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03 本当に怖い男子校病の実相<前編> #喋ってなんぼ駒井の「独り言ちてなんぼ!」

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最初に言うとかなあかんねんけど

 前回、「飯って受験やん」ということで、大学受験にまつわるイベントとアナロジーで考えることによって俺が飯(というか知り合いとの外食)についての体系的な理解を深めてたことについて長々と喋り倒しとったわけやねんけど、そんな狭い世界でごちゃごちゃ考えてた俺も灘を卒業して、東大に入学することになるわけやな。ほんで今回からは新天地である大学生活を通して思ったり考えたりしたことを喋っていくんやけど、まずはやっぱり「6年ぶりの共学」っていう最大の環境の変化についていこうとするなかで、いかに自分がいわゆる男子校病に罹患しとることを自覚していくかっていうエピソードを取り上げたい。で、これ最初に言うとかなあかんねんけど、今日の話はタイトルにも<前編>とあるように、自分の病のことをそんなに深刻に捉えてなかった時代のことをメインにしてて、実はこの話の主題は明らかに<後編>なんよな。せやから、今日はなんとなくポップな感じになると思うねんけど、それはもう男子校病の本質を全然ついてないほんの表面的な話であって、この問題の深さは主に<後編>で論じていくから、マジでみんな後編も楽しみにしといてほしい。いや誰が興味あんねんかも知れへんけど、比較的に興味を持ちやすい内容なんちゃうかなと思うんよな。こんな時代やから特にな。

綿密な机上の空論

 さて、灘の人間が卒業して大学へ行くにあたって、やっぱり在学中のイメージとして、「男子校に6年(高校からのやつは3年)もおったから女子と普通に喋れるんやろか」という不安を抱くやつがどうしても多い。まあこれは当たり前の話やとは思うねんけど、一方で、そのみんなが抱いている漠然とした不安に対しての向き合い方っていうのは割と個人差があったように思うねんな。で、俺およびそういう点で俺と似たようなところのあるやつの場合は、2つの明確な指針を設けたんよ。すなわち、「今まであんまり女子と喋ってこんかったがゆえに気ぃ抜いたら男とばっかり喋ってまうに違いないから、意識的に女子とも喋るようにしよう」これが1個な。ほんでもう1個が、「自分は男子校とか進学校といった特殊環境にズブズブで、特にそういった場所以外では盛り上がらへんようなノリみたいなものがあるに違いないから、そういうノリとそうでない(より広く受け容れられるような)ノリを見極めて、後者を中心に喋るようにしよう」っちゅうやつ。この2つを定めて、結構ちゃんと覚悟して東京へ下ったわけやな。これはほんまに極めて机上の空論みが強いわけやねんけど、やっぱりそれぐらいシュミレーションしとかんと、怖いんよね。大学って。まあ俺はほんまにびびり散らかしとったな。だって女子おるんやろ? それはもう一般社会の扉ギィー言うて開けてるようなもんやん。今まで全然違うとこにおったのにうまいこと適応できるんやろかっちゅうこっちゃな。

首都圏の男子校(イメージやけどたぶんそう)

 しかも、さらに心配やったことには、なんか首都圏にも関西で言うところの灘とか東大寺みたいな男子校が結構あったんやけど、首都圏のそういうとこって意外と文化祭とかで女子との絡みが多いんよね。まあこれは関西のそういう学校が、それこそ灘がいっちゃん都会なんちゃうかっていうぐらいどこも田舎にあったから交通の便があんまりよくないってのもあったと思うんやけど、首都圏の学校は割とどこもアクセスのええ印象があって、女子校の子らとかも来訪しやすいんやろなと思うわ。そもそも人の数自体がめっちゃ多いしな。で、それゆえ、首都圏の進学校にはイケイケ風なやつがちゃんと一定数育つ感じがあって、ほんでそういうやつが育つと、女子とどうこうなるってのがよりもてはやされる価値観が学校の内部にもより共有されやすいと思うわけや。まあこれは勝手なイメージやねんけど、あながち間違ってはないんちゃうかな。一方で灘はそういう価値観(=女子とどうこうなるってのがよりもてはやされる価値観)すらあんまりなかったから、より自分らはやばい状態にあるんとちゃうかっていう危機感もめちゃくちゃあったな。ちなみに、今から思い返せば、地域の別を問わず両者ともに男子校病がひどいし、なんなら<後編>で論じる文脈においてはむしろ首都圏の学校の状態の方がきしょいんちゃうかとさえ思うわけやねんけど、まあこれに関しては<後編>で論じるからちょっと待っといてな。

実際に入学してみた直後の感想

 こういう感じで、まあほんまにビクビクしながら、田舎もん丸出しで“花の都大東京”に下ってきたわけやねんけど、実際のところそういう机上の空論は功を奏したんかいなっちゅう話やんな。結論から言うと、これは成功した。マジでこのシュミレーションは正しかったなと自惚れてるところさえあったな。というのも、このしょうもないシュミレーションを怠った同期とかが全然この女子のおる「東大世界」に馴染めてないっちゅう話をぼちぼち聞いてたんよね。それに引き換え俺はやっぱりちゃんと女子とも無理なく喋れてたから、うわ、これは明暗を分けたな〜と思って。やっぱりそれ相応の危機感を持ってしっかり脳内で準備しとったから初っ端でコケんで済んだっていうのがあって、自分にひとまずめちゃくちゃ安心したな。良かった、これで俺も灘の弊害を引きずることなく大学生活にうまいことスライドできたなっていう。でもこれも今から思ったら全然、ぜんっぜんそんなことないねんな。確かに、目の前の女子とのコミュニケーションを円滑に行うことそれ自体に難があるか否かという点ではクリアしてるけど、それはもう、ほんの表面的なことに過ぎひんわけやね。

5月くらいに気付いたこと

 まあでもそんなことはつゆほども分からずに、最初は東京で暮らすっていうことに精一杯やったわけやけど、入学して1ヶ月くらい経ってくると、気付いてくることがある。まずは、周りの人間がほとんど東京の言葉使いよるせいでほんまに耳にストレスやわっていうことやねんけど、これはもう完全にほな東京なんかに住むなやってことで10-0で俺が悪いからそんなことはどうでもよくて、この今日の文脈で言うところの気付きっちゅうのは何かっていうと、共学出身の男子ってむしろ全然女子と喋りよらへんやつ多いなってことやねんな。まあ全然喋らへんは言い過ぎやねんけど、必要以上には喋らへんみたいなとこあって、でもこれ考えてみたらめちゃくちゃ当たり前の話なんよね。東大って女子の割合が約2割で、なんなら一般的な共学の学校出身者からしたら女子の数は東大に来ることによって減っとるわけやから、周りの人間と完全に等しく喋るやつ(こんなん理想気体みたいなもんでほんまに実在するわけではないけど)からしたら人数が減ったぶん女子と喋る頻度も下がるやろからな。まあなんにせえ、別に女子とは当たり前のように喋れるんやけどあえて喋りにいこうとはせんっていう層の存在に気付いていくわけやな。これ割と気付くんに1ヶ月くらいかな、結構な時間かかってんなあ、というのも、さっき喋ったみたいな、「目の前の女子とのコミュニケーションを円滑に行うこと自体に難のあるやつ」も一定数しっかりおるから、それと見分けがつきにくいねん。眼前に出力される結果として女子とそない喋ってへんていう点では変わらんからな。しかも、これも当たり前の話やねんけど、今まで言うてきた女子と喋るかどうかみたいなことを完全に抜きにして「おしゃべりなやつ」から「無口なやつ」まで様々おるから、より一層わかりにくいってのもある。

めちゃくちゃざっくりした分類をすると

 まあだから今まで無邪気に、自分は女子とのコミュニケーションめちゃくちゃ取れる方やと思ってたわけやけど、それは意識して取りに行ってもうてたっていうだけで、別に全く気張ることなくごく自然体で接してるやつの方が一枚上手やったなということに気付くわけやな。そうなると途端に、この今までの肩肘張った机上の空論とか、それを頑張って実行してる感じとかがめちゃくちゃ恥ずなってくんねんけど、一方で、この自分のやってきた営みを後悔してるかって言われたら全くそんなことはない。なんでか言うたら、もし仮にそれをやってへんかった場合は「目の前の女子とのコミュニケーションを円滑に行うこと自体に難のあるやつ」にまで成り下がってたことが容易に推察されるからやねんな。実際そうなってもうてるやつもいっぱいおったし。つまり、めちゃくちゃ粗い、反例だらけの分類をすると、男にはA「女子と喋るように心がけてるやつ」B「気張ることなくごく自然体で接してるやつ」C「女子と喋るんが苦手なってるやつ」の3種類おって、ぱっと見の女子とコミュニケーションを取ってる量としてはA≧B≧Cではあるんやけど、別にAって全然褒められたことではないよなっちゅうことやねん。ほんでこれが男子校病の本質に迫りつつあるとこやねんけど、男子校出身者はA(女子と喋るように心がけてる)かC(女子と喋るんが苦手)かの二択になりがちっていうのがポイントなんよな。B(気張ることなくごく自然体で接する)はむずいねん、ほんまに。で、Aを選択したやつ、まあ俺もそうやねんけど、そのタイプのやつは得てしてC(女子と喋るんが苦手なってるやつ)だけが男子校病やと勘違いしがちやねんけど、これが大いなる間違いで、AもCも完全に同じ「男子校病」という病にかかってるっちゅうことやねん。

イケてるように見えるやつこそ男子校病やったりする

 ていう今までの話でなんとなく分かったと思うねんけど、さっき首都圏の男子校のイケてるやつも男子校病やでっていう話をしたけど、こいつらは間違いなくAっていうか、Aみたいな営みを高校の時からやってるに過ぎひんっちゅうことやねんな。まあ言わばAのベテランや。ベテラン過ぎて大学に進学した時にはもうBに移行できてるやつも稀におるけど、これは俺に言わしたら「Bっぽい」であって、あ、こいつA出身のBやろっていうのはほんまに見てたらなんとなく分かってくる。まあ自分も大学4回やから当初に比べたらもうだいぶ(気張らずに)自然体で喋ってるけど、でも多少は精神性のどっかに名残があると言わざるを得なくて、これが男子校病の恐ろしいとこやねんな。もう見た目は全く病を患ってるように見えへんやつも意外と患ってるわけで、つまりは表層のコミュニケーションには出現せえへん精神性の問題ってことなんよ。

<後編>に続く

 というわけで今日は東大に入学直後にまだ自分が男子校病に罹患してる自覚のない時期のことについて喋ってきたわけやねんけど、また<後編>では、この病気の本質部分をじっくり喋っていくとともに、この病気のことを分かりやすく「男子校病」って呼んでるけど、世の男でこれにかかってるやつはかなりぎょうさんおるやろなっていう話もしていきたい。まあでもここではほんまに気まぐれで喋ってるから、次回すぐ<後編>に行くかどうかはちょっと決めてへんくて、もしかしたらちゃう話を挟んだりするかもしれんねんけど、また近いうちに絶対に扱う論題やとは思うからまあ楽しみにしといてくれ。っちゅうことでほな今日はこの辺で、ではでは出羽山脈〜〜


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