ニッポンジンはナゼ紅茶を飲むのカナ?
紅茶は、私にとって感覚を磨ぎ澄ます特別な時間を与えてくれる飲み物。
と同時に日々に寄り添い、いい一日のスタートや締めくくりに伴走してくれる飲み物だ。
皆さんにとって、紅茶を飲むとどんな気持ちになるだろうか。または、どんな効果を期待しているだろうか?
日本では、「紅茶」は嗜好品という位置付けで、あくまで「楽しむ」に重きを置いている印象が強い。
洋菓子と合わせる脇役の飲み物として、何となくコーヒーか紅茶かで選んだり。
最近のカフェではお茶の選択肢はうんと増えたので、必ずしも紅茶ではなく色んなお茶を飲むようにはなってきている人も多いかも。
とは言え、やはりとりあえず「コーヒーか紅茶」を選ぶシーンは一般的にはまだ多いように思う。
さて、そんな日本の紅茶の立ち位置だけれど、実はお茶を作る産地や国によって紅茶の在り方は違うようだ。
私は、セイロンティーに惹かれるようになって、ほぼ毎日スリランカの紅茶を飲み、スリランカが好きになってしまい、スリランカへ訪れたりもしてきたのだけれど、どこに居ても礼儀正しくて素直でチャーミングなスリランカ人が大好きで、会うとつい話しかけたくなってしまう。
そして私が「セイロンティーが好きすぎて紹介する活動をしているんだよ」と言うと、大抵彼らは嬉しそうにするのだけど、ある日「どうして日本人は紅茶を飲むのかな?」と聞いてきた青年がいた。
いつも通り、私は紅茶の香りや味わい、紅茶を淹れる行為そのもののセラピー効果について答えたのだけども、何となく彼の反応が??な感じだったのだ。
そして、彼に聞いて驚いたのは、「スリランカ人は紅茶を飲む理由が違うんだよ」という話だった。
スリランカ人は、「紅茶を飲む大きな理由は健康効果のため」なのだそうだ。
ほほ~ん。
これは、アフリカやインドネシアの人からも聞いたことがある話だ。
近年になって、日本でもポリフェノールの作用や紅茶のインフルエンザ予防などお茶自体の健康効果も有名にはなってきている。
けれど、健康を意識して飲むお茶として「ハーブティー」や「三年番茶」はイメージしても「紅茶」をイメージする日本人は普段あまりいないのではないだろうか。
実際、昨年スリランカ紅茶局で購入した冊子にも、大体的に「紅茶の健康効果」についての研究結果などが細かく書かれていた。
「紅茶は身体に良いから飲む」という発想が生産国であるスリランカ現地の人の捉え方なのかもしれない。ただまだリサーチ不足なので、もう少し多数のスリランカ人の人にインタビューしてみなければ。
紅茶産業は、国家にとって重要な輸出産業のひとつでありながら、少なくとも現地の一般の人は、「7大産地の味の違いが・・・香りの効果が・・・」とかうんちくは言ってきたことがない。
皆まとめて「セイロンティー」なのだろう。
実際に、本国のスリランカでローカルの人が飲んでいる紅茶は、輸出向けの高級ラインではない場合が多いし、そもそも「キリテー」と呼ばれるスリランカ式ミルクティーには細かい粉のような茶葉が使われ、飲み方も違う。
(パンデミック以降の今は、スリランカの一部を除いてほぼ輸出に頼っているミルクの価格が高騰して、ストレートティーで飲んでいる家庭も多いと聞いた。実際私がお世話になった村の方も、朝もストレートティーにお砂糖を入れた「プレーンティー」を淹れてくれた。)
スリランカの現地の人たちにとって、セイロンティーは日常の中に溶け込んでいる大切なお茶ではあるけれど、味わいを楽しむために飲んでいるのはある一定の富裕層の人や世界のマーケットを知り尽くしている紅茶業界の一部の人だけなのかもしれない。
では、スリランカでは一般的に紅茶のどんな健康効果が推しになっているのか?
それはまた次回に。
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