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【ゲームレビュー】Blasphemous【メトロイドヴァニア】

『Dark Souls』シリーズの影響で、最近では一つのサブジャンルになってきているソウルライクゲーム。今回はその中でも独特でダークな世界観のメトロイドヴァニア作品をご紹介。

あらすじ

『静寂の悲劇』の唯一の生き残りである『悔い改める者』となり、世界を恐ろしい運命から救え。
宗教が支配する、一部の地域に『呪い』が病の様に蔓延した事でクリーチャー化した人々。その悪夢の様な世界を主人公は旅する事となる。

----------------------【良い点】----------------------

世界観

◆ 今作のクリーチャー達は宗教的なタブーや恐怖を表現したもの、もしくはモチーフとしたものが多い。
彼らはその恐ろしい、あるいは不気味な外見とは打って変わって、目を見張るような繊細で美しいドット絵で表現されてる。

キャラと背景

舞台となる世界、ステージの作り込みも素晴らしい。細かい書き込みにも拘らず、主人公や敵が背景に同化しない様にドット絵の色合いにも気が配られている。

ゴシック調のサウンドトラック、BGMもゲームの雰囲気に良くマッチしているし、時折挟まれるカットシーン、こちらもダークな世界観を堪能するのに一役買っている。

システム

◆ 全てがそうであるわけでは無いが、『ソウル』ライクであるだけに、今作のシステムには『ソウル』シリーズによく似たものが多い。


主人公は敵を倒すことで今作の通貨である『Tears Of Atonement』を自動的に入手できる。『Tears Of Atonement』はアイテムの購入や能力のアンロックの際に使用する。

『ソウル』シリーズとは少し違う点は、主人公が敵に倒されてしまうと『Tears Of Atonement』、所謂『ソウル』をドロップするのではなく、その場に戻って主人公の霊(のようなもの)を回収するまで『Fervor』の最大値が低下する事だ。

なお、倒されると、最後に訪れた『Prie Dieu』という『ソウル』シリーズで言うところの『篝火』の様なチェックポイントまで戻されてしまう。


『エスト瓶』のシステムとよく似たシステムもある。回復は使用回数に制限がある『Flask』を使用して行う。チェックポイントに戻ることで使用可能回数を回復する事ができ、ゲームを進めることで使用回数を増やすアイテムを入手する事もできる。

強化

◆ アクションは『通常攻撃(コンボ)』『ドッジ(回避)』『パリィ』『Prayer(奇跡、今作の魔法の様なモノ)』『Blood Penance(自傷して、MPを回復する』等が初期から使用可能だが、ゲームを進めていく事で、新しい技を習得したり、『Prayer』を入手できる。


技は聖堂(の様な場所)を訪れることで、主人公の剣『Mea Culpa』を強化し、新しいモノをアンロックする事ができる。アンロックには上記した『Tears Of Atonement』が必要になる。
アンロック可能な技には『Sinful Wrath(チャージ攻撃)』や『Sacred Thrust(ダッシュ攻撃)』等の様々な技が用意されている。

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今作の魔法に当たる『Prayer』は使用すると『Fervor(MP)』を消費し、『Fervor』を回復させるには敵を攻撃する、『Blood Penance』を発動する、下記する『Execution』を発動させるという三つの方法がある。
新しい『Prayer』は店で売られている物か、マップ内に隠されている物を入手する事で増えていく。


他にも『Rosary Beads』と『Relics』という装備品も用意されている。こちらも新規に入手するには店で購入するかマップで見つける必要がある。

戦闘

◆ 主人公は素早く軽快に動くことができ、その影響で戦闘面はスピィディーでスタイリッシュだ。
だが、スタイリッシュで軽快な動きをする主人公とは裏腹に、良い意味で“慎重”な戦いが今作では要求される。ザコ戦であっても、緊張感をもって戦闘を行う事が重要になってくる。


戦闘の際は攻撃をするタイミングを見図ることが肝要だ。いたずらに連続攻撃をすると反撃を喰らい、あっという間にHPが尽きてしまう。
何故なら、ザコ敵のHPは少し高めに設定されており、通常攻撃のコンボを一度決めたぐらいでは倒されない様になっているからだ。主人公は攻撃後に隙が一瞬でき、そのまま棒立ちになっていると反撃をもらってしまう。


上手く他の技を繋げるか、それともすぐに回避、もしくは防御するかをプレイヤーは決めることになる。
愚直に突撃するのではなく、防御、回避を行いながら敵の隙をうかがうのだ。

パリィ


聖堂で習得できる各技は通常攻撃よりも高威力で、特に発動までのスキが大きいモノ、例えば『Sinful Wrath』は威力が他の技よりもさらに高く、『ハイリスクハイリターン』がしっかりとしている。
余裕がある時は積極的にコンボに組み込んでいきたい。


連続攻撃を敵にヒットさせていくと、稀に敵が『スタン』状態になり、敵に止めを刺す『Execution』を発動させる事が可能になる。
『Execution』で止めを刺した場合には『Fervor』回復と『Tears Of Atonement』を多く入手できる。


『Prayer』も上手く取り入れることで、戦闘を更に有利に進めることができる。
例えば、比較的序盤で習得可能な『Prayer』の一つは『一定時間攻撃速度上昇』の効果を与えるバフになっており、上記した攻撃後の隙をある程度は消すことができる。
もちろん、遠距離攻撃に使用する事ができるものもある。


ボスは大型のものが多く、単発の攻撃力が高い敵が多い。
だが、基本的には上記のザコ戦と同様に攻撃する隙を上手く見つけること、特にボス戦では敵の攻撃パターンを覚える事が重要だ。

ボス

欲をかいて攻撃をしすぎるとあっという間にHPも回復用の『Flask』も尽きてしまう。

ステージ

◆ 今作はプラットフォーマーとしての質も良い。全てのエリアがそうであるわけでは無いが、全体的にトラップが多く、敵の配置もこちらをトラップに追い込んだり、避けづらくするような位置になってる。

むやみにダメージをもらっていると『Flask』が尽きてしまい、新しいエリアのチェックポイントまで持たない。


ただ、プレイしていて理不尽さは感じられず、良い意味での難しい配置だ。プレイヤーが覚える事で避けられるようにできているし、気を抜いてプレイをしていればそれだけ酷い目にあうようにできている。

----------------------【悪い点】----------------------

日本語訳

◆ 本レビュー執筆時点では日本語でプレイはできない。

主要人物のセリフだけでなく、『ソウル』シリーズの様に本作の各種アイテムの説明欄には物語の裏に隠された設定がちゃっかりと書かれていたりする。
特に『収集品』は物語を知るためのアイテムなので、今作のストーリーを楽しむ上では、それらを理解する事が重要になってくる。それだけに、翻訳がなされていない事が残念だ。

しっかりとした日本語翻訳が、早期に今後のアップデートで追加される事を期待したい。

ファストトラベル

◆ ゲーム中にファストトラベルが可能な部屋が五つしかなく、移動と探索の際に少し不便だ。

ゲームの後半からでも良いので、チェックポイント間を移動可能になるキーアイテムがあっても良かったかもしれない。

バグ

◆ 本レビュー執筆時点ではいくつかのバグが存在する。

筆者が確認できたものだと、『主人公が特定の足場にひっかかる』『主人公が足場や壁にめり込んで動けなくなる』の二つだ。特に後者は発生した際に、スタートメニューに戻ってセーブデータをロードするしか解決方法が無い。

些細なバグなので、アップデートでの修正に期待したい。

-----------------------【総評】----------------------

その独特なビジュアル面だけではなく、アクションやプラットフォーマーとしても非常に高水準でまとまっている作品だ。
『ソウル』や他の作品の影響が感じられる。だが、多くのゲームが影響を受けた作品のシステムを劣化させたような状態で組み込んでいる中、それらを昇華し、今作は上手く取り入れている。


個人的には現在『Steam』で発売されているメトロイドヴァニア系でも上位に入る面白さだった。
難易度は高めだが、気になっている方は是非ともプレイしてみて欲しい。

プレイ動画をアップしているので、気になった方はこちらを参考までにどうぞ。


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