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コントレイルのラストフライト

世間はソダシのダート初挑戦で持ちっきりだが先週のことを書こうと思う。本当に筆が遅いな!私!

さて先週何があったかというとジャパンカップ、そして三冠馬コントレイルの引退式だ。まずはコントレイルがどんな馬か軽く書いていこうと思う。

コントレイルは2020年のクラシック三冠馬だ。同年は新型コロナウイルス感染症の流行が始まった年であり、皐月賞からダービーの頃なんて特に緊張感のあった時期だったと思う。
またウマ娘から競馬に興味を持った人が初めてリアルタイムで観ることの出来た三冠馬でもある、何を隠そう私もウマ娘アプリリリース後から興味を持ったクチである。
コントレイルの前の三冠馬は震災の年のオルフェーヴル、期間は9年と遠いのだか近いのだか微妙な期間である。だが上記の事情もありリアルタイムで走るのを見たのは初めてという人も少なからず居るだろう。
私は年齢的にディープインパクトとオルフェーヴルは見ていてもおかしくはないのだが、ディープインパクトが大ブームになっていたことは今でも覚えているが、同じ馬ばっか勝ってもつまんねーじゃんと典型的な逆張りを発動して興味を持たなかった。
オルフェーヴルは当時テレビ不審の感情が強い典型的なネトウヨ丸出しだった私は知るきっかけすらなかった。
そしてウマ娘についても出遅れ気味で触れることとなった私はコントレイルを知ったのは大阪杯の後であり、天皇賞秋も用事でリアタイ出来なかったので本当の意味で観戦出来たのはジャパンカップだけである。

さてそんなコントレイルを知った時、彼はこう呼ばれていた「最弱の三冠馬」と。三冠馬という世代の頂点というだけで立派なのに、複勝圏内を外さない時点で優秀なのに、彼は非難の対象となった。
アーモンドアイという絶対王者に挑んでの2着、苦手な重馬場を必死の走りで3着…十分すごいじゃないか。そしてデビューすら危うかった体の弱さを無視して「負けるのが怖いからレース数を絞ってるんだ」と陣営を非難、お前たちはコントレイルやそれに関わる人々のなにを知ってるんだと。
ああ正に安全圏で斜に構えるくそったれみたいなオタクが幅を利かせるインターネット、私の幸運はこういう連中の言うことを鵜吞みにしてコントレイルって馬は弱いんだな~とか思わなかったことだと思う。

コントレイルに勝ってほしい、くそみたいな連中にぎゃふんと言わせてほしい、そんな気持ちで迎えた天皇賞秋。今年の皐月賞馬エフフォーリアとマイルの女王グランアレグリア、そしてコントレイルの3強の人気が集中。そんな中でもコントレイルは1番人気。
レース前に雨が降ってやめてくれー!と成るも馬場は良馬場の範疇、しかし結果はエフフォーリアの2着。言い訳などできない、4歳馬最強のコントレイルは3歳馬の強者の一角に敗れたのだ。ただただ悔しくて飲み屋で嘆いたものだ。

そしてついに迎えたジャパンカップ、レース後に引退式を執り行うのも予告されてのラストフライトだ。
コントレイルを含めて4頭のダービー馬、今年のオークス馬ユーバーレーベンと5頭も東京2400m左周りの勝ち馬が居て、海外からも本気で勝ちを狙う強豪も参戦、あと名脇役の愛され菊花賞馬キセキとどう考えてもこんなの盛り上がるじゃんという内容である。
そしてその中でも注目されたのが今年のダービー馬シャフリヤール、先のエフフォーリアをダービーで下した3歳世代の強者の一角。コントレイルとシャフリヤールの2強対決、どちらが勝つかそんな見方が強かったと思う。

逃げを打つと予想されたキセキが出遅れて最後方からのスタート、巻き返すべく第三コーナーでロングスパート仕掛け先頭へ、というキセキが前半の見どころみたいなレース展開。
そして最後の直線、発進するコントレイル、まさに突き抜けるような末脚。1頭また1頭と抜き去り翔ける姿を見て「行けええええ!」と叫びながら私はテレビの前で泣いていた。最初はある種の判官贔屓から勝ってほしいと思っていた、でもいつの間にかコントレイルを好きになっていた自分が居た。勝った瞬間本当に嬉しかった。
そして鞍上の福永騎手が涙を流す。喜びか安堵か或いは両方か、それは本人にしかわからないが、とにかく私も一緒に泣いた。あと福永騎手が泣くイメージってあまりないので珍しいと思った。
泣きながらスタンドに向かって頭を下げる福永騎手、そして一緒に頭を下げるコントレイルも印象的だった。

そして引退式、有終の美を飾ったコントレイル。そのこれまでの軌跡をレースのダイジェスト動画と陣営の人々の言葉で振り返るものであった。
その中でも特に印象に残ったのが福永騎手の発言だ。
「この馬は誰が管理しても三冠馬になった馬ではないと思うんです。牧場、厩舎、そしてジョッキーが三位一体となって作り上げることができた三冠馬だと思いますし、そしてそれに応えたコントレイルというのも非凡な能力を持っている馬だと思います」
色んな馬を見てきた福永騎手だからこその重みのある発言だと思う。シルバーステートに対しての悔いもあるだろうし。
体の弱さを抱え続け、一歩でも間違えていたら幻の三冠馬になってしまっていた、そんな馬だったんじゃないかと思う。

(どうでもいいけど引退式のライブ、Youtubeで観てる人コメントしてってね的なこと言われたけどコメント不可なのよねコレ)

本当は彼の走りをもっと見たかった、本当の適正距離は短い距離にあると思うしそこでダノンザキッドやシュネルマイスター、そしてまた好敵手サリオスと戦って欲しかった。ただそうは成らなかった、寂しく悲しい気持ちもあるが仕方がないんだ。
種牡馬としてのコントレイルに幸あれ。父のように強く、父よりも頑丈な子供たちがターフに返ってくることを心から願っている。

シンザンから19年、三冠馬がもはやおとぎ話と化した1983年。そんな時代にジンクスもタブーも破る走りで三冠を勝ち取ったミスターシービーは当時の大スターとなった。
そんな話も私からすればおとぎ話であり、そんなおとぎ話もその裏付けも知ることが出来るのが今の情報化社会というものだ。
19年後コントレイルがどう評価されるかは誰にもわからない、19年後の私がコントレイルのことを覚えてるかなんてわからない。でもコントレイルのラストフライトを目撃することが出来て本当によかった。

因みに馬券は3着にマカヒキやユーバーレーベン辺り来ないかな~とか言いながらワイド勝ったせいで外しました。こういう時は大人しく単勝買っとけ莫迦!

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