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[この曲がすごい!その5]フジファブリック "茜色の夕日"

「好きな一曲をただレビューする」コーナー。記念すべき第5回はこちら!
フジファブリックの「茜色の夕日」

初期フジファブリックの名曲。ボーカルの志村さんが山梨県から18歳で上京して初めて作ったこの曲は、インディーズ時代からメジャーになってもずっと大切に歌われていた曲で、その歌詞は子供から大人になる過程で別れた人や置いてきた風景への心残りと今目の前にある孤独感や不安感、ほんのちょっとの希望を正直にさらけ出した切なくも優しい内容です。

志村さんの素朴で優しい歌声と、それを包み込むようなバンドの演奏。バンドの中にいてもどこか寂しげで、孤独を抱え続けていた志村さんをそっと支えるメンバーの優しさが感じられるようです。

個人的に歌詞が秀逸だと思う点として、「夕暮れ→夜」という時間の変化に「子供→大人」「山梨→東京」「ふたり→ひとり」「情熱→不安」といった環境や心情の変化を重ね合わせている点です。

夕暮れ時は人生のすべての悲しい出来事や優しい思い出やいなくなってしまった人を思い出す切なくもあたたかい時間。
そんな夕暮れが夜になると、むなしさと同時にホンの少しの希望を「東京の空の星」に見いだします。
でもその希望は「見えないこともないんだな」と歌われるように、目を凝らしてじっと見つめなければ気がつかないような小さな光でしかないあたりに本当に正直な志村さんの気持ちが込められている気がして、他人事とは思えないくらい心が揺さぶられます。

志村さんが十代の頃から憧れ続けた奥田民生さんが、志村さんが亡くなった後に涙ながらにこの曲をカバーして弾き語りしていた音源を以前聴いたのですがとても素晴らしいカバーでした。

フジファブリックも大好きな曲が多いので今後たくさん取り上げようと思います。

最後に、そのうち消されちゃうと思いますが志村さんの故郷の富士吉田市にある「富士五湖文化センター」での凱旋ライブのアンコールで演奏した「茜色の夕日」の映像を貼っておきます。

…もうこんなの涙なくして観れない。「なりたい大人になる」ことの不安や苦しさ、「なりたくなかった大人」になっていく人たちを羨んでしまう気持ちなどを正直に語る志村さんのMCが僕は大好きです。今は富士五湖文化センターでのライブはDVDでフルで見れますが、僕が夢中で聴き出したころはシングル「Sugar!!」初回盤の特典映像でしかこのライブは観れなかったのでものすごーく探してやっと中古でCDを買って何度も観ては号泣した映像です。

「自分で選んだ道」だからこそ生まれる葛藤や悩みもあって、それは志村さんほどの才能がある人でも一緒なんだという事実に夢を持って不安の中で日々過ごしている僕はすごく救われました。
このライブの時の志村さんは丁度今の僕と同じ28歳。志村さんは2009年の12月24日に29歳の若さで亡くなってしまうので、今年志村さんの年齢に追い付いてしまうと思うとすごく切なくなります。でも志村さんは素晴らしい曲の数々を残してくれましたし、残されたメンバーは今でも最高のフジファブリックとして活動を続けてくれていますので今のフジファブリックも応援し続けようと思います。

28歳。まだ僕は何ひとつ世の中に残せていないから、長生きしてきっといつか誰かを勇気づけたり優しく寄り添えるような作品を作りたい。

ということで「この曲がすごい!」第5回はフジファブリックの「茜色の夕日」でした。ロックって本当にいいものですね。またお会いしましょう。サヨナラ。

フジファブリック "茜色の夕日" 
アルバム「FABFOX」収録

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Naoto Yamada 北海道で絵本を描きながらデザインやイラストの仕事をしています。北海道芸術デザイン専門学校卒。札幌のデザインユニットSHIMAUMA DESIGN所属。文芸社えほん大賞受賞作「プップクプードル」販売中 映画、ロック、本が好き。