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「自然栽培でお茶を作る」仙霊茶②茶刈りは意外と・・・?

ご縁を勝手に感じて直談判して、茶摘みシーズンに茶農家さんへお手伝いに行った話。
お茶の収穫前に行った作業について、書いた前回の記事はこちら⇒

さて、今回はいよいよお茶摘みだ。

お茶刈り

とその前にまず、言葉が新鮮だったので、一応前置きで説明しておくと。
今回訪れたお茶農家さんは、紅茶やほうじ茶、青茶なども作っているけれど現段階では緑茶を主流に商品まで一貫して作られている。
つまり日本全国の一般的な大多数の茶農家さんが行うように、主に茶刈り機を使用してお茶を収穫している。

そのためか「お茶摘み」と「お茶刈り」という呼び方を使い分けていた。
紅茶の産地スリランカのお茶摘みの光景に見慣れている私にとって、「お茶摘み」ではなく、「お茶刈り」という呼び方が初め聞き慣れなかった。

手で摘み取るから「茶摘み」。
機械で刈り取るから「茶刈り」。
確かにそうだ。

実際どんな風に茶刈りは行われるのだろうか。

茶刈り

お茶刈りは、できれば晴れた日に行いたい。(この理由はまた後々に)
前日雨の中草引きをした区画に翌朝再び入り、パトロール。
もう一度他の野生植物が表面に出ていないかを確認してから、いよいよお茶刈作業となる。

私は、「袋持ち」という役目で参加した。
茶刈り機の後ろに茶袋を装着できるようになっていて、その袋が少しずつ重くなっていくのをいい塩梅に支えて後ろから付いていく、という役目。
「コツは、あんまり張り切って持ち上げないこと。お母さんに手を引かれて、とぼとぼ歩く子供のイメージでついてきてください。」
初めは「?!」となったけれど、分かりやすいアドバイス。
持ち上げすぎてしまうと前で茶刈り機を動かしている二人にもダイレクトに茶葉の荷重がかかってしまうので、少し袋を引きずる位がちょうどいいらしい。
このニュアンス、やってみないと分かりづらいのだけれど、とにかく二人の動きを邪魔しないように、と付いていった。
ブロワーで吹き飛ばされながらこちらに向かってくる茶葉の細かい欠片を顔面に受けながら少し目を細めつつ茶葉の様子を見つつ。

まず茶袋を交換しやすいように反対の畝にセット

率直な感想を言えば、手摘みよりも効率的とは言えども、茶刈り機でも十分大変な作業なのだ思った。
袋持ち自体はそこまで荷重はないけれど、それでも日差しが強くなってきた日中に、茶畑を往来していると汗がじんわりと出てきた。
なにより大変なのは、私の前方で茶刈り機を動かしている二人。
そもそも茶刈り機は想像していたけれど想像通りに重い。
畝を挟んで二人で持ち、後ろに茶袋が付けられるタイプのシンプルな歩行型茶刈り機だったけれど、茶刈り機だけでも10キロ位はあったと思う。
茶刈りをしながら、後ろの袋にブロワーで吹き飛ばされた茶葉が少しずつたまっていく。
畝の長さにもよるけれど、畝を前後一周二周したら、茶袋の中は5,6キロにはなっていたのかな。
引きずるのがしんどくなってきたら、無理せずに茶袋を交換する。
一回の重さで言うとあまり重く聞こえないかもしれない。
けれどひたすら勾配のある道を身体を捻りながら、一人は後ろ向きで、もう一人は茶刈り機を持ち上げて支える腕を宙に浮かしたまま不自然な体制で踏ん張りながら歩き往復していく。それを茶袋約10枚分で1クール。
茶刈り機を動かしている二人にとってはかなり体力が必要な作業となると思う。
そして、柔らかい新芽の部分だけを刈り取っていくため、茶刈り機の刃と茶畑の畝の表面に意識を集中して、二人で高さを精妙にコントロールしながら、進んでいく。
なかなかハードな作業だ。

茶刈り機が稼働している間は、モーターの音も大きいし、刃物を扱うので、安全のため、私も写真はさすがに撮れなかった。
なので、今回は写真が少なめ。(せめて道具だけでも写真撮ってくればよかったな~)
けれど、滞在中にも沢山の取材が来ていたので、検索したら新聞やテレビなど様々な媒体でお茶刈りの様子は見れると思う。
参考までに、他の農家さんでもYOUTUBEなどで茶刈りの動画は上がっている。

茶刈りの様子
仙霊茶さんのHPより引用させていただきました
https://senrei-tea.com/

収穫したらいざ製茶工場へ

さて、セットしたこの茶袋すべてに茶葉を集めたら、敷地内のふもとにある製茶工場へと運ぶ。
写真で見るより、意外と勾配がきついため、上からゆっくりと軽トラックをバックさせて、茶袋を持ってスタンバイし、一つ一つ手で持ち上げて荷台に積んでいく。
荷台を茶袋でいっぱいにしたら、早々に坂道を下り、製茶工場へ。
緑茶は、不発酵茶。
生茶葉は摘採したら、茶葉自体から自然に始まる「酸化発酵」(紅茶の場合は萎凋といって敢えてここで萎れさせて香りを出すが)が進まないように、なるべく早く「殺青」と呼ばれる火入れ、蒸しの工程に入ってもらいたいのだ。
なので、摘んだらこまめに即持っていく。

麓の工場へトラックで駆け下りていく

このトラックの後ろに乗って、風に当たり、向こう山の雄大な景色や茶畑を振り仰ぎながら坂を下る時間も清々しかった。

どのくらい刈れたかな?

さて、製茶工場に着いたら、計量する。
生茶葉は、そのままにしておくと自然と酸化発酵が進み、熱を帯びてくる。
すると、自らの酸化酵素で葉が茶色く焼けたようになってしまう。
そうなったら、綺麗な新緑のような煎茶にはなれないので、茶葉が傷まないよう、加湿と送風機能が付いた一時保管コンテナにまず入れる。
製茶工場では、製茶担当の方が待ち受けてくれていて、茶葉出しをアシストしてくれる。
そして、コンテナごと大きな量りの上に乗せて、計量する。

積んだ茶袋を開いて、まずは計量するために一時保管コンテナへ

さて、量ってみると・・・
コンテナ重量150kgを差し引くと、1コンテナ当たり約70kg前後。
1回の回収で、約70kg。
また茶畑に戻って茶刈りして回収してこれを約3クール、合計約200kg以上を目指して行う。
最低人数の3人でこの一連の作業を行うと1クール約1時間かかっていた印象。
新芽の芽吹き具合によって若干重さの前後はあると思う。
これから5月後半は葉の成長も早いので特に一回当たりの収量も増えてきそうだ。
製茶工場のキャパシティーなども考慮して収穫するけれど、逆に足りなかったら追加で収穫する。

長くなったので、また次回に。



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