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[この曲がすごい!その2]↑THE HIGH-LOWS↓"夏の朝にキャッチボールを"

「好きな一曲をただレビューする」コーナー。記念すべき第2回はこちら!
↑THE HIGH-LOWS↓の「夏の朝にキャッチボールを」

僕が本当に人生が変わってしまうくらい影響を受けているのが甲本ヒロト(以下ヒロト)さんと真島昌利さん(以下マーシー)の二人なので、この二人のバンド「THE BLUE HERTS」「↑THE HIGH-LOWS↓」「ザ・クロマニヨンズ」について語ることは本当に荷が重いというか言いたいことがありすぎるし語りたい曲も多すぎてどの曲から書くか本当に迷ったのですが、ここはあえてオリジナルアルバムには収録されなかった名曲「夏の朝にキャッチボールを」からいきます!イエーイ!

そもそもロックの世界には「奇跡的な二人が組んだバンド」っていうひとつのジャンルがあると思っていて、それは例えばビートルズのジョンとポールだったり、ストーンズのミックとキース、スミスのジョニーマーとモリッシー、リバティーンズのピートとカール、日本だとRCサクセションの清志郎とCHABOとか「この二人が一緒にバンドをやっているなんて奇跡じゃん!」と言いたくなるようなバンドは数多くいると思いますけど、なかでも僕にとっては「ヒロトとマーシー」がその最たるものです。この二人のロックンロールへの想いは本当に深すぎて他の誰も追いつけないくらいだと思う。生き方だけじゃなくて思考もロックンロールを前提としているというか。
そして中学生の時にブルーハーツを聴いて衝撃を受けてからロックにのめり込んだ僕はヒロトとマーシーのおかげで過去の最高のロックンロールにたくさん出会えたし、彼らの影響を受けた素晴らしいバンドの数々にも出会えました。それはきっとこれからも続くし、ヒロトとマーシーが現役でロックンロールしてくれている奇跡的な瞬間を体験するためにクロマニヨンズのライブには大学時代から毎年足を運んでいます。僕が絵も全然描けないくせに絵本作家を目指して大学卒業後イラストの専門学校に入学したのはその時発売されたばかりのザ・クロマニヨンズのアルバム「ACE ROCKER」を聴いたことと、そのツアーで生まれて初めてヒロトとマーシーのライブを観た影響がものすごく大きかったりもします。(会場はナンバーガールの解散ライブの映像を観て憧れだった札幌のペニーレーン!)
ホントのことなのでものすごく恥ずかしいですけど、才能も技術もないくせに「やりたいことをやりたい!そんな感じで生きたい!」と思わせてくれました。まあ道を踏み外しただけとも言えますけど。(笑)

高校生の頃からたくさん聴いているGOING STEADY、銀杏BOYZの峯田さんはものすごくヒロト&マーシーの影響を受けていて、ヒロトと雑誌で対談した時に「好きすぎて会いたくなかった」と本人に言っちゃったりしてめちゃめちゃ緊張している様子がとても微笑ましかったです。(僕は峯田さんも大好きです)

そんなヒロトとマーシーの数ある名曲からなぜこの曲を選んだかというと、以前僕が実際に絵本を描きはじめた頃に「自分なんかに出来るのか?」と不安になったり、冗談混じりに「キレイごとばかり言うよね」と言われたりして「自分が伝えたいと思ってる言葉はただの嘘なんじゃないか」とか考えてクヨクヨしてしまっていたことがあったのですが(そもそも技術がないので下手くそで当然なのですが、その時は訳もわからずネガティブになっていました)、そんな時に「何だってできる」「何にでもなれる」という誰もが「それは嘘だよ」とか「そんなわけないじゃん」と吐き捨ててしまうような綺麗ごとをひとつも嘘をつかないで言ってのけたのがこの曲「夏の朝にキャッチボールを」だったからです。

僕はブルーハーツとクロマニヨンズを中学生の頃からたくさん聴いてきて(クロマニヨンズのデビューが僕が中学生の時でした)、その頃はやっとハイロウズをベスト盤以外のアルバムもちゃんと聴き出した時期。アルバム未収録のカップリング曲やレア音源を集めた企画盤「flip flop」の中に収録されていたこの曲の一発目の歌詞「できることならば 何だってできる」「なれるものならば 何にでもなれる」を聞いた瞬間にものすごく嬉しくなっちゃって。はじめはあまりにも当たり前なことを歌った歌詞に「一休さんのトンチじゃないんだから」と笑っちゃったのですが、何度も聴いているうちにひとつも嘘をつかないで「何だってできる」「何にでもなれる」と言ってのけたすごさに本当に感動してしまって号泣。
その他の歌詞も「説明ならできないけど ある日急に わかることがある」とか「幸せになるのには別に 誰の許可もいらない」「真面目なふりして つまらないことで 悩んだふりする たまにゃ面白い」「なんだかんだ 気分次第 自由になら 一秒でなれる」といった感じで、もうとにかくパンチラインだらけ!全ての言葉選びの精度が本当に高くて感動しました。ちなみに作詞作曲はギターのマーシー。ヒロトとマーシーは本当に才能が拮抗していて、二人とも生涯一曲生まれたら奇跡的っていうような名曲がいくつもあるんですよ!マジで!
そして夏と野球が大好きなマーシーならではの空気感は下手過ぎてボールもうまく投げられなかったけど小学生から大学卒業までずっと野球をやってきた僕にはものすごく刺さるんですよね。
今でも悩んでいるときに聴くと「今俺は悩んだふりして面白がってるだけなのかも」と思ったり「自由になら一秒でなれる」という歌詞でちょっと気持ちが楽になったりしています。

悩みが何もない人が書く歌詞じゃなくて、悩んで悩んで悩みぬいた先にそれをぶっ飛ばすようなロックンロールがあるっていうのがこの二人の曲の魅力だと僕は思っています。ただポジティブなんじゃなくてちゃんと孤独感や焦燥感、疎外感を感じたうえで「それでもやる」っていうイメージ。

ちなみにこの曲は当時レコーディング前にライブのアンコールで披露されたあと、アルバムには収録されずに歌手の川村カオリさんに提供されて後にハイロウズがセルフカバーするという流れがあったりします。この川村カオリさんのバージョンもめちゃめちゃいいんですよね。川村さんは2009年に38歳で亡くなってしまうのですが、シンガーとしてものすごくかっこいいです。ということで最後に川村カオリさんの「夏の朝にキャッチボールを」もオススメしておきます。

かっこよくてかわいい!以前川村カオリさんが亡くなる少し前に出演したテレビのドキュメンタリーを観たのですが闘病しながら最後までステージで歌い続ける姿にすごく感動しました。デビュー曲はECHOSの「ZOO」のカバーだったのですが、そちらも素晴らしいのでそのうちご紹介します。

ということで「この曲がすごい!」第2回は↑THE HIGH-LOWS↓の「夏の朝にキャッチボールを」でした。ロックって本当にいいものですね。またお会いしましょう。サヨナラ。

↑THE HIGH-LOWS↓ " 夏の朝にキャッチボールを "
アルバム「flip flop」収録

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