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掌編小説マガジン 『at』

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掌編小説マガジン at(あっと)。 これまで、ななくさつゆりがwebに投稿した掌編小説を紹介していきます。 とりあえず、100本! ※2024.6.18 いったん目標の記事10…
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2023年10月の記事一覧

情景100.「晴れていく」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「晴れていく」です。 湖のほとりでの落ち着いたひとときのこと。 晴れていく景色の“さき”は、自分に何を見せてくれる? けぶる。 好きなフレーズです。 はっきりとは見えず、想像を膨らませながら視る。 おぼろげに何かがいるという存在感を、湿度の先に感じ取るような。 長谷川等伯の『松林図屏風』、ありますよね。 私、あれを眺めるのがすごく好きなんです。 等伯の松林図が安土桃山展の特別展示として九州国立博物館にき

情景140.「廃線跡を通る」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「廃線跡を通る」です。 電車も線路も登場しない、鉄道の情景。 母の実家の近くにこういう場所があって、私はしばしば訪れています。 廃線跡って不思議な場所ですよね。 線路が取っ払われてしまったら、均されるまでただ真っすぐ、畦道のようなラインが伸びるだけの場所があり続けるのです。 なんだか、そこに立つとどこまで行けるか歩いてみたくなります。 まァ、危ないのでやりませんが。 使われなくなって何年も経ったような、誰