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綺麗な思い出だけ書いていく

綺麗な思い出の備忘録。
(汚い部分は全省略しています)

彼とは出会いから特別だった。
付き合っている間もずっと、ウチらの出会いは本当に素敵だったね!とよく振り返っていた。

出会いはマッチングアプリだった。
結構恋活要素強目のアプリだったにも関わらず、2人とも恋愛目的ではなかった。
彼は仕事の練習台探し、私はアプリのデザイン考察のため。それがわかった時点で意気投合しとにかく喋りまくった。私は親しくない内に恋愛対象として見られることが本当に苦手でだからこそ、そんなスタンスで出会えた彼と仲良くなれたのだと思う。
初めて会った時から私たちは行き当たりばったりで、話すのが楽しすぎて、話しながら歩いていたら意味のわからない場所まで歩いてきてしまい意味のわからない喫茶店でお茶をした。(一年半後、その思い出の喫茶店を探す旅に出かけるのだが勘だけを頼りにその喫茶店を見つけた時感動したものだ)そんな意味のわからなさがグッと来た。
彼はオムライスを、私はフレンチトーストを食べた。
お互い一癖あるような人間で一般社会からは割とバカにされがちだったが、お互いがお互いの話を尊敬してとても興味深く話をすることができた。
初対面でこんなに話し込めて共感し合える人は初めてで、彼とバイバイした後はディズニー帰りのような充実した疲労感があった。(それを伝えたら、え!そんなに疲れたの!?気を使わせてごめん!ってLINEが来たのをよく覚えてる)
「また会えたら嬉しいな」と初めて手を重ねた新今宮駅の改札が懐かしい。彼は見えなくなるギリギリまで手を振ってくれる人で、私も何度も振り返って手を振った。(普段そんなことしたことなかったけど)
彼は出会ってから最後の日までずっとこうだった。2人でいられる最後の日にも、彼は私が見えなくなるギリギリまで手を振っていた。その姿が目に焼き付いていて思い出すと泣いてしまう。(今、泣いた)

2人とも結構ぶっとび人間だったので、そんな2人が一緒にいるともう爆発的に面白かったし楽しかった。

2回目のデートの待ち合わせに行く途中、彼のことをまだ好きかもわからないのにストリートピアノが流れる通りがやたらキラキラしていて心が躍っていた。顔面がコンプレックスの私に君のこと顔が可愛いとか可愛くないの視点で見てないから!と言われて心が救われたトリキを忘れない。私と出会って彼は会社で一位の成績を叩き出し、あげまんすぎる!と2人で喜び合った。
ドライブデートではあまりに楽しすぎて気づけば県をふたつも跨いでいた。彼となら行き当たりばったりでも底抜けに楽しかった。見えるもの全てについて、これはどう思うか意見を交換し合い、お互いの意見の違いを楽しみ、同じ意見があると喜んだ。お互いのこと脳みそを交換したくなるくらいに知りたくて知りたくてしょうがなかった。話している中で、共通の友人がいることが発覚し、しかも2人が以前一度すれ違っていたことが分かりやっぱりウチらは運命だと確信した。

私たちはいつから付き合ったかは明確にわからない。気づいたら、ずっと一緒にいたいと思っていて気づいたらもっと触れ合っていたいと思うようになっていた。彼は割と女慣れしていた方なのに、「すごく抱きしめたくてしょうがないんだけど、そんなことしていいかわからない…緊張する…どうしよう」とか言っていて可愛くて仕方がなかった。ちなみにその時私も抱きしめたくてしょうがなかった。初めて手を繋いだときも「○○ちゃんが尊すぎて本当に生きてるか確認したいから手を繋いでいいかな」となんだかよくわからん発言をしていたがそれさえ可愛かった。(彼はきっと本気で言っていたので)
(最近、不同意性行等罪が施行されて「いちいち同意を取るなんてムードがない!」と騒いでる人がいるが、元カレのこのいちいち確認するとこ最高にときめくのでぜってぇみんなやったほうがいい)

私は、音楽とデザインの2つの趣味がありどちらも割とディープに学んでいるのだが、彼とはどちらの分野とも深く話すことができた。「知識ありきの笑い」を同じベクトルで楽しめるのは本当にレアだったので彼との時間は特別だった。
友人の祝いに花を贈る時、彼が花を作り、私が祝い札を作り2人で最高にかっこいいものを作り上げた。
風呂で2人で歌っていると、どちらからともなくアドリブを重ねてきてセッションが始まり、同じタイミングでブレイクした時は超盛り上がった。(延々とイパネマの娘を歌っていたな…あと架空のボサノバっぽい歌とか…)
この曲のここの部分って、この曲のサンプリングだよね!って曲を高解像度で分析してお互いの発見を語り合って楽しかった。
いつも行くカフェの注文タブレットのUIがクソすぎて、2人でクソUIやなと批判した。
美術館ではお互いの考察が食い違って熾烈なバトルを喰い広げたなぁ…。
彼といると世界の解像度が上がって、なんでも楽しくなった。

私はクリエイティブな人が好きである。ここで言うクリエイティブとは、発想力のある人のことで、お金や遊ぶところがなくたって楽しめる力のことだったりする。彼はそう言う意味ですごくクリエイティブで、私もクリエイティブな人間を自負しているので、ただ2人で歩いているだけでもたくさんの楽しいことを思いつくことができた。
目についた看板を超早口で言ってどこの看板を読み上げたか当ててねゲームとか、目についた店のCMソングを勝手に自作して披露するとか、道端の鳩をいかに最小限のパワーで蹴散らせるかとか。どっかの国の国歌を想像で歌うゲームとか。だから、彼とは歩いているだけで楽しくて、本当によく歩いた。一番歩いたのは泉大津からりんくうのアウトレットまで。20kmくらい。流石に疲れたけど彼となら5時間歩き続けても楽しかった。
野田から難波までもよく歩いていたし、山を越えて歩いて有馬温泉まで行ったりもした。
もう本当に全ての些細なことが楽しくて、彼とならなんだってできたからこの先もなんだってできると信じて疑わなかった。
できることならこの先もずっと一緒に歩いていたかったな。2人で一生一緒に歩けますようにと彼が買ってくれた靴はただの叶わぬ願いになってしまった。

彼は別れる間際、「あなたとの時間は本当に夢の中にいるみたいだった」と言った。私も本当にそう思う。
2人とも同じ気持ちで夢のような時間を過ごせたことはなんたる幸せだろうか。夢のように楽しかった。でも、夢だったのだ。もう夢から覚めてしまったのだ。夢だったけど確かにそこいた大好きだった彼の名残を必死で掴もうとしているが、彼の名残はどんどん小さくなってしまう。
でも絶対に忘れない。おばあちゃんになっても彼との思い出はずっと宝物だと思う。もし、生まれ変わってまた別れることが分かっていたとしても私は絶対にまた彼と付き合うことを選ぶ。
いろんな人が早く忘れて次行きな!と言うけれど、私はずっと覚えておきたい。2人で一緒に歩んでいくことは出来なかったけど、これからずっと私の心の中で大好きだった彼が生きていてほしいと思っている。

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