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腹心懊悩

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腹心懊悩(ふくしんおうのう) 人は皆、心の内に悩みを抱えています。その悩みを知らずに接触することが多いです。 古典の世界では心の内はあまり描かれません。個展を題材にして、心の内を…
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#小説

腹心懊悩 入門

腹心懊悩 入門

入門

 利達が十歳の時、香壇山長楽寺に入門しました。入門当日は、利達の父は姿を現しませんでした。出自を隠しておきたい状況にある者が多いので特別に変わったことではありませんでした。寺門の近くまでは母が見送ってくれましたが、寺院には自分一人で行き、門扉を叩きました。
 長楽寺側では、利達の存在は話題になっていました。出自は皆それぞれに抱えていますが、万寿弥が政界を引退し、再び仏門に戻ってきた時、苦し

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腹心懊悩 エピローグ

腹心懊悩 エピローグ

エピローグ

 これは遠い昔のお話です。香壇山長楽寺という場所に、一人の稚児が預けられることになりました。稚児の名前は利達。齢十歳。有名貴族の落とし胤です。男児として生まれたものの、その出自から親の威光による出世が望めません。幼い頃から母に口酸っぱく教え込まれ、この世に対する期待も、気力も失っていました。できれば何もしたくない、平穏に暮らせればそれでよいと考えていたのです。
 利達の父は、利達に対

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