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読むと前向きになるレイオフのお話

はじめに

こんにちは。この記事をご覧いただきありがとうございます。
もしあなたが突然の退職勧奨に戸惑い、誰に相談すればいいのかわからないと感じているなら、このブログはまさにあなたのためのものです。退職勧奨は誰にでも起こり得る現実であり、その対応方法を知ることで、より良い未来を切り開くことができます。
この記事では、退職勧奨を受けた際に直面するであろう様々な状況や対応策、そして交渉のポイントを具体的に解説しています。会社員としてのキャリアを守りながら、次のステップへと進むための実践的なアドバイスを提供します。
このブログを通じて、あなたが最適な判断を下し、自信を持って次のキャリアステージへ進む一助になれれば幸いです。ぜひ最後までお読みいただき、未来への道を切り開いてください。

レイオフの発表

ある日、ある時、ニュースで突然流れるレイオフ、最初は自分ごとにもならないニュースとして流れるものの日常を過ごす中で、いつの間に記憶の海に埋もれていきます。その間、会社はレイオフ対象を多くのケースではコンサル会社とともに選定し、パッケージプランの準備を進めています。多くのケースではこの動きは会社の経営層と人事部、人材系のコンサルで進められており動きに気付くことは難しいです。また、対象の選定は基本的には役割型(俗に言うポジション・クローズ)が多いですが、対象者を他のファクター(年齢、在職年数、社内評価)で絞ることもありえます。ただ、表向きは(裏向きも)自社のビジネスにおいて該当の仕事・部署の必要性が無くなった為にやむなく退職を勧奨するという仕立てになっています。  ちなみに上長も退職勧奨対象者が誰であるかを知るのは直前であり、また対象者を指定されているケースがほとんどですので、過度に上司を恨まないであげてください。  ここからは実際にどのような流れがあり、どのように対応していけば良いかをまとめてみました。

退職推奨が出たらすること

ある日、突然呼ばれる

ある日突然、OutlookやGmailのカレンダーにミーティングの招待が届きます。このミーティングの招待は退職勧奨のミーティングであることは巧妙に隠されている、ぼかしているケースが多いです。その理由は周りの人にさとられないという気遣いではなく、突然の退職勧奨を実施することで退職勧奨を伝える側が圧倒的な心理的優勢を作り退職勧奨の合意に一気に持っていくことを目指しているからであることが多いです。ミーティングの名目はシンプルに上長との1on1だったり、該当四半期のパフォーマンスレビューだったり、通常ありそうなミーティングになっているケースが多く、たいていは上長から送られ、あなたと上司の間だけのやり取りの体裁が取られています。しかしながら裏ではHR(人事)と連携しており、そのミーティングに参加してみたら人事も座っており退職勧奨を上司から受け、手続きを人事が粛々と説明、あわよくば合意書への署名をその場で得ようとしてきます。  このミーティングの瞬間からあなたの戦いは開始です。先攻攻撃は突然相手からくるのでどうにも防ぎようが無いですが、その後の対応によってたどり着く未来は変わるのでここからファイティングポーズを取って戦いを始めましょう!  多くの読者の方も、突然宣告されてどうしたものかとネットサーフィンをしてたどり着いたのがこのページだと思います。皆さんに寄り添って、この先にある道の解説をしていきたいと思います!

まずは話を聞く

まずは話を聞きましょう。突然の退職勧奨はあなたにショックを与え呆然となると思います。呆然としてても状況は特に変わらないので、このときできる一番大切なことは話を聞くことで相手の状況(会社の退職勧奨に対する方向性)を少しでも多く把握し、この先の戦い方を定めて行くことで、それは極めて重要です。

録音をする

話を聞いても細かいところを聞き漏らす、失念する等は平時でも往々にしてあるので余裕があれば録音をして下さい。録音する旨を通知して宣言するもよし、目につかなければ黙って録音しても大丈夫です。録音すること自体は違法ではなく、また許可なくとも録音した音声データは民事においては証拠能力を否定される事由はないと言われています。その場の空気感や相手の温度、自身の余裕度を考えて録音の宣言は決めて良いです。「録音するのを伝える際には、大変重要な事項で聞き漏らしや行き違いがあってはいけないので録音させていただきます」と伝えれば問題ないでしょう。

書面でもらう

録音が出来ても出来なくても、常に書面で確認していくことは重要です。退職勧奨においては通常文書で条件が提示されます。この文書は最初から提示されるケースと口頭での説明ややり取りを終えた段階で提示されるケースがありますが、出来ることなら最初から文書で提示することを求め続けることが重要です。ただし交渉の可能性が高い場合は都度文書提示を求めると提示する文書の社内確認で時間がかかるケースのあるので、ある程度交渉が進捗してから文書に落とし込むこむアプローチでも良いと思います。 書面を初回ミーティングから提示してくる場合は、その時点ですぐに書面に付記されている合意署名欄に署名をもとめてくることが多いですが、初回提示の書面にいきなり署名することは絶対しないでください。理由は2つ。1つ目は、本当に辞めることがあなたにとって好ましいことなのかをしっかり考える必要があるから。2つ目は、多くのケースで退職勧奨の提示条件は交渉が可能であるからです。なのでまずは提示条件を把握する為に書面をしっかり入手しましょう。

メールでエビデンスをのこす

これは初回ミーティングに限らずですが、ミーティングを実施する都度、どんな会話をしたのか、何に合意したのか、合意していないのかを明示したメールを送ることで、退職勧奨の過程を証拠として残すことが大切です。この過程は、対話の進捗の確認、またこじれた場合に弁護士に介在してもらった場合にも記録として役にたちます。また過度の退職勧奨は違法になる可能性があるので、相手方がどのような行動や言動をしてきているかを記することは相手に慎重な対応を促す効果もあります。


辞める意思はないことを示す

たとえ辞める意思があっても最初の段階では辞める意思が無いことをしっかり伝えましょう。会社側は対象者に確実に辞めてもらいたいので、辞めてもらう為に提示する条件についてはある程度の柔軟性を持っていることがほとんどです。なので辞めても良いと思っている人でもより良い条件を引き出すだめにも辞める意志は無い旨を初期に伝えることでその後の交渉の可能性を作ります。また退職したく無い人にとっては辞める意思が無いことを明確化することで会社は退職勧奨の人数を確保するために別の人へアプローチするケースもありますので、退職する意志がない旨をしっかりつたえましょう。

してはいけないこと

書類にサインしてしまう

先にも書きましたが、いきなりサインすることは極力控えましょう。サインしてしまった場合でも、錯誤による署名等、一定の理由があれば撤回の可能性はあります。ただ署名した事実もあり交渉は難しいので弁護士に相談することをおすすめします。

感情的になる(悲しむ、怒る)

退職勧奨を受けることで、自身の能力が不足していると思い、また自分が選ばれた理不尽さに対して、悲しみや怒り絶望等の感情が渦巻くと思います。退職勧奨に選ばれたのはポジションであり、またあなたが選ばれたのはたまたまである場合がほとんどです。感情に身を任せていても何もかわらないですし、その感情を受け入れて乗り越えて行くことが大切です。感情を押し殺す必要はありません。また自分だけで向き合うのはすごく大変なので、信頼出来る相談相手(友達やパートナー、弁護士の相談窓口、労働組合の相談窓口)に気持ちを伝えるのも大切です。

パッケージについて

退職勧奨に示される中身(パッケージ)は多く分けて、1.退職金、2.有休、3.転職支援、4.RSUの4つの要素で構成されているケースが多いです。それぞれがどのくらいが適切かは、あなたの置かれている状況(会社として今回の退職勧奨のプライオリティ、会社のカルチャー、あなたのポジション、職歴等)によって異なるので相場感を掴むのはなかなかむずかしと思います。以下に私が見聞きした(マネージャーとして退職勧奨を実施・自身も受けた・他の人から相談受けた・教えてもらった)経験を元にまとめてみました。この相場感を自分なりに組み立て、交渉に繋げることが極めて大切になります。

退職金

退職金でよくあるのは在職年数と月給をかけた金額を退職金として計算するパターンと一律(もしくはポジション毎に一律)で決定するパターンが主になります。会社は固定化した計算式があり、そこからの変更は出来ないと明言して来ますが、多くのケースでは交渉幅を裏で持っていることがほとんどです。 私の場合は在職年数が長くなかったので一律の金額(6ヶ月)を示されましたが、交渉の結果12ヶ月まで増やすことが出来ました。会社からすると6ヶ月も12ヶ月も大きな違いではなく、一番大切なのは退職してもらう人数というノルマを揃えることです。なので会社の優先順位を理解した上で増額の交渉が可能になります。大切なのは理由付けなので、理由をうまく作り上げて交渉に挑みましょう。どのように交渉するかは次項を参照して下さい。

有給

有給については、外資系では買取してくれるケースが多いです。有給の買取は日本の法律では認められていないと思いますが、有給総当分を退職金として上乗せしてくれるケースがあります。有給を買い上げてもらうか、単に有給として使うかは自身の置かれている状況で決めていくのが良いでしょう。退職した時点で会社の在籍はなくなるので、転職活動において会社のメールアドレスを使いたい、退職してからの転職活動に不安がある、国民健康保険に切り替えた後に健康保険は全額自己負担になるのでその負担を減らしたい等の理由がある場合は有給を使った方が良いですし、逆に先々何があるかわからないから現金増やしておきたいと思うのであれば有給買取(もしくは相当分を退職金に上乗せ)を目指すのが良いです。私の経験からすると仕事はきっと見つかるのでお金にしてしまった追加で得たお金で投資するなり旅をするなり楽しみに使うなりした方が、退職勧奨された会社に少しでも席を置くことにこだわるよりよっぽど有意義だと思っています。

転職支援

多くの会社では退職勧奨のパッケージの一つに転職支援会社のサポートが入っています。転職支援会社のサポートは転職に向けたあらゆる支援・メンタルサポート・技能習得の支援あたりがパッケージになっていることが多いです。せっかくの機会なので是非使い倒してください。もしオファーの中で転職支援がなかったら転職支援会社の斡旋を要求しても良いと思います。ただし、転職の活動自体は提供される転職支援の会社を使うよりも自身で複数の転職エージェントを見つけて来て使った方がよっぽど早く良い会社が見つかると思いますので、会社から斡旋される転職支援会社はおまけ程度に考えても良いでしょう。 あなたの業種にもよりますが、職種によって秀でている転職エージェントは色々あり、今は人口減の中で働き手は売り手市場なので慌てすぎず落ち着いて安心して転職活動をしてください。

RSU

これは外資系の場合の話です。RSUは会社からRSUが付与され(Grant)、一定期間たったのちに制限が解除される(Vest)されますが、Vestされた株が確実に付与されることは当然ながら、Grantされた株についてもVestされるよう求めることが大切です。通常は一定期間立たないとVestされませんが、会社都合での退職勧奨の場合は特例でGrant分はVestに変更してもらえるケースはありますのでしっかり要求しましょう。 日本企業の場合は持株会、ストックオプションで付与されているケースが多いと思います。持株会の場合は株として持っていられるのか、強制売却になるのかを確認し、株として保有できるよう交渉をし自身の望ましいタイミングで売却できるようにすることが大切です。ストックオプションは権利行使のタイミングが規定されているので、その際に在籍していないと難しいのですが、権利行使タイミングが近い場合は退職日変更する交渉はできます(その在職分は月給ももらえる)。株周りは色々な制約があるので退職金の交渉より柔軟度は下がりますが、交渉するのはタダなのでぜひ交渉してみてください。

確認したほうが良い事項

リファレンス

実際に転職する場合、多くのケースでリファレンスを求められると思います。通常リファレンスは前職の同僚や上司に個別にお願いすることが多いと思いますが、お願いする相手がいない、もしくは転職先からリファレンス先を指定されるようなケースがある場合もあるので、転職先のリファレンスが入った場合にリファレンスに対応すること、そしてリファレンスの際には本当の退職理由に触れないことを合意すると良いです。

会社都合退職の明確化

会社都合退職により失業保険の早期受給と社会保険(国民健康保険)の減額を得ることが出来ます。それなりに稼いでいると特に国民健康保険の支払いは前年の年収に基づいて算出され、また家族分も負担するので意外と大きな金額になります。会社勤めの場合は会社が半額負担し扶養家族分も負担してくれるので、結構な差額になるケースが多いのです。このインパクトを少しでも抑えるために会社都合の場合は国民健康保険の減額制度をうまく使ってください(詳細はインターネットでお住まいの自治体のページを参照すると良いです)。

競合会社転職禁止(競業避止義務)

退職勧奨しているのに競合転職禁止条項を入れてくる会社もありますので、記載の有無は確認し記載がある場合は削除を求めてください。

気持ちの持ち方

あなたが退職勧奨を受けた後、交渉をし会社に留まる、退職するにしても良いパッケージを受ける、どちらにするにしても気持ちの持ち方が大切になります。以下に心構えをまとめたので是非参考にして気持ちをできるだけ保って必要な交渉に挑んでください。

たまたま当たっただけ

退職勧奨はあなたの能力の問題ではなく、いうならば車の貰い事故、もしくは道端の段差につまづくようなものです。たまたま会社が退職勧奨をしないといけないタイミングで対象になる部署・年次・ポジションにいただけです。なのであまり悲観しないでください。所詮巡り合わせの問題ですし、新しいステージに立ちたいと心のどこかで思っていたのであればお金をもらって新しいステージに旅立てる良い機会ですし、このまま在職したいと思っていた場合も、日々の仕事の中でやってきた荒波(仕事やっていると色々な波がありますよね?)の一つだと思って乗り越えちゃいましょう。

家族やパートナーとの会話

身内にどう伝えるかは悩ましいですよね。ただあなたが大切にしている身内はきっと寄り添ってくれるはずです。ただあまりに情報が無いと相手も不安になると思いますのでコミュニケーションは工夫すると良いと思います。特に大切なのは、①あくまでポジションクローズ(自分の能力の問題ではない)であることを会社の状況を踏まえて説明、②会社から提供されるパッケージ、③自身としての想い(これを機に新しいキャリアを構成したい、あくまで会社に留まることを目指しつつも外も目をむける等、いずれにしても未来に目を向けていることを伝える)をしっかり伝えること、また全体的にポジティブなテンションでコミュニケーションをとることで相手の不安を取り除き一緒に考えられる状況にするのが大切です。

相談出来る相手を見つける

相談相手として身内がいてくれるのは心強いです。ただ身内に見せられない不安感や場合によっては弱音、迷いを相談する相手を見つけることも大切です。あなたの周りの友人、人事問題に特化した弁護士、労働組合、自治体等の公共機関の相談窓口等、相手はたくさんいますので、是非コンタクト取ってみてください。弁護士や労働組合は同様のケースをたくさん対応しているので極めて良い相談相手になります。特に弁護士は初回相談無料のケースが多いので複数の弁護士事務所に相談し、今後弁護士介入が必要になった場合に備えて相談しつつ弁護士を選ぶにおいても有用だと思います。

もらえるメリットを冷静に分析

退職勧奨は特別なパッケージをもらえるので、金銭的にはメリットが大きいです。退職勧奨のメリットをしっかり理解して前向きに捉え次の一手を考えるのも良いと思います。

  • 税金かからない一括金の良さ
    退職金自体は在職年数に応じてですが課税上大きなメリットがあります。通常の退職金より割増されてる上に税制上のメリットがあるので、手に入る総額は大きくなりますし、日本はとかく会社員の税金は高いのでまとまったお金を手にいれる貴重な機会とも考えられます。まとまったお金はまとまっている分、投資効果も高いので適切な投資原資として活用すると将来の資金計画に大きく寄与すると思います。

  • 転職することの良さ
    統計によると日本の会社員の転職回数は3回、平均在職年数は11年と言われています。外資系企業では5-6回の転職もザラにありますし、アメリカでは平均13回(平均在職年数4年)と言われています。すでに一社で過ごすライフプランは存在しない世の中ですし、あなたのスキルを活用する場はしっかり存在しています。同じ会社で日常を回すよりも新しい場所で挑戦することの価値の方が大きいと思います。大前研一さんも人間が変わる三つの方法として「時間配分を変える」「住む場所を変える」「付き合う人を変える」と言っています。仕事を変えることで「いままでの仕事の仕方と異なる時間配分」「働く場所(会社)が変わる」「一緒に仕事する人が変わる」が実現でき、それはあなたのバージョンをアップグレードしてくれる貴重な機会になるはずです。日々を過ごしていると中々自分を変えることは難しいですが、退職勧奨はある意味外的に背中を押してくれる(しかもお金ももらえる)と捉えると良いと思います。

  • ゆっくり休むことの良さ
    会社員になってからしっかり休んだことありますか?多くの方は夏休み(3日-1週間)、冬、ゴールデンウィークとシルバーウィークくらいですよね?自分の時間をまとまって確保するということは中々に難しいと思います。退職勧奨のタイミングをうまく活用し、1ヶ月でも2ヶ月でも、それ以上でも必要な時間を手に入れて、自分のしたかったことをしてみる、家族や子供との時間を再構築する、そういう使い方を是非してみてください。外資系の会社ではサバティカル休暇というものがあり、長期(1ヶ月から半年くらい)の時間を使って普段できないことにチャレンジし自身の見識を深めたりチャレンジしたりするる仕組みがあります。このような時間の確保はあなたの人生をさらに彩り深くするはずです。

  • 新規事業ややりたかったことに挑戦!
    昔ならいざ知らず、今の圧倒的な売り手市場の雇用情勢においては転職はいつでも出来ます。もし何かやりたいことがあれば新しい事業に挑戦しても良いと思います。日本はスタートアップ支援が揃っており、支援の仕組みを活用して新しいビジネスにチャレンジしても良いと思います(できるだけ人的資本やソフトウェアの力で出来るビジネスが良いです。飲食等設備投資がかかるものは避けてチャレンジするのがおすすめ)。

交渉

必ずしも一律ではない

退職勧奨を受けた際に、口頭もしくは文書で条件げ示されます。文書で示された場合は、その文書は合意書もかねているケースがほとんどですのでその場で署名しないようにしましょう。たま文書は署名しないのであれば持ち帰れない場合もあります。その場合はしっかりと検討するためにも受領できることを主張し、それでもダメだった場合は要点をその場で書き写してください。また口頭で説明を受けた場合は文書での提示を求めましょう。大抵の場合、求めても文書ではくれないので、同様に要点をしっかりメモするとともに、どちらのケースでも録音をしてください。一回目の提示からすでに交渉は始まっていますので、ここからは全ての交渉内容を日付・時間を明確にして記録をしてください。また面談都度、説明を受けた内容や合意した内容をメールで相手に送ることも重要です。送付の際は自身のプライベートメールアドレスをBCCに入れてくください。この記録は後日、弁護士等の介入が必要になった際の交渉過程の証明になります。またメールで確認することで会社の認識との齟齬を防止出来ます。ただ多くの場合、送付したメールに対して会社からの返事はない場合もありますので、文末に「xxまでに返事がない場合は内容について齟齬がないこととしますのでご確認をお願いします」等の文言を入れると良いでしょう。また、このようなメールを送信することにより、あなたとの退職勧奨に関する交渉が一筋縄でいかない(場合によっては裏に支援する人がいると思わせる)ことを示す事になります。これにより交渉を有意な状態に持っていくスタートポイントとします。

金額

示される金額の妥当性判断は個社の状況・あなたのおかれる状況・あなたの職種や立場において異なるので一概に妥当な金額を判断するのは難しいです。一番の拠り所はあなたがそれを受け取ることで今回のたまたまヒットしてしまった退職勧奨を心からは納得できないものの、腹の虫を少しでも落ち着かせて、かつ転職までの費用や遣りたかったことを実現する費用に充てられるかを尺度に考えると良いと思います。一般的には長期で勤務している場合は勤続年数 x 月数(月給)で計算することが多いです。また勤務期間が短い場合は3-6ヶ月が相場かなと思います。 いずれにしても示された金額は最終金額ではありません。この金額をどのように増やすかですが、以下を論点に交渉をしていくと良いと思います。 ・会社都合での退職勧奨であるにもかかわらず提示された金額は自身が検討するにしてもあまりにかけ離れた金額であることを明示する。長らくのあなたの貢献実績を言及する、会社の都合であることを強調する等、理由はそれっぽければなんでも良いですが、検討するのはやぶさかではないが自身に示された金額が低いことを明示する ・その上で今回の退職勧奨を受け止め次のキャリアを探すために必要な期間の明示する。次のキャリアを探す時間(要は仕事が見つかる時間)は誰にもわからないですが、この時間をどれだけ稼げるかが金額に直結します。退職勧奨の金額の算定は多くのケースで月給のx月分の計算が多いのでx月を色々理由をつけて引っ張ることが大切です。例えば急な退職に対する家庭の都合もあるので在職休暇で3ヶ月、その後仕事を探すにおいて一般的に自身の職種では最低5ヶ月はかかるのでその分の給与補償、合わせて8ヶ月が必要等、理由付けて要求することで会社側の予算枠の中で工面してくれるケースがあります。また会社側の退職勧奨を出す人がxxの理由により条件を追加したらあなたが退職勧奨を受諾してくれるとの社内承認のネタにもなります。 いずれにしても提示された条件から一盛りして何らかの理由付けをした上でカウンタープロポーザルを出さないことには条件は変わらないのでぜひ挑戦してみてください。 私の知っている実績では、3ヶ月の提示に対して12ヶ月のカウンター提案を出すことで結果的に7ヶ月の提案になったケース、3ヶ月の提示に対して3ヶ月の在職休暇(俗にいうガーデンリーブ)+6ヶ月相当の退職金を求めた結果、6ヶ月の退職相当金の提案になったケース等があります。

有給の取り扱い

有給は退職前に消化するのが通常のパターンですが、これも交渉によっていは有給総当分を退職金にしてもらえるケースがあります。退職一時金に対する税率の方が有給で天引きされる金額よりも低いケースが大半だと思うので、有給残日数がxx日あるので退職金をx月分追加して欲しい。その分有休消化はせずに退職する旨を伝えると良いです。

ガーデンリーブ(休職)

ガーデンリーブは在籍しながらも出社・就業を除外してもらう仕組みのことです。ガーデンリーブは会社からすると一定期間在籍させることで競業への転職を一定期間防ぐことが出来るために、競合状況の厳しい職種で外資系の場合は提示されるケースがあります。また退職勧奨をする社員に対して次の仕事を見つけるまで在職している状況を提供することで離職し無職になってから仕事を探すリスクや健康保険・年金の急な切り替えの手間を減じることで退職勧奨への合意を取りやすくするためにも使われます。ガーデンリーブは平均して1-3か月くらいが多い印象です。ガーデンリーブの期間と特別退職金の算定基準の月数は連携関係があることが殆どで、例えばガーデンリーブを3か月+特別退職金5か月分のオファーがあった場合、ガーデンリーブを2か月にして特別退職金を6か月にする等の交渉が可能になります。ガーデンリーブ中は会社に在籍した状態なので、健康保険や年金は変わらず通常の在職と同様な状態のまま出社と業務は求められない状態になります。また会社側からは在職時のメールアドレスや電話がガーデンリーブ期間中に使え転職に有利だったり、ガーデンリーブ中に転職できれば空白期間をなくせるので転職し易いという甘言とともにオファーがありますがそもそも在職時のメールや電話で転職活動はしませんし(通常は個人のメアドと電話、会社の連絡先を使う続けるのは逆に非常識)、また10年前ならいざしらず現在では空白期間は特に問題になりません。人によっては意図的に空白期間「キャリアブレイク(キャリアにおける休憩)」と宣言しLinked In等に明示している人もいるくらいです。採用企業からするとキャリアブレイクを取りなにかをしている人材のほうがより多様な価値観をもたらしてくれるので、採用へプラスになります。

その他、言うのはただ

交渉においては当然ながら金銭的に得られるものをどれだけ最大化することが大事ですが、その他にもあなたに取って必要な事項があれば言うのはタダなので交渉のテーブルに乗せましょう。ただし何でも要求すれば良いものでもなく、それがあなたの決断の後押しになる事項であり、なぜ必要なのかを明示出来る要求にしてください。それにより退職勧奨を言い渡して来た担当者が社内で調整をするための理由付けにも繋がり、結果としてあなたの要求が通る確率が上昇します。

やめそうでやめないけどやめそうな雰囲気を出す

また交渉中はできる限り「辞めそうで辞めない雰囲気」を出して下さい。辞めることを見透かされることで、辞めてくれるなら追加の条件は出さなと判断されてしまうと交渉は暗証に乗り上げます。基本的には、「辞めなさそうだけど条件次第では辞めそう」をうまく見せることで辞めさせるための条件としての特別退職金の上乗せやその他の追加オファーを勝ち得て下さい。私も退職勧奨を受けた日から交渉は始まったものの、その日から会議やイベントや仕事に対してより一層積極的に参加し、辞める気配を消しつつ、でも条件交渉はするという「どっちでも大丈夫」な私vs「どうしても辞めてほしい(じゃないとノルマが達せられない)」なHRという状態を作り上げ、交渉を有利に運びました。3か月の特別退職金を9か月に増額。

オファーがなくなる脅しに屈しない

会社は交渉に持ち込まれたくなく、また交渉を継続する余裕もないので、オファーに対しては交渉の余地はなく、また合意出来ない場合は該当オファーはなくなる旨を伝えてきてあなたの危機感をあってくるでしょう。でも安心して下さい。少なくともその場で合意しないとなくなるオファーなんてものは存在しません。彼らの目的は退職を実現することなので、オファーを受けてくれるなら間違いなく待ちます。また条件に関しても変えられないことを滾々と説明してくることも良くありますが、条件も交渉次第で変わります。皆さんも日々の仕事の中でなにかを実現するために条件変えたりしていると思いますが、退職勧奨においても全く同じですので、臆せず交渉をしていきましょう。しかしながら忘れてはいけないのは、この交渉によって得られる条件はあなたと会社の間だけの特別な条件になるはあずで、会社は他の人にバレたくありません。なので個別に条件を交渉する場合はそれとなく機密保持について言及することをおすすめします。

交渉過程は必ず録音、議論内容なメールで記録

交渉が始まるとあなたは一人で退職勧奨をやり慣れた相手(場合によっては複数人)との交渉を進めることになります。交渉にフォーカスしながらもメモを取り場合によっては複数人との対話をさばくのは中々骨が折れる作業になります。また言った言わないを避けつつ、交渉の一貫性を論理的に構築することで交渉での優位度は激増します。そのために、交渉は必ず録音、必要に応じてAI等活用した文字起こし会社と対話・合意した内容をメールで相手に送付することで記録、また常にあなたからメールを送信することであなたの主眼的な視点での議論の誘導が可能になります。また交渉を積み重ねることで、何をどこまで合意したかを見失わずに交渉のフォーカスポイントを維持しつつ、次の交渉への論理構成を組み立てて行くためにもしっかりと議事録はつけていきましょう。

落とし所を設定して交渉する

ここまで交渉の大切さを書きました。交渉は様々なテクニックがありますが短期間で交渉テクニックを身につけるのは不可能だと思います。あなたがすべきことは、会社から提示された条件にしばられずに、あなたが求める条件を理由とともに明確に理由とともに会社へ伝えることです。もう一つ大切なのは、落としところを決めること。最大限欲しいと期待している金額(Max)・これ以下だったらありとあらゆる方法で会社にくっついて離れない(Minimum)、ここだったらある程度成功と言える条件(落とし所)の三点をあらかじめ設定して交渉に挑むことで落ち着いて臨機応変に交渉をすることを助けてくれます。私は長らく法人営業の世界で働いており多くの交渉を見てきましたが、価格戦略を組み立てずに交渉をすることで交渉の軸がぶれて思った通りの成果が得られないケースをたくさん見てきました。ぜひ交渉におけるファンダメンタルとしての相場感を持って交渉に挑んで下さい。

経験者を探して相場感を探る

その他にも交渉を優位にすすめる方法としては退職勧奨を過去に受けた人を探し出して相場感を確認する方法もあります。また、同じタイミングで退職勧奨を受けている人を探すのも良いと思います。探し方はどこからともなくもれてくる噂を頼りにしても良いですし、また該当しそうな人や部門にあたりをつけてスケジューラーを確認しあなたと同じタイミングと時間幅で非交換の予定が入っている、もしくは退職勧奨を求めてきた人のスケジューラーでブロックされた予定とお暗示時間でブロックされている人を探す等、色々な工夫は出来ると思います。経験者や仲間を探して情報交換をすることで得られる情報や安心感は強いですが、同時にあなたが退職勧奨をうけていることはバレてしまうので、バレるのを避けたい場合は慎重に対応市てみて下さい。

弁護士の必要性、相談相手として、交渉者として

どうしても退職をしたくない場合、もしくは自身で交渉する自身がなくまるごとお任せしたい場合は専門家の助言や支援を得ることも重要です。多くの弁護士事務所が退職勧奨に対しての支援を提供しています。多くのケースでは初回相談は無料となっており、それ以降は着手金(10万円-30万円前後)と成功報酬(得た利益の13%-25%)の体系になっています。ホームページで検索するとかかる費用は明示していますので、是非参照してください。また弁護士がどこまで寄り添ってくれるのか、またあなたとの相性もあると思いますので、必ず複数の弁護士事務所にコンタクトして初回相談をしてみて下さい。その中で一番あなたに合うであろう弁護士を雇うのが良いと思います。 弁護士は委任後はあなたの代理人として会社と交渉、もしくはあなたが交渉するために必要な法的情報を提供してくれるのみならず、あなたを励まし、あなたの相談者にもなってくれます。どこまでサポートしてくれるかは、あなたがどこまでを求めるかと弁護士の仕事の仕方に依存するので、上記の通り合う人を探すことであなたの大いなる助けになるでしょう。

AIを使おう

弁護士は使わずに自身で対応したい場合、ChatGPTをはじめとした生成系AIを活用することもおすすめです。生成系AIを使って交渉の経緯をまとめたり、会社に申し入れる正式な文書作成の支援をさせたり、はたまた交渉の戦略づくりに活用したりと、意外と使えます。この私の記事をChatGPTに読み込ませることで、あたかも私のアドバイスがあなたにカスタマイズされて出てくるようなことも出来ると思いますので、是非新しいテクノロジーの恩恵を受けて交渉事に活用市てみて下さい。

交渉の合意に向けて

交渉を複数回進めることでいよいよ合意点が見えていくると思います。交渉は多くのケースで3-5回程度、期間も4週間前後が多いです。交渉につかれても終わらない交渉は無いですし、一ヶ月程度で片が付くと思い辛抱強く交渉を進め合意を勝ち得て下さい。 交渉が完了すると交渉で合意した事項を文書にまとめます。文書化は基本的には会社側にまかせてしまいましょう。会社から文書が提示されたらいよいよ合意です。しかし提示された文書に対してはその場では絶対にサインせず持ち帰り交渉で合意した事項が担保されているかをしっかり確認市て下さい。またそれ以外にも以下については署名前に確認をし必要に応じて書面に反映してもらう、もしくは別の形式(メールで送信等)で確認した記録を残してもらうと良いでしょう。

署名前の最終確認

署名する前には改めて以下の事項を確認しましょう。

交渉で合意した事項が担保されているか?

交渉の過程で勝ち得てきた内容が明示的に反映されているか、落ち着いた場でしっかり確認をしましょう。

その他、留意すべき条項は入っているか?

競業への転職禁止等、あなたの行動を縛るような条項が入っていないかを確認して下さい。通常はあなたを牽制するためにあえて入れている条項が多く実際に合意違反に基づいたアクションを取ってくることはまず無いですが、記載されている制限事項等の重要度に応じて大人の対応で受け入れる、追加の時間はかかるにしても交渉を継続する等、判断すると良いです。

退職後のコミュニケーションはどうするか?

退職後のコミュニケーションについては、連絡先を統一してもらうようにしてください。これはあなたが担当していた重要な仕事について複数の後任者から問い合わせが来ることを防ぐために、人事担当者に間に入ってもらい真に緊急である問い合わせに対してのみあなたの判断に応じてメールで回答する等、あなたに負担のかからない運用にしておくと良いです。

顧客の引き継ぎ対応の方針についてどうするか?

会社から退職勧奨を受けているので基本的に引き継ぎは不要、もしくはするにしても最低限で良いです。しかし転職後も関係性を持ちそうなお客様の場合はあえて引き継ぎをちゃんとやるふりをして退職日を伸ばしつつ、将来も継続しうる大切なお客様をカバーするのはすごく良いことです。ここまでくれば旅たちまであと一踏ん張り。やる気も無くなってくるかもしれませんが、未来に向けた種を埋めておくためにも、大切なお客様や取引相手はしっかりおさえておきましょう。

署名前後でやること

退職合意書の署名に前後して、以下のも忘れずに進めて下さい。特に合意書に署名後は手続きで忙しくなったり、会社としても早期退職を求めてきている手前、意外とまとまった時間が取れないケースがありますので、交渉の妥結点が見えて来たあたりから以下の対応を進めておくとスムースです。

必要なファイル・情報の整理

あなたが現在の職場での仕事を通して得た知見は会社の資産でもありますが、あなたの資産でもあります。例えば私は先に述べた通り営業なのですが、退職に際しては顧客情報は持っていけないものの、営業の提案資料や社内で作った営業活動の指南資料等は自身の力で作成し将来的にも自身の活動において参考として活用することが予想されたので資料として保存をしておきました。このように、社外秘以外であなたに著作権がある汎用性のある使用や情報はしっかり確保しておくことが重要です。この過程で、チームや残ったメンバーに共有するべき資料もあわせて整理して参照しやすいフォルダーにおいてあげても良いでしょう。

継続してコンタクト取るべき顧客の洗い出しと挨拶まわり

あいさつ回りは先に述べた通りお世話になった社員や今後も関係性を維持したいお客様や取引先に対して行うことをおすすめします。残念ながらその時間が無い、あいさつ回りを許容されない場合は、退職後に連絡することをおすすめします。仕事における人の関係は6か月が限度といいますので、ぜひ早めの連絡をおすすめします。

経費精算

経費精算も早めにやりましょう。退職後は会社のシステムにアクセスできないので、正しく精算処理されたかは銀行への入金額で判断するしかないので、最後の清算金額をめもしておくのが良いでしょう。

不要な情報の削除

会社貸与のPCにはいつのまにやら個人情報や不要な情報が蓄積されていると思いますので、それらの共有する必要のない情報や共有するべきでない情報は完全消去してしまいましょう。削除後のゴミ箱も空にすることも忘れずに。一部の会社では退職した人のネットワーク上に保存した資料にアクセス出来る仕組みを構築しているケースもありますので、見られたくない情報は確実に痕跡を消すことをお忘れなく!

退職後、ガーデンリーブ中、有給消化中にやること

退職合意書への署名も終え、必要な事務作業や挨拶まわりを終えるといよいよ会社から離れます。お疲れ様でした。すぐに転職活動を開始するのも良いと思いますが、あなたなら仕事はすぐに見つかるでしょう。転職活動はいつでも出来ますが、退職後の貴重な余白期間は人生の中でも極めて貴重な期間です。ぜひこの期間に心からゆっくりしてみる、やってみたかったけど時間的な成約から出来なかったことにチャレンジする、今後の転職に向けて人生と未来像の棚卸しをしてみる等、せっかくの時間を活用して下さい。だいたい2-3か月で充電完了、仕事市たくなると思いますので、そのような気持ちになってから転職活動をはじめても遅くないですし、働きたいという気持ちはあなたの転職活動をより前向きにするでしょう。

新しいチャレンジにむけて

以上、長文になりましたがご一読頂きありがとうございます。 この記事があなたの今と未来のを作る一助になることをお祈りしております。ご健闘をお祈りしております!



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