いじわるで結構

昼下がり、8歳の息子と公園へ遊びに行った。

公園脇の遊歩道で、息子がキックボードに乗っていると男の子が寄ってきて「何やっているの?」と聞くので「キックボードに乗っているんだよ」と返すと「僕も乗りたい」と言い出した。この瞬間は(まぁいいけど)とわたしは思っていたけど、息子は「あの…誰ですか?知らない人とは話さないんだよ」と返し(予想外の冷静な台詞w)と思った。男の子は「ぼくは○○ジュン君だよ。だからそれ貸して」と言うも、息子は「名前を知ったくらいじゃ、まだ知っている人じゃないから…」と渋っている。

ふと気になって「ジュン君ひとりで遊んでいるの?」とわたしが聞くと「そうだよ」と言う。「おうちの人は?」とわたしがさらに聞くと「家にいるよ」と言う。「ジュン君いくつ?」とわたしがさらに聞くと「5歳だよ」と言う。

5歳をひとりで外に遊びに行かせているの!?

この事実で、わたしの中で警戒ランプ点灯。5歳といえば就学前である。わたしの価値観では、ひとりで公園遊びに行くには少なくとも2歳早い。ジュン君どんだけ信頼されているの……。いやでも、この人懐っこさは危険だ。子犬見せてあげるよ。の台詞で知らない人の車に乗っちゃうんじゃなかろうか。乗っちゃダメだぞ、ジュン君。

ジュン君は、諦める様子はなくカラダ全部を使って息子のキックボードに自分が乗ろうとしている。息子は困った様子で「ママァ」とわたしに助けを求めるので

「ごめんね。ジュン君が乗って怪我をしたら危ないから貸せないよ」

と伝える。心の中では(万が一怪我をした時に、5歳の子どもをひとりで公園遊びに行かせられる親を相手にしたくないわ〜。君子危うきに近寄らずの精神!)である。それでもジュン君はあきらめない。なんとしてもキックボードに乗らなくてはならない様子。キックボードには乗ったことがあるだの、ジュン君は転ばないから大丈夫だのと言っては、ぐいぐいくる。
結局、歩くよりも遅い速度でほんの数メートルだけで貸してあげて、キックボードに乗った事実を作り「はい!終わり!」で終わらせた。

「もう?なんで〜?いじわるしないでよ〜」

と罪のない5歳児に言われても、わたしの心は揺らがない。
いじわるオバサンで結構です。

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