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#小説
腹心懊悩 エピローグ
エピローグ
これは遠い昔のお話です。香壇山長楽寺という場所に、一人の稚児が預けられることになりました。稚児の名前は利達。齢十歳。有名貴族の落とし胤です。男児として生まれたものの、その出自から親の威光による出世が望めません。幼い頃から母に口酸っぱく教え込まれ、この世に対する期待も、気力も失っていました。できれば何もしたくない、平穏に暮らせればそれでよいと考えていたのです。
利達の父は、利達に対
エピローグ
これは遠い昔のお話です。香壇山長楽寺という場所に、一人の稚児が預けられることになりました。稚児の名前は利達。齢十歳。有名貴族の落とし胤です。男児として生まれたものの、その出自から親の威光による出世が望めません。幼い頃から母に口酸っぱく教え込まれ、この世に対する期待も、気力も失っていました。できれば何もしたくない、平穏に暮らせればそれでよいと考えていたのです。
利達の父は、利達に対