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ほんとうに監視・対策すべきものは何?

海辺で女の子が三人、
自撮りをしようとして苦労していたので声をかけた。

「撮ったげようか?」
「嬉しいです〜。お願いしま〜す!」

お揃いのピンク色のマスクをしたまま並ぶ三人。

「うーん、せっかくだからマスク取ったら?写真撮る時くらい。」
「え〜いいんですかあ〜?」

と、今度はすごく嬉しそうにマスクを外して並んだ。

温かくて気持ちいい風が強く吹いて、
髪が舞い上がり、笑顔が弾けた。

マスクをしていない写真は、
SNSなどには載せられないかもしれないが、
別によかろう、と思った。
そんなに素敵な笑顔を、
不特定多数の人間に見せてやる必要なんかない。
仲良しだけの秘密にしておけばいい。

感染対策以上に必要な対策。
それは私権の制限と監視への対策です。

ミシェル・フーコーの言うように、人間の脳は、
勝手に監視されていると思い込むようにできています。

それを利用して現代社会は形成されています。
本来、誰もあなたを監視してなどいないのです。
監視されるべきは企業であり、国家なのです。

私たちは社会システムをこそ、徹底して監視・運用するのであって、
そのために、犯罪者でもない個人の監視などに、
1秒たりとも時間を割いてはいられない。

そのことを彼女たちにも伝えたかった。
せめてあの瞬間が、彼女たちの宝物になってくれれば良いと願う。


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