可もなく、といったところ。ポゼッション時の組み立て参加に関しては、特別良いところもなければ悪いところもなかった。フリーキックは相手を褒めるべき、かな。

Sebastian Thill
さすがUCL本戦出場を果たしただけのことはある…といいたいところだが、とんでもないラストパスを期待していただけに、攻撃ではもう一つ欲しいところ。守備はよかったです。

Laurent Jans
右サイドからの崩しが少なかったのは、守備が良かった証拠。攻撃のアイデアが増えれば最高。

Dirk Carlson
代表でのCB起用はおそらく初めてだったが、ポゼッション時はかなり良かった。ただ、後半のように防戦になると持ち味を発揮できず。強豪との試合では、中央は厳しいかもしれない。

Enes Mahmutobic
終始安定していた、と思う。抜け出した相手FWをスライディングでいなしたシーンは、チームを救った。

3.0点
Florian Bohnert
途中出場。逃げ切りのタスクをしっかり遂行。

Eric Veiga
Mica Pintoのアクシデントにより途中出場。Pintoよりも守備は良かった気がする。

2.0点
Olivier Thill

ウィンガーっぽい役割だったためにやりづらかっただろうか。このポジションでは、怪我の弟、Vincentのクオリティには勝てず。


課題&総括

まず、パスが流れてそのまま相手にカウンターを仕掛けられるシーンが多かった。スリルはあるけれど、しっかり繋げてほしい。

後半を見るに、プレスを仕掛けられるとほとんど何もできていなかったので、その対策は欲しい。

流れの中の失点がなかったのは良かった。

何と言っても、新スタジアムの初試合で勝てたことは幸先が良いったらありゃしない。グループでは3位につけているが、セルビア戦次第では2位も狙える。難しい試合にはなるが、何としても勝ち点を取りたい。



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