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さよなら、まるくん

まるくんはわたしと付き合ってしばらくして、転職をした。わたしが大好きな街への再就職であった。
今まで働いていた某有名レストランを辞め、彼は割と新しくできたレストランで腕を振るっている。

そんな彼が再就職してしばらく経った頃。様子がおかしいことに気がついた。お互いに繁忙期ということもあり、デートは2ヶ月ほどしていなかった。
デートのお誘いもないし、毎日なんとなくしていた連絡も、おはようのスタンプで終わり、みたいなそんな感じになっていた。
ただの倦怠期かな、でもそれにしてはそっけないな。そんな感覚であった。

そして、女の勘というのは大体当たる。
新しい職場にいた、可愛らしい女の子と新しい関係が出来ていた。良くも悪くも嘘が下手な彼らしくて、笑ってしまった。

たまに連絡が続くな、と思ってもそれは義務感が漂っていたし、女の影がちらついていた。
なに匂わせてんねん!と思いつつ、わたしはそれをあえて無視していた。それを確信に変えるほどには暇ではなかった。

そして、2ヶ月ぶりのデートは別れ話から始まった。
いろいろな意味で腹を括ってきたはずの彼だったが、相変わらず集合時間に起きて、遅刻してきた。
彼らしくて笑ってしまったし、女の匂いを漂わせてくる感じも含めて、女も女やな〜と上から目線で思っていた。

そして、忘れられない話し合いが幕を開いた。

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