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「これもまためちゃくちゃいいんですよ!」と言いたい。ペルーコットンで作ったベーシックTシャツ。-1-

「HOFI-007 ペルー超長綿天竺 丸首Tシャツ」

これこそが、東大阪繊維研究所が考える「ベーシックTシャツ」です。

ナチュラルなメランジトーン、ストレートな脇のライン、少しタイトで綺麗な襟元。

過度な主張はしないけれど存在感がある、

そんなTシャツです。

このTシャツを作るのにも数え切れないほどの試行錯誤を繰り返しました。

今回から何回かにわたって、このTシャツが出来上がるまでのエピソードをご紹介していきたいと思います。

7年前のある日、

まだ糸しか販売していなかった当社は、たまたま人づてにとある小さな生地メーカーさんを紹介していただきました。

糸だけを売っていては販路も広がらないし、いいチャンスだからこれからは生地も販売してみようと考えた私は、

せっかくなら最高の生地を作ってみたい

と思い、その時自社にあった一番自信のある糸で生地を作ってもらいました。

今思えば何を持って最高とするかも考えず、自社にある一番お気に入りの糸を贅沢に使えば出来るだろう、くらいの安易な気持ちでいました。

出来上がった編地を触ってみたらこれがなかなかいい。

これなら売れるかも、と思った私はそれを色んな客先に持ち込んでプレゼンを繰り返します。

ある人は「凄くいいけど、もうちょっと柔らかい方がいいね」という。

またある人は「この光沢が必要ないかも」という。

別の人は「商品は申し分ないけど値段が高すぎるな」という。

「やり始めからすぐに結果が出ないのは当たり前、少しずつ勉強していけばそのうちに更にいいものが出来るはず。」

そう考えていた私はいろんな方々の意見を聞きながら、その都度少しずつ商品の手直しをしたり新商品を作ったりしていきました。

その結果、

そこそこ売れるけど平凡な生地がいくつかそこにあって、

いつのまにか「最高の生地を作りたい」という熱は冷めていました

生地を作り始めてから4年が過ぎていました。

そのころは

「いろんな人からアドバイスをもらうと、どうしてもこうなるよなぁ」

と半ば他人のせいにしていた自分がいました。

けれどそれは間違っていたのです。

しばらくたって、たまたまその「そこそこ売れるけど平凡な生地」を手にとって眺めているときに、

誰が着るん?これ。。。

という思いがよぎりました。

糸を作るときはいつも

糸は着る人のことを考えて作るものだ!

という意気込みで取り組んでいたのに、生地作りになったときにそれをすっかり忘れていたのです。

長年糸屋さんをやっていると、取引先さんのことも良く知っているしその向こう側にいる顧客の人たちが好む服もなんとなく分かってきます。

そうすると糸を作るときにも、

「あそこのお客さんにはもっと明るい色をお出ししなければ」

とか、

「あのブランドならもう少し上品に見えるように加工しないと」

という想像をしながら仕事をするようになります。

けれども、生地を作ったときのモチベーションが「最高の生地を作りたい」という作り手目線のものだったので、着るという観点が抜け落ちていたのです。

いかにもものづくりの初心者がやらかしそうな失敗。。。

糸作りではそこそこのキャリアがあっても、生地作りにおいては経験の浅い素人だったのです。

そこから一気に考えを改めて、

まずは自分が着てみたいと思える生地を作る

という目的に絞りました。

そもそも生地作りを始めたときに、何を持って「最高」とするか特にビジョンを持っていないことが問題だったので、そこを見つめなおし、

「なんとなく手にとってしまう肌ざわり」

とか、

「触っているだけで癒される風合い」

なんかも大事にしつつ

結局いつもこの服をえらんでいる

というものが最高の着心地だろうということに思い至りました。

その時点で4年も生地作りを勉強していたので、

「うちの糸作りの技術を上手く生かせばそんな生地が作れるはず」

という手ごたえも感じていました。

そして、

自分が着たい服とはなにか

をあらためて考えるため、当時もっていた服を全部衣装ケースから引っ張り出して部屋に広げてみました。

「最近着てないな、これ」

というものばかり。

これ、本当はいらないな、これも次いつ着るかわからんな。。。

そうやっているものといらないものを選別していると、見えてくる。

「そういえば起きている時も寝るときも、自分は常に半袖のTシャツを着ている。」

春夏はもちろん、秋にはシャツのインナーに半袖Tシャツ、冬はセーターやスウェットの下に半袖Tシャツ。

寝るときも同じ、冬はパジャマの下に半袖Tシャツ。

「これやな。」

と思いました。

最高のTシャツを作ったら、寝ても覚めても常に最高の着心地を楽しめる。

これが「東大阪繊維研究所」の立ち上げを思い立った瞬間でした。

その2へ続きます。

東大阪繊維研究所 オンラインストア
https://hofi.shop/

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