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にちようびの音。聴きながらのショートエッセイ。

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【ジャンル】エッセイ 【テーマ】日曜の朝に合う晴れやかな曲の紹介 【1記事あたり文字数】1500文字以内 【更新日】毎週日曜日(月4~5本) 【読書ステップ指標】★★(おてがる)…
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#音楽

ななくさつゆりについて

プロフィール筆名 ななくさつゆり 出身 福岡県糸島市 webで活動している小説家、ライター。 自らの観察眼と社会経験をもとに、地の文で心象や情景を瑞々しく書き出す作風。 日常の極一瞬を切り取り、イメージが浮かぶように読者へ伝える文章が共感を呼ぶ。 レビューには、「ノスタルジーに浸れる写真展」との声がありつつも、読みやすさと繊細な空気感を両立させた言葉遣いから、「人を正気に戻す小説」とも。 目に浮かぶ情景の先へ踏み込み、読み手のクオリアに触れる文章を理想とし、「文章で

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Home。たまたま出会った曲とその先

コロラドはいいよねぇ。 あ、行ったことはないんですけど。 🎵 おはようございます。 毎週日曜日にお送りする『にちようびの音。』。 今回ご紹介したい曲は、ガブリエル・アプリン(Gabrielle Aplin) の「Home」 です。 いい曲ですよね。 アコースティック・ギターでそっと弾き語り、カントリーミュージックの気風があって、聴きやすく日曜の朝によく合うかと思います。おすすめです。 さて。 それはそれとして、皆さんにお尋ねします。 とある曲をなんとなく小耳にはさみ、 「あ、なんかコレいいな」 と思ったのに、曲名も歌手もわからない。 そんな時、あなたはどうしますか。 🎵🎵 私の場合、とりあえずその曲のことを知ろうとします。 いつか聴いた曲。 どこかで耳にした曲。 印象に残って、また聴きたいと思える曲。 ありますよね。 そして今なら、数多くの音楽再生のプラットフォームがありますから、曲名さえわかれば聴く方法は色々あります。 だからこそ、 「好きな曲かも」 と思った瞬間、その曲の情報を得たい。 が、その肝心の曲名が……わからない! 誰が歌っているのかも、情報がない! もう一度聴きたいと思うのに、手がかりは頭の中のメロディだけ。 そんな経験、ありませんか。 私は山ほどあります。 ……山ほど! この「Home」は、私にとってそういう曲のひとつだったわけです。 🎵🎵🎵 私は知らなかったのですが、ガブリエル・アプリンは来日したこともあるとかで、日本のWikipediaも記載がそこそこ充実していますね。 今では歌手も曲名も知り、オフィシャルのMVのありかも把握できました。 こうしてみなさんにご紹介できる程度には、この「Home」の解像度を上げることができています。 しかし、最初はとてもそうとは言えませんでした。 なにしろ、気に入ったとはいえ、なんとなく小耳にはさんだ曲、です。 曲名も歌手の情報もない。 耳に流れ込んでいた英語らしい歌詞だけが頼りでは、この動画に辿り着くことは困難でした。 たとえば、こういう時に私は、インターネット上で関係ありそうなワードを並べて検索をかけることがあります。 「I’ve been a daughter lyrics」とか入れてみるのですよ。 曲名がわからなくても日本語で歌われているものであれば、歌詞を反芻してそれを入力してみる方法があります。 私はしばしばそれをやって、日本語の歌詞ならこれでも結構アタリが出るのですが、今回は英語で歌われていたのでそれもはかどらない。 しかも上記のフレーズは I’ve と been の間の always が抜けているのでアタリは出ません。 それで窮してしまい、しばらくこの曲の正体を探ることから離れていました。 それからある程度時間が経ち、なにげなくもう一度調べようと思い、そして最近この動画に辿り着くことができたのです。 🎵🎵🎵🎵 私は1日1回はYoutubeを開くので、そのたびにおすすめ動画が流れてきます。 そこで知り、好きになる曲も多いのですが、そこでおすすめされる曲は視聴履歴や傾向に基づいた偏りが出ます。 さらに、あくまでYoutubeのおすすめであって、偶然的に出会えた曲にもなかなかつながりません。 以前、「曲も本も、“たまたま”出会いたい。」という記事を書きました。 どんな曲や本であっても、自分が“たまたま”居合わせた結果知ってしまったコンテンツというのは、おすすめされて入ったものよりもずっと印象深い記憶として自分に結ばれる、みたいな話です。 なので、今回のようにたまたま出会った曲を好いなと思ってしまったとき、それをもっと具体的に知りたくなってしまうんですよね。 ……少し長くなってしまいました。 私がこの「Home」をはじめて聴いたのは、2年前くらいだったと思います。 では、この曲をどのようにして名前も歌手も知らない状況で知りえたのか。 そしてそれをどのように探し、今回の動画まで辿り着いたのか。 それを次回お話しします。 あと、冒頭の“コロラド”という部分も、次回あわせて語ります。 ヒントがあるとしたら、 「きっかけってイロイロだな」 「インターネットってすごいなァ」 「行動してみるもんだなァ」 といった感じです。 ともあれ。 にちようびの朝に、アコギと透き通った歌声に聴き入る。 瞬く間に秋が過ぎゆく中で、カントリーの気風を感じつつ。 それではみなさま、よい一日を。

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カノンコードに惚れたのがいつか、今となっては思い出せない。

🎵 パッヘルベルのカノンを、最初に聴いたのはいつだろう。 この問いに答えることは、私にはとてもむずかしい。  🎵🎵 ということで、今回は「パッヘルベルのカノン」を聴いて過ごす朝。 毎週日曜『にちようびの音。』でございます。 最初に聴いたの、いつだったかなァ。 もはや思い出せないのですが、なぜかずっと昔から知っていた気がするんですよね。 物心つく頃には聴いた覚えがあるような。 それこそ、日曜日の朝にテレビで流れていたクラシック音楽番組とか、そういうところで意図せず聴いていたのかもしれません。 ただ、きっかけがなんであろうと、カノンコードの曲を聴くと「あァ、なんだかいい感じだな」と思ってしまいます。 そのくらい、自分の耳や心に馴染むリズムです。 🎵🎵🎵 長年、私はこの曲を「パッヘルベルのカノン」だと思っていて、それは間違ってもいないのですが、正式名称は別にあり、「3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調」と言うそうな。 ちなみに、パッヘルベルのカノンにおける「快い和音」→「不安さをかもす和音」→「解消する音階」を繰り返して前進するコード進行は「カノンコード」と呼ばれ、その技術は現代の作曲にも活きています。 私は音楽の専門家ではないので、これ以上は語れませんが、この明るい繰り返しがなんとも気持ちよくて、幼い頃の自分にも響いたのでしょうね。 そんな「パッヘルベルのカノン」ですが、有名になったのは1970年代に入ってからだそうです。作曲者のヨハン・パッヘルベルが活躍した時期が17世紀半ばから18世紀初頭であることを思えば、実に200年以上経って日の目を見た曲ということになります。 今となっては根付いたものも、遡れば芽吹きは意外と近くにあることもあって、なんとも時間と世相のふしぎを感じますね。 それでは皆さま、よい一日を。

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朝晴れを報せる曲。

「ジブリ、実は見たことないんですよねぇ」 と、たまたま飲み会の席で一緒になった、入社三年目くらいの男子の言。 最近は珍しくないようです。 とりあえず、まず『トトロ』みよっか。 から、始めてもいいと思うんですけどね。 みなさん、おはようございます。 毎週日曜日の朝、『にちようびの音。』です。 つい最近、何十回目かの『トトロ』を見ました。 情感たっぷりの田園。 雨、風、お弁当の質感。 家族の慌ただしい引っ越しと新生活風景。 山を飛び越え、野を猫バスで駆ける爽快さ。 絵(画)と音の力を感じますね~。 トトロ大好きです。 が、今日の私は、ここで『もののけ姫』を推します。 『もののけ姫』は、ご存知の方も多いと思いますが、室町時代の日本を舞台に荒ぶる神々と人間との争いを描いた、大作アニメーション映画です。 冒頭のタタリ神との衝突にはじまり、西へと旅するアシタカの軌跡。 そこからアシタカは西の地で様々な物を見聞きし、サンという山犬の少女と出会い、硝煙弾雨を駆け抜けてひとつの境地に辿り着きます。 ふりかえると、序盤の濃密な構成に驚きますね。 タタリ神から呪いを受け、村を追放され西へと旅立つまでが、ものすごくコンパクトにまとまっています。 さらに、私が今日推したいのが、この曲。 久石譲さんの『アシタカとサン』。 今回も劇伴です。 久石譲さんはたくさんの曲を手掛けられている巨匠ですが、私はこの『アシタカとサン』と、『summer』が特に好きですね。 『アシタカとサン』は、視聴された方ならピンとくると思いますが、ラストに流れる曲です。 夜明けとともに、騒乱の終わりを告げる曲。 それが日の出と共に、ゆっくりと流れだします。 あたりは急に静やかになって、周囲の草原がさわさわと風になびく音も聞こえてくるような、穏やかな雰囲気が陽光とともに場にたまりはじめるのです。 そんな中、最後に言葉を交わすアシタカとサンの姿が、あたたかくて、ちょっぴり切なくて、とても印象的なシーンでした。 おかげで、私の中では「朝晴れを報せる曲」のような印象になった『アシタカとサン』。 とても好きな曲です。 まさに、日曜日の朝にうってつけ。 それではみなさん、よい一日を。 追伸 『金曜ロードショー』で昔、映写機を回していた「フライデーおじさん」。 あのひともジブリ生まれなんだけど、まァそれは別の話になるかな。

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日曜の朝は『野辺の花』を聴く。

拝啓 盛夏の候、日中は厳しい暑さがつづいておりますが、いかがお過ごしですか。 ななくさつゆりです。 時候の挨拶って、もうすっかり使われませんね。 ビジネスシーンの文書ファイルで見かけるくらいでしょうか。 前回の『未明』の時といい、ショートエッセイにかこつけて手紙風に書くのもいいなと、洒落で時候の挨拶を入れています。 「手紙」という文化自体が消滅しそうな昨今、こうでもしないと使い方を忘れてしまいそうです。 ところで今日も聴いていますか。 私は今日も聴いています。 今日ご紹介する曲は、私にとって日曜の朝の定番。 X(旧twitter)ではたまにポストしていたので、こちらにも。 千住明氏、『野辺の花』です。 きれいな曲です。安らかな気持ちになれます。 それでいて、2:21からのワッとくる感じ(音の魅力を伝える語彙が乏しすぎる今後の課題……)がとても好きです。 上記は、サウンドトラック「機動戦士Vガンダム SCORE.1」に収録されています。 いわゆる、「劇伴」です。 2:21からの節をゆっくりした感じにすると、当時毎週流れていた次回予告の曲になるんですよね(おそらく)。 ガンダム界隈では、「『見てください!』の曲」といえば一発で通じます。 私は、たいてい日曜日の朝に『野辺の花』を聴いています。 晴れていれば聴いてる率100%。 晴れた日曜の朝の雰囲気にピッタリとハマるんですよね。 ちなみに、「劇伴」ってフレーズ、どこかで聴いたことあります? アニメや映画、ドラマなどに使われる音楽のことです。 登場人物の心情を表現したり、物語の時代背景や場所を音楽で表現したりするのに使用されます。 劇伴自体は知らなくても、今日もどこかで聴いているかと思います。 絵や動きや効果が、ストーリーや音楽と融合することによって映像が出来上がるんですねぇ。 そして私は、この劇伴がいっぱい収録されたサウンドトラック収集が趣味のひとつなワケです。 ゲーム音楽とかもそうですね。 そのお話もいずれしたいと思います。 まずは今日、『野辺の花』を聴きましょう。 それでは今日も、よい一日を。 ……それにしても、ジャケットのVガンダムのイラスト。とてつもなく美麗だな。 かなり好きです。                                                      敬具 ところで、時候の挨拶のこと。 これって、手紙が消滅してもなお残るような習慣なのかな? 私は、日本語らしい型にはまりきらないユルい書き出し、好きですけどね。