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どうする?父親の施設入所24 これが最後の面会だったの?

コロナ禍2022年12月23日
父の状態は悪化し、急遽わたしと妹で面会に行きました。施設はオミクロン株のクラスターが収束したばかり。厳重に隔離された通路を抜けて個室に入ります。当初はガラス越しでと言われていたけれど、直に触れることができました。父に直に触れるのは何年ぶりだろう?

声をかけると父は、目を開けたのですが、わたしたちがわからないみたいにぼーっとして、すぐまた閉じてしまいました。頬は少しこけ、乾いた腕は細くなっていました。今日は晴れていて富士山がきれいだったとか、孫がもうすぐ大学受験だとか当たり障りない話をしたあと「もうちょっとしたら楽になるって、大丈夫だって大丈夫だって」と繰り返したような気がします。

医師との面談
医「会わせたい人が他にいたら、数日のうちにきてもらってください。食べないことも原因だけど、一番の要因は腎不全。そこは医療的にはもう回復しないし、嚥下障害もでているので、そろそろ点滴を抜く時期です。電解質点滴は負担なのでもうやめました。少量のブドウ糖点滴も、もう止めた方が本人は楽だと思います」
私「点滴を全部抜いたら、脱水しますよね。あとどのぐらいですか?」
医「口からの水分は試せるので、やっているんです。でも受付けるかどうか…。だいたい1週間ぐらいですね。年内から年明けかなと思います」
私「えー、そうなんですね…」
医「ほかに会わせたい人がいなければ、明日にも点滴を抜きます」

妹とわたしは顔を見合わせました。ええええーー。そうかぁ、そんなに急?ターミナルケアの契約をした時に文言を読んでいたけれど、こういうことなのかー、とリアルに衝撃を受けました。

自分にびっくり
過剰な医療はせず自宅で看取るように看取るとは、こういうことでした。医師はわたしたちが面会するまで、点滴で時間を稼いでくれていたということでしょう。その場にならないと何も実感できないものだと、自分にびっくりです。

・点滴で溺れさせない。枯れるように亡くなるのが本人には楽。

そういう知識はありましたが、目の前で肉親に起こってはじめて理解したのです。

これが、最後の面会だったのか…。
ケアマネさんが「亡くなるのがいつか、はっきりとはわからないけれど、亡くなったらまた来ていただくことになります。お父さんと随時お電話はつなぎますから」と言いました。

妹と二人になった時「お姉ちゃん、これが最後って思ってた?お父さんにありがとうって言ってなかった。言った方が良かったよね」と妹が戻りたそうに言いました。そうなんです。医師と話すまで、わたしも、次に面会の機会があると思っていました。これが生きている父との最後の面会だったと、面会が済んだあとで気づくなんて、間抜けすぎる。

「今までありがとうって言うと、最後みたいだからやめよう」
たぶん本当に最後なのに、もごもごとそんな言い訳をして帰路につきました。

せめて父の最期は、数日そばにいたいと思いましたが、コロナ禍でこんなことになるなんて。なかなか想定通りにいかないものです。

つづきは以下で。



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