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フィールドホッケーのゲーム分析〜東京2020オリンピック〜

これは「スポーツアナリティクス Advent Calendar 2021」の23日目の記事です。

1.はじめまして

はじめまして、ホッケー男子代表アナリストのかわぐちです。どんな人間かはこちらを↓

できる限り、ホッケーもゲーム分析も詳しくない人でもみてすぐわかるよーな記事にと思います。分かりづらかったら、私の文章作成能力が低いということでご了承ください。。

2.フィールドホッケーとは?

そもそもフィールドホッケーって?という方がいると思うので
ざっくりご紹介すると、基本的にはサッカーと同じです。
ゴールを多く取ったチームの勝ち、11人制。
ピッチはちょっとサッカーより狭いが長方形です。
異なる点としては、

  1. ボールは野球の硬球と同じ大きさ

  2. スティックと呼ばれる道具でプレー

  3. 選手交代自由(疲れたらベンチで休んでまた出れる)

  4. オフサイドがない(ゴール前で待ち伏せOK)

  5. ゴールと認められるのは、サッカーで言うペナルティーエリア内でシュートした際のみ。ハンドボールの逆。

  6. 反則やボールが外出たあとのリスタートを、ボール保持者が誰にもパスせずドリブルで開始してOK(セルフパス)

  7. 得点率約30%ほどのペナルティーコーナー(以下PC)という、素敵なセットプレーがある

などなど、まあ他にもありますがこのあたり知ってればだいたい大丈夫です。実際どんなもんなのかは、以下の映像を見てもらえたら。更に詳しく知りたい方は直接ご連絡ください。

3.ホッケーのゲーム分析

実は約10年前以上からすでにリアルタイム分析が主流でした。
大変多くの様々なトップチームが使用している、ゲーム分析ソフトウェア「スポーツコード」も、オーストラリアのホッケーコーチが開発したそう。

分析する際の映像アングルはゴール裏からです。

ゴール裏からはこんな感じ

理由として、ホッケーはオフサイドがない分選手のポジショニングが非常に縦長になり、横からだと全てがおさまらないからです。
両側のゴール裏、横からのアングルもあると尚良いです。

また、ホッケーとは?のところに書いた通り、どんだけ華麗なパス回しやすんごいドリブルしまくっても、サークル(サッカーで言うペナルティーエリア)に入ってシュートを打たないと、得点として認められません。
ざっくりですが、下記の軸を元に自チーム・対戦相手の攻撃および守備を分析しております。
試合に勝利

得点を取る

シュートを打つ
↑(ペナルティーコーナー)
サークル内に侵入

23mライン内攻撃
※エンドラインから23mの位置に引いてある線内での攻撃

この軸から、どの選手がーどこからー何をーどのサイドからーなど映像および数字を見ながら、闘う際の試合ではどーくるかを分析し仮説を立てて試合に臨みます。

どのスポーツにも言えることだと思いますが、
数字のみ映像のみ
では信憑性がないので、必ず両方を交えた上で分析することが大事です。

4.オリンピック時の分析現場


練習試合等ではビデオ撮影からベンチにデータを飛ばすところまで、全て自分たちでセッティングしなければいけません。
しかしオリンピック時、データ入力以外は全て準備されてました。
この環境がどこの大会でもあれば本当に良いのに。

アナリストシート
名前の通り、アナリストが座るところ。ここに座ってれば、ゴール裏からの映像はパソコンに挿せば取り込めるかつ、そのデータをベンチとコーチボックスに送るためのネットも完備。自分で撮影しなくていいし、ローカルネットワークを構築するためのセッティングもしなくてよくて、非常に楽でした。

パソコンを開いて座ってる人が各国のアナリスト

コーチボックス
こちらも名前の通りコーチが座るところ。監督は基本ベンチにいるので、ここにいるのは他コーチ。生で試合を見つつ、アナリストが作ったデータを見ながらベンチのコーチに上からそしてデータを見た考察を伝え、ベンチのコーチが選手及び監督に伝える流れでした。

基本的に窓から試合を見てて、データを見るときのみパソコンをみる感じです

残念ながら日本は1分4敗と、予選敗退となりましたが、53年ぶりのオリンピックにしては世界で闘えることを証明できましたし、これから日本代表になる子供たちに夢を与えることができたのではないかと思います。

次のオリンピックまでもう3年を切ってる中、今回の経験をどう活かすか、代表に関わっている人全員が考え行動に移していかなければオリンピック優勝、メダル獲得はもちろんのこと、そもそもまた半世紀出場することが遠くなってしまいます。
まだまだ代表に関わって年数は浅いですが、私だから貢献できることを考え、日本ホッケー界未来の為に行動していけたらと強く思ってます。

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