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生成AIにむしろ奪ってほしい 【該非判定】

AIに仕事が奪われると言われますが、むしろ奪ってほしい話です。

該非判定は専門的なイメージと裏腹に、前時代的な事務作業をしている部分があります。
この先10年、20年後も続ける作業ではありません。

生成AIによるブレイクスルーを期待しています。

輸出管理のフレーム

経済産業省に輸出管理内部規定(CP)を届け出ている企業は、下記の外為法等遵守事項に沿った輸出管理を行うことが義務となります。
今回の話、該非判定は「2 取引審査」の中に含まれる仕事です。

1 輸出管理体制
組織の代表者を輸出管理の最高責任者とし、業務分担・責
任範囲を明確にすること。
2 取引審査 (該非判定を含む)
(1)取締役等を取引審査の最終判断権者とし、疑義ある取引
等を未然防止すること。
(2)該非判定の手続を明確化し実施すること。
(3)用途及び需要者等*の確認を行う手続を定め、手続に従い
確認を行うこと。
(4)特定重要貨物等の輸出等について、用途及び需要者(技術
を利用する者も含む)の確認に必要な情報を需要者以外か
ら入手する場合には、当該情報の信頼性を高めるための手続
きを定め、当該手続に従って用途及び需要者の確認を行うこと。
3 出荷管理
(1)出荷時に、取引審査により確認した貨物等と一致してい
るかの確認すること。
(2)通関時の事故発生は輸出管理部門に報告すること。
4 監査
監査の体制・手続を定め、定期的に実施すること。
5 教育(指導及び研修を含む)
輸出等の従事者に指導とともに研修を実施すること。
6 資料管理
(1)すべての輸出関連書類等に事実を正確に記載・記録すること。
(2)輸出関連書類等を輸出又は提供時から7年間保存すること。
(輸出令別表第1及び外為令別表の5項から16項については、5年間保存すること。ただし、特一包括許可の返送に係る輸出等の場合は一律7年間保存すること。)
7 子会社及び関連会社の指導
(1)子会社及び関連会社に対し安全保障貿易管理に関する適
切な指導を行うこと。
(2)輸出者等の特定重要貨物等の輸出等の業務に関わる子会
社に対する指導及び研修並びに当該子会社の業務体制及び
業務内容の確認(指導等)を行う体制及び手続を定め、当該手
続に従って定期的に指導等を行うこと。
8 報告及び再発防止
法令違反した又は法令違反したおそれがあるときは、速やか
に経済産業大臣に報告し、その再発防止のために必要な措置
を講ずること。(関係者に厳正な処分を行うことを含む。)

外為法等遵守事項

生成AIに食い込んでほしい領域

取引審査 (該非判定)

輸出する貨物等が外為法に違反していないか審査する業務です。
貿易に関わった事のある人は、該非判定くらいは聞いた事があると思います。
その該非判定の実態をご存じでしょうか。

エクセル検索作業

外為法は、法律・政令・省令・通達と多重構造となっており、法律では骨格的内容、政令以下で貨物詳細、用語の解釈に至るまで定めています。
その多重構造を経済産業省がマトリクス表(エクセル)でまとめています。

https://www.meti.go.jp/policy/anpo/matrix_intro.html
貨物のマトリクス表

該非判定では、輸出しようとする貨物等が外為法違反ではないか調べます。
その調べ方、なんとCtrl+Fです。
経産省とCISTECもこのやり方を推しています。

https://www.cistec.or.jp/service/webseminar/open/data/houjin/5001_gaihi_nyumon.pdf

(出典:CISTEC 該非判定超入門)

該非判定の大まかな流れは以下になります。

①マトリクス表で検索ワードを入力
②ヒットした項番の項目別対比表又はパラメータシートを準備する
③貨物のスペックを照合し、項目別対比表又はパラメータシートで判定
④該非判定書を発行

 

検索ワードがヒットしなければ、「対象外」と判定します。
但し、安易に「対象外」と判定はできません。

検索ワードは複数回調べる作業になります。
法律の条文がそのままマトリクス表に落とし込まれているからです。

読み替えが必要な例
LED → 発光ダイオード
3Dプリンター → 積層造形を行う装置、積層造形の能力を有する装置

 

このように一般的な用語ではなく、法律的言い回しで規定されています。
例えばCtrl+Fで「3Dプリンター」と検索しても出てきません。
見落として「対象外」と判定して輸出してしまうと、無許可輸出になる可能性があります。

該非判定担当者は法律的な読み替えを探すべく、飽きるほどCtrl+F検索をさせられるのです。

生成AIによる効率化を期待

該非判定

生成AIはデータの学習、収集、検索は得意としているので、マトリクス表検索の代替として使えれば生産性が確実に上がります。

・輸出令及び貨物等省令データの検索
・読み替え部分も含めた1発での検索
・常に最新法改正のデータを学習

更に進化すれば生成AIに輸出貨物のスペックも伝えて、パラメータシートを自動生成してくれる未来もあるのではないでしょうか。

是非、AIに仕事を奪われて半自動化して頂きたいです。

+法改正対応

貿易関係の法改正は多いので、改正のスクリーニングなんかもAIが入れる領域と見ています。

改正が該非判定結果に影響するのかしないのか、改正の度に調べるのは大変な作業です。

単純な情報収集部分はAIに任せて、人間は社内への影響確認やリスク分析にリソースを割けられるのが理想です。

AIに仕事を奪ってもらったら

単純な事務処理能力が高いだけでは、人材価値はなくなります。
そして業務効率化が進めば部署の椅子は確実に減ります。

その中で生き残るにはAIツールを使いこなす能力、情報分析力が求められると考えます。

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前職ブラック企業での精神疾患チキンレースが終わったと思ったら、次は椅子取りゲーム編になりそうです。

椅子取りゲームに負けないようAI仕事術を身に着けていくつもりです。

最後まで読んで頂きありがとうございます。