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掌編小説マガジン 『at』

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掌編小説マガジン at(あっと)。 これまで、ななくさつゆりがwebに投稿した掌編小説を紹介していきます。 とりあえず、100本!
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#新生活をたのしく

情景245.「二度寝の朝」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「二度寝の朝」です。 みなさん、二度寝は好きですか。 わたしは大好きです。 というより、二度寝は私のルーチンワークです。 六月に入り、網戸越しの風を楽しめる季節になりました。 特に、朝がいいですね。晴れていればなお良い。もしくは、夕方か夜。昼下がりもイイ感じです。 つまり、網戸越しの風とは気持ちがいいものという個人的な感想でした。 窓を開けて、網戸はそのまま。 おひさまと風と音だけを室内へ通すようにして、そ

情景34.「紙障子の向こう」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「紙障子の向こう」です。 座卓でペン一本。 ざぶとんにあぐらして原稿に向かう。 そこに照りを添えてみたかった情景。 ところで、紙とペン、さいきん使ってます? 小説やエッセイは、紙とペンさえあればできる創作活動ですが、最近はなんでもパソコンとスマホで済んでしまうので、むしろ紙とペンを使う機会が減っているのかもしれませんね。 私の場合、アイデアを書き出したりする際にペンを走らせますが、それも最近はパソコン上で

情景109.「二個のマグカップ」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「二個のマグカップ」です。 コップとか、パソコンとか。 そういう無機物を指して「この子」と呼ぶ。 そんなクセが、私にはある。 なんででしょうね。 いつからかはもうわかりませんし、なぜなのか、きっかけはなんだったのかももう思いだせません。 ただ、すごく馴染むんですよね。 “この子”呼び。 なんなら、“このコ”くらいのカジュアルなニュアンスで呼んでいます。 なんだか、所持物というよりも、仲間のひとつみたいな。

情景287.「朝、黙想」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「朝、黙想」です。 和室にて、朝の情景。 現代から少し時代観を遡った風。 “堅めの文章”に感じるかも。 ところで、黙想ってしたことあります? 剣道をしていたとき、始めと終わりに先生が「黙想(実際には“もぉくそぉーう”って感じの響き)」と声をかけて門下生が1分間の黙想をする……というルーティンがありました。 いまはメンタルケアやマインドフルネスの考え方が浸透してきて、そのアクティビティも活発ですから、以前よ

情景233.「道ひとつ挟んだ向こう」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「道ひとつ挟んだ向こう」です。 はじめて通る道が好き。 晴れた土曜日の裏通りとか。 いつからだったかな。 学校の帰り道とか、駅から家に帰るまでとか。 通ったことのない道を通ってみたくなっちゃうんですよね。 そういう感覚、ないですか。あると思う。ありますよね……? 通るときはたいてい人通りもなく、日が通っていて風だけが吹いているような、そんな穏やかな通りになっている場合が多かったような。 歩いて通り抜けたり、

情景60.「狐の瞳」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「狐の瞳」です。 光のゆらぎ。 水のゆらめき。 火のぐあい。 目を瞠る瞬間というものに気づく。これが思いの外きもちいい。 これを偶然という言葉で片付けていいものか、というのは一旦置いておくとして。 天気だったり、時間帯だったり、場の温度や湿度だったり、その場にたまたまいた自分だったり。 そんないくつかの要素がたまたま重なることで作用する一瞬の出来事。 もしくはそこで起きたことの気づき。 そういうものに気づ

情景284.「湯けむりと夕の陽」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「湯けむりと夕の陽」です。 夕方に入るお風呂っていいよね、といった感じの小さなお話。 外はまだ明るいけど場は穏やかで、ゆっくりできてなんともゼータク。 それが明るいうちに入るお風呂のひととき。 まァそれはそれとして、みたいな情景。 湯気がたちのぼってムワッとした浴室にするりと吹き入ってくる夕方の風とか、私は超好きですけどね。 では、夕暮れ時のお風呂の気ままな感じをお楽しみください。 ※※『あなたが見た