見出し画像

哲学したい!

以前、友人とのおしゃべりで、話したいことが話せないということはどういうことなんだろうという気持ちを書いた。

また、「話していること」だけが「わたし」ではないと感じ「言葉で伝えなければ伝わらないこともあるけれど、言葉として表現されたことだけがあなたの言いたいことすべてではないよね」を書いたが
やはりこれも「話したいことが話せない」ということに通ずる内容だったかなと思う。

しかしどちらも、自分の着地点があまりハッキリしなかった気がしてモヤモヤしていた。

結局何がいいたかったのか。

今朝、新聞でこの記事を見つけたとき

日経新聞3月12日号

わたしはどうして友達に
「哲学」という言葉が言えないのかということを改めて考えた。


先日久しぶりに会う友人4人とご飯を食べた時のこと。
「今ね進撃の巨人にハマってるの!」とAちゃんが珍しく興奮ぎみだ。

わたしはこの漫画が11巻くらいまで出ていた時に、友人Hさんが「この漫画すごいの!」と11巻まで貸してくれたことがきっかけで知った。しかしその後読み続けることなくそれきり。

Aちゃんは「34巻まであってね、もうすごい大好き!アニメからみたんだけど。今日専用の本棚が届くんだあ!」とウキウキしている。

Bちゃんが「(今頃ブーム?)おそ!」とからかいぎみに笑ったが、Bちゃんも34巻まで全部読んだとのこと。
あの漫画は確かに人気があり受賞のニュースなども記憶に新しい。
衝撃的な内容で多くの人を驚かせ話題になった。

「わたしも全部読んでみたいなあ」と言いながら、ネタばれでもいいから是非どんなところがすごく好きなのか知りたい、教えてと話す。でも登場人物の○○が一番大好きとか、すべてが深いよねの連発だけで感想は聞けずじまい。
帰り道になんでかなあと考えてしまった。

Aちゃんは、Bちゃんに「おそ!」といわれたことで、しりごみしてしまったんだろうか。ネタバレしそうだからわたしに気を使ってくれたのかもしれない。ちゃんと読んでないわたしに話してもしょうがないと思われたのかなあ。
いや、そういうんでもなかったなあ・・・。

以前わたしがとても話したかった話をAちゃんにさえぎられたことがあったことを思い出す。
それは教育とかお金とかの話で、わたしが興に入っていたさなかにパッと話を変えられたのですごくよく覚えているのだ。ちょっとショックで。あ、いやな思いをさせてしまったんだという反省と、偉そうに語ってたかなという恥ずかしさと、自分をとがめられたかのような傷ついた気持ちを感じて戸惑った。

酒の席で政治と宗教の話はするな

こんな言葉を聞いたことがあるが、これはいわゆる「思想」的な話は、危ないってことなのだろうか。
たしかに飲んだ勢いもあってケンカになりそうな話題ではある。仲良しの人とも関係がこじれる恐れがある話題かもしれない。
でも、「思想」こそが危険なものになり得るのではないかと考えたら、まさにこういうところこそオープンに意見を交換できたらいいのにとも思えてくる。


先程ご紹介した新聞記事の中では、あるカフェで開催されている「哲学カフェ」について紹介されていた。
進行役の方の「話すこと以上に聞くことに意識を集中し、意見の違いを楽しんでほしい」という言葉からはじまり、それから皆で議題を決めていくのだという。そして心がけている点は哲学を勉強しているような人が知識を披露しながら議論をリードしようとすることに待ったをかけたり、議論が滞っていた時に積極的に発言してくださいと皆をあおったりしないことというようなことを読んで、すごく納得するような気持ちがした。

この日のテーマは「本当に好きなものは何か」

もう聞いただけでわーっと考えが頭に浮かんでくる。
子供の頃から好きで今も好きなものとは。それが人生の中で自分にどう関わってきたか。好きとは反対の嫌いなものは?大好きとちょっと好きの違い。大好きな友人だからこそ憎むような気持ち。好きな人の死。どうしてそれを好きなのか。好きから広がる世界。好きと共感。好きと教育。

こんな話を、それこそ好きな人としてみたい。


でもこれは、自分を知ってほしい。
自分をもっと、知りたい。ということなんだろうかと
ふと思う。

これはエゴなのだろうか。
ああ。だから、いままでわたしは友人に「哲学」という言葉を言えなかったのだろうか、と。

「哲学したい!」は
「わたしの哲学をきいて!」になってしまうんだろうか。


いや、でも「生きている」ことじたいが
もう自分だけの世界ではなく、
「あなた」を知って「自分」を知るのだ。

生きている喜びと不安がどこにあるのか、
生きていくための「たからもの」を
「あなた」とみつけたいのだ。


「思考」とは魂と魂の会話である(プラトン)


「答え」はなくてもいい。
「たからもの」は「答え」でなくてもいいのだ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?