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笑いと叫びは似ていると思わなくって?

「烏に単は似合わない」をようやく読了した。
https://comic-days.com/episode/10834108156630689648

無料期間があるので、是非読んで欲しい。※書いているうちに終了してしまいました。残念。

終盤であるミスリードのどんでん返しは原作が小説というなら納得。しかし漫画という媒体ではあんまり見ないのでかなり衝撃を受けた。あせびの醜悪さは、前々からネットでさんざん浴びるように見たので今更言うことが無い。ただ、こうした人間は現実にも確実に「居る」、そしてそれはあなたのすぐ近くにいるかも知れないーーーということだけは言わねばならない。

私の推しは圧倒的に黒髪美少女ロリの白珠チャンなのだが、なんといっても可愛い。見た目だけでなく、中身が可愛い。未成熟な精神と体を、無理やり周りの規範や期待に押し込めているのが可愛い。ままならない自分の心に蓋をして、愛する人•一巳の死により壊れていく過程がたまらなく可愛いのだ。

「あたくしの心はあたくしのものではないのですから!」

きらきらした黒い大きな瞳は光無く淀み、虚空を見つめながら高らかに、笑ったまま叫んでいる。高らかに叫ぶ彼女からは、恐ろしさよりも神々しさすら感じる。笑いは叫びに似ている。白珠は壊れてしまった。壊されてしまった。ならば、一体誰に?

恐らくは美しくなければ選ばれない、選ばれなければ幸せになれない、という周りと世界にだろう。

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この構図の美しさ、ゾッとする。家に飾りたい。

白珠を大切に育んだ環境は実質はきらびやかな檻であり、その中で行われていたのは教育や養育でなく、個人の権利をことごとく踏み躙り心を砕く、ただの虐待である。

美しさを金で買い、権力の為に生ませ、自分と同じ苦しみと業を子々孫々に引き継がせる。それが、呪いでないとしたら何と言うのだろう。白珠の義母がすべきだったのは、自分がやられたことをそっくりそのまま娘や孫にさせることではなく、あなたはあなたのままで良いと言うことだった筈だ。

この辺りは姑獲鳥の夏の久遠寺家の女たちを彷彿とさせた。必要だったのは古い因習を断ち切る力であり、愛を持って育むべきだった。しかし、北家の方々が白珠チャンに向けていて期待妄執因習業。それら全ても、また愛だったのだろう。愛に形はない、決まりもない。幸せに定義もない。美しくあれ、聡くあれ、愛され給え、女はかくあるべしと願ったことが、白珠チャンには何一つ幸福では無かっただけだ。

しかし、白珠チャンに言いよる下男こと一巳。あまりに距離が近過ぎるので、乳母や周りからは絶対怪しまれていたと思うんだよね。でも貴族には人扱いされていない庭師だから、そこまで危険視されてなかったのかなぁと思っております。それもまた、悲しいことだ。一巳と白珠、四歳差かぁ。白珠チャン14歳なら、一巳は18歳で成人扱い。歳の差と身長が、完全に犯罪。幼馴染とはいえ現代に置き換えれば美少女中学生にガチ恋する大学生、もしくは社会人は完全にアウトでしょう。だが、そこが良い。この辺りは完全にLO始まったなと思いました。急にLOになってしまい、ドギマギしてしまった。私は歳の差おにロリが好きなのだ。

祖母の代から続く業と、母が果たせなかった責任、わ負わされ、なおかつ個人としての権利を持つことすら許されない。精神的な虐待を受け続けギリギリの白珠チャンを支え続けた・理解ある下男、一巳。悔しいが...良い男だ!貴様になら、白珠チャンを渡そう!最後の最後まで手を出そうとも攫おうとせず、白珠チャンの意思を尊重した...めっちゃ良いやつやん。ボロボロの白珠チャンが「あたくしは一巳と生きたい!」と、自分から手を繋ぐシーンのコマ。泣くのをぐっと堪える横顔。お前ら、幸せになれよ...と泣き伏せてしまう。

一巳という男、美しいものに魂を奪われてしまったんでしょうね。自分の崇拝対象に決して手を出さないのは偉いけど、合間合間から漂う「ま、白珠は割 俺の女だから...」みたいな言動は良くないと思う。白珠チャンまだ14歳だし。外の世界知らんし。他の男知らんし。白珠チャンは、まだ子供なんだからね!とまあ、下男らぶらぶで執着依存もバリバリなのに自分の心に蓋をして自傷続けたのもまた白珠チャン。理性と良心があるからこそ、家に対しての感謝と恩義があるからこそ、狂わずにはいられない。目の前の問題から現実逃避して、狂ってしまえたらどんなに楽だろう。幸せなメリーゴーランドから引き摺り下ろされず、くるくると回り続ける。狂った白珠チャンが切り刻んでるのは、一巳からの文ですかね。部屋一面の千羽鶴の絵面はヤバい。痺れる。胎に子供が居ると言われ、焦る白珠チャンも可愛い。まさか、手を繋いだら出来ると?錯乱していたから、そのあたりはよく分かりませんね。

白珠チャン可愛いよ、白珠チャン...




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