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[この曲がすごい!その4]GOING STEADY" 銀河鉄道の夜"

「好きな一曲をただレビューする」コーナー。記念すべき第4回はこちら!
GOING STEADYの「銀河鉄道の夜」

※この文章は夜中の3時から朝5時にかけて書いたので自分でも何を書いてるのかよく分かってません。できれば皆さんも夜に読んでください。恥ずかしいから。

GOING STEADYと銀杏BOYZについて何か語ろうとすると「恥ずかしくないと嘘だ」っていう気がなんとなくしてしまって、誰も興味がない僕自身の話をしないことには曲の話ができないので今回はこの曲について語るというよりもこの曲からはじまる僕の思い出話しをしようと思います。ごめんなさい、かなり個人的だし読んでもつまらないと思います。でもこの曲を取り上げて個人的にならないのは無理なんです。
だって客観的には絶対になれないくらい思い入れがあるんだもん。

高校生の時にYoutubeか何かで初めてGOING STEADYと銀杏BOYZを聴いてから「なんだこれ!もっと聴かせろ!」と思って慌てて駅前のゲオに置いてあった銀杏BOYZの2つの1stアルバムをレンタルしました。当時はもう銀杏BOYZがとっくにデビューしていたのですが、高校生の僕はまだ初期銀杏BOYZのぐっちゃぐちゃでノイジーな魅力に気が付く前で圧倒的にGOING STEADYの方が好きでした(とはいえ銀杏BOYZも聴き続けていたのですが)。「銀杏もいいけどゴイステを聴きたい!」と思ったのですがそのゲオにはゴイステのCDは置いてなくて、まともなCDショップもない北海道のさびれた町でCDを扱っているお店を自転車で何軒もハシゴしてやっと本屋さんのCDコーナーで見つけたのがGOING STEADYの「さくらの唄」というアルバムでした。

このアルバムは本当に大好きで信じられないくらい繰り返し聴いたなあ。今でも時々聴きますけど、聴くたびに高校時代や大学時代のなんとも言えない恥ずかしい気持ちを思い出します。全曲レビュー出来るくらい好きな曲しかないアルバムなのですが、その中でも今回は「銀河鉄道の夜」について書きます。

映像で見たGOING STEADYも銀杏BOYZ同様ライブはハチャメチャだったのですが、峯田さんはまだ服を着ていて髪の毛はアフロ。激しくもどこか素朴でメロディアス。愛とか恋とか星空とか恥ずかしいことをでっかい声で歌う峯田さんの歌詞とブルーハーツの影響も多分に受けたストレートで日本的なパンクロックにそりゃもう夢中になりました。
初期の銀杏BOYZはライブパフォーマンスも峯田さんも「汚い(そこがいいんですけど)」のですが、GOING STEADY時代は結構スタイリッシュなイメージを僕は持っていました。

実際GOING STEADY時代は露骨に童貞感のある曲は「童貞ソーヤング」(そのまんまですけど)くらいで、初期銀杏BOYZにあった過剰なリビドーや童貞感はあんまり強調されていなかった辺りもエロは別に嫌いじゃないけど恥じらいが何より大事だと思っていた当時の僕にぴったりだったのかもしれません。(僕はいったい何を言ってるのでしょう?笑)

高校生の時は大好きなロックの話を出来るような友達は一人もいなくて、いつも部活終わりに友達と別れた後はあえて遠回りをしてipodに入れたロックを聴きながら帰っていました。家が学校から近かったので遠回りしないと音楽を聴いて帰る時間が足りなかったんですよね。高校時代は野球部に所属していたのですが、部活終わりは毎日もう真っ暗で、ひとり自転車をこいで夜の川沿いの道を心細いライトで照らしながら「銀河鉄道の夜」を聴いた時の、あのなんとも言えない気持ちをこの曲を聴くたびに思い出します。

そして大学に進学した後に入った野球サークルは冬のオフシーズンに1日だけライブハウスを借りてサークルメンバーで組んだバンドでライブをする通称「フェス」を代々やっているようなサークルだったので先輩たちはロックや音楽が好きな人たちばかりでした。大学サークル特有のひどい飲み会が頻繁にあって、二次会は毎回カラオケでベロンベロンになりながらみんなで「銀河鉄道の夜」を大合唱したりして、僕は飲みなれないお酒で具合が悪くなりながらも「悪くない!」とか思っていたのを思い出します。

そのサークルに所属していた同級生のロック好きな男の子と仲良くなり、お互いの好きなCDを貸し借りしたり、彼の一人暮らしの家に泊まり込んでピザとビールを片手に一晩中自分で編集したロックの名曲をまとめたCDを聴いてロックの歴史について語り合ったり好きなバンドのライブDVDを見てはしゃいだりしていました。
生まれて初めてロックの話しを夢中でできる友達ができてとにかく嬉しかったな。
彼は今でも一緒にライブに行ったりお酒を飲みながら音楽や映画、本の話を二人でしたりする親友です。

そして大学2年生とか3年生になるとまわりの人たちみたいに就職活動にも打ち込めず、将来のことなんて何にもわからないままぼんやりとした不安を抱えて「何かを見つけたい」なんて思いながらひとりで大学図書館の本棚を眺めていたときに見つけたのが宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」でした。
もちろんタイトルも宮沢賢治の名前も知っていたのですが、その時は一度もちゃんと読んだことがなくて「あっ、ゴイステの曲と同じタイトルじゃん」と思って何気なく手に取って読んでみました。
しばらく読んでいるとすぐに夢中になってしまって、読み終えた後には自分の中で何かが大きく変わったような気がしました。それから夢中で図書室に通ってイヤホンからロックを流しながら気になる本をとにかく片っ端から読むようになった結果、本を作る仕事に興味を持ちはじめて出版社の編集者を目指して就職活動を始めるのですが、その後の話しは長くなるのでまたの機会に。

とにかくそこで読んだ「銀河鉄道の夜」に本当に心が震えちゃって、ロックに感じたのと同じような衝撃を受けたような気がします。それをきっかけにして文学にも夢中になっていくのですが、GOING STEADYと宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に触れた頃から「いつか東北や東京に行きたい」と憧れるようになりました。
歌詞の中の「シベリア鉄道乗り換え 東北を目指します」や「声 高円寺に消え やがて汽笛は響き」を聴いたり、たくさん小説や音楽に触れる中で、東北や東京には「ここにはない何かがあるんじゃないか」と夢想していたんだと思います。

大学卒業後は専門学校に入学して絵本作家を目指して勉強し、卒業後は絵本を描いたりZINEを作って作家活動をしながらデザインやイラストの仕事を始めることになるのですが、卒業後1年たったあたりで宮沢賢治や太宰治のルーツを辿るために東北~東京へ行くひとり旅に行きました。よく旅行する方にとっては大したことない旅だと思いますけど、北海道からひとりで旅したことなんて一度もなかった僕にとってはすごい冒険でした。
この旅の話もいつかしたいな。

その旅先で訪れた東北でも、その後初めて訪れた高円寺でも、僕のイヤホンからはこのGOING STEADYの「銀河鉄道の夜」が流れていました。

GOING STEADY解散後に結成された銀杏BOYZでもGOING STEDY時代の曲は年々形を変えて歌われることになるのですが、この曲も最終的に「新訳 銀河鉄道の夜」としてアルバム「光のなかに立っていてね」に収録されることになります。それも大名曲なのでいつか書きます。

宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」っていう魔法のような作品に山形のロック少年だった峯田さんが抱いていた憧れを感じられて、歌詞の「銀河鉄道の夜 僕はもう 空の向こう 飛び立ってしまいたい あなたを 想いながら」に心底共感していました。僕は今でも星の出る夜にひとりで散歩するのが大好きなのですが、その時に感じるのはいつでもこういう気持ちだったのでなんだか涙ぐんだり。
イヤホンの向こうから「ハロー 今君に素晴らしい 世界が見えますか」と呼びかけてくれる峯田さんがひとりぼっちの僕に気づいてくれているような気がしたのかもしれません。

生きているかぎりどうにもならない不安をどうしても拭えなくて、僕はいつでもロックを聴いて、本を読んで、映画を観てきました。

いまだにそんな気持ちはまったく変わらないので、きっと僕は何も成長していないし、それはこれからも全然変わらないんだろうな。僕は4歳くらいから今まであまりにも色んな気持ちを忘れられないので「この気持ちを忘れちゃうかも」っていう心配が全然ないです。忘れたいという気持ちや大人になりたいと思う気持ちもないことはないのですが、今はこの気持ちを全部連れていったまま自分なりの表現をして生きていくことが夢です。作家としてはそんな気持ちたちがいつでも僕を助けてくれているという気もしてますし。
きっと僕が色んな気持ちを忘れちゃう頃にはもうすっかりおじいちゃんになっていて、忘れたことすら気が付かないんだと思う。そんなことを夜中の3時から考えてしまって、今はもう朝の5時30分です。なにやってんだか。笑

長々と僕以外の人にとってはどうでもいい思い出話を書いてしまいましたが、僕にとってこの曲は「誰も求めて無くても自分の思い出話をしたくなる」ような自分の青春と直結したバンドの大切な一曲です。
今後もゴイステと銀杏BOYZはしつこく取り上げると思うのですが、なるべく同じ思い出話しはしないように初回は多めに書いちゃいました。最後までお付き合いくださった方はありがとうございます。途中で読むのがめんどくさくなった方はごめんなさい。

ということで「この曲がすごい!」第4回はGOING STEADYの「 銀河鉄道の夜」でした。ロックって本当にいいものですね。またお会いしましょう。サヨナラ。


「ハロー 今君に素晴らしい世界が見えますか?」


GOING STEADY " 銀河鉄道の夜"
アルバム「さくらの唄」収録

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