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恋愛に承認は要らない

なんとか無事に週末を乗り切ることができた…。こんばんは、日曜日の更新です。

今日は質問に答えるぞ。

初めまして。私は21歳の女です。

私には恋愛感情が分からなくて、このまま恋愛的な好きを知らずに生きていくのかと寂しくなる時があります。

漫画やドラマで描かれる夢みたいな恋は中学生になれば、高校生になれば、と思っているうちに大学生活も3年が過ぎてしまいました。

大学に入って男女の壁が無くなると生きやすくなりました。誰と仲良くしてもいいし誰とも仲良くしなくても許される。もう一緒にトイレに行かなくてもいい、体育で2人組を組まされることに怯えなくてもいいんだと思うと気が楽です。

ですが対人関係が自由になると、私の個人に対する特別な感情は行き場を失ってしまいました恋愛関係でなくても2人でいられるのであれば、わざわざ付き合いたいってどういう感情なのだろうと分からなくなりました

男女問わず集まると自然と恋愛の話になり私はみんなのように平然と3年付き合った架空の元彼の話をします。本当は特に恋愛したいとも思わないのに高校卒業以降彼氏がいないことを(実際は生まれてから一度もいないけど)可哀想がられると私って可哀想なのかなと思ってしまいます。

私はこれから先も無理に恋愛することはないだろうけど人を恋愛的に好きになるってどういうことなのか知ってみたいです。友達は「綺麗なものがあった時に1番に見せたいと思うこと」と言っていて、私は友人関係でも当てはまるのでそう思える相手と出会えたことが羨ましいなと思いました。紺さんが思う「恋愛的な好き」を教えていただきたいです。

”綺麗なものがあった時に1番に見せたいと思うこと”か〜〜。すごい。私は好きな人に対してそういうふうに思ったことがないかも。

私にとっての恋愛的な好きの定義はかなりダメダメで、他のどんな予定を差し置いても常にその人のことを最優先にするのが恋愛的に好きということです。私が一番恋愛脳だったのは大学生の頃ですが、子どもも仕事もなく身体も健康だった20代前半だからこそできたことだと思います。気楽な実家暮らしだったし、恋人のことを常に最優先にしても特に困ることもなかった。

付き合うということは、恋人を常に最優先にすることを周囲がある程度承認してくれることなのかなと思います。あの子は彼氏のことが大好きだから俺と会ってくれないのは仕方ないよね、とか、あたしの方が彼のことずっと前から好きだったけど、クリスマスイブに彼女に会うのは仕方ないね、みたいな。

私は付き合う、と恋愛、にはだいぶ距離があると思う。付き合う、には周囲の承認がついてくるけど、恋愛、は勝手に1人で狂っている状態です(※個人の見解です)。恋愛するには両思いである必要もないし、相手が実在している必要すらない。コントロールの効かない暴走車両の状態が恋愛だと私は思っています。

付き合いたい、には周囲の承認を得たい、という欲望が含まれていると思う。恋人と名のつく関係になって、お互いを最優先にするゲームをやりたい。こういうのは永遠には続かないので、恋愛は基本的にただのゲームです。でも夢中になれるしみんなやっている流行りのゲームだから、かなり長く楽しむことができる。

質問をくれた方は大学生だから、みんな恋愛の話ばっかりしてますよね(大学生に対する偏見、失礼します)。これは流行りのゲームについてみんなで話しているような状態なので、ゲームをプレイしていないあなたが取り残されたような気持ちになるのは理解できます。

冒頭にも書いたけれど、私は好きな人に対して”綺麗なものを1番に見せたい”と思ったことはありません。自分が良いと感じたことを誰かに肯定してもらいたいと思うような感情が私には欠けていて、そのせいで他人に綺麗なものを1番に見せたいと思うこともない。自分が綺麗だと思えばそれで満足してしまうんですよね。

その代わり、私は好きな人と色々な場所に一緒に行きたいし、同じ絵を眺めてみたいとは思う。好きな人が、私と同じものを見てどんな反応を見せるのか知りたい。見せるのは必ずしも綺麗なものじゃなくても構わなくて、歓喜も嫌悪も全て、好きな人が見せる反応を余すところなく知りたいと私は思います。

これは恋愛に限らず、友情も同じです。私は友人が極めて少ない人間ですが、友人として選ぶのは何かを見た時の反応が気になる人です。自分と同じ価値観である必要はなく、そばで見ていて反応が面白いなと思える人が私は好きです。

友情も愛情も、個人に対する特別な感情は、周囲の承認とは無関係だと私は思います。そしてそう思えるような人とは、35年生きてきて片手に収まる程度しか出逢っていません。

21歳のあなたが、今後そういう人に出会う可能性もあると思う。だから、勉学なり仕事なり趣味なりで、色々な人に会ってみると可能性が拡がるのではと思います。
矛盾するようですが、必ずしも恋愛や友情を媒介にして特別な人に出会う必要はないと私は思っている。相手が生身の人間じゃなくても、”この人は特別だ”と思えるような体験はたくさんあります。”この人だ”と思う瞬間は、その人が本の中にいようと、もう死んでいようと、地球の裏側にいようと、必ずそうだと分かるものです。

21歳のあなたが今後どんな特別に出会うのか、もし電撃に打たれたように”これだ!!”と思ったらまたお便りをくださいね。私はそういうのを読むのが大好きだから。

今日の回答は以上。みんなが思っていることを送ってきてくれるので、私は毎晩寝る前にそれを読んで色々なことを考えながら眠っています。回答不要の質問もそうでないものも、全部読んでいます。ありがとうね。


Big Love…