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理不尽さに直面するたびに

風邪をひきました。こんばんは、木曜日の更新です。

子どもと暮らし始めてから体感月1で風邪引いてる気がする。その度に喘息が悪化してめちゃくちゃな咳が出る。助けて〜。

体調が微妙だが質問に答えるぞ。

私の母は邪悪な人です。
10年ほど前までは幾度も衝突し、心から血がドバァと出ているのを感じるくらい悲しく悔しい思いをしたことが何度もあります。 私にも邪悪さが脈々と受け継がれているのを感じる時があります。 この自分と向き合うことができず苦しいです。
気持ちが優しく明るい夫と二人暮らしをして、元の家族から離れ通常は穏やかに生活していますが、時折むしゃくしゃして夫をコントロールしたくなります。 少しして落ち着くと本当に落ち込みます。今がそうです。
私妊娠しているかもしれないんです。 まだ心音が確認できてないんですが、胎嚢はありました。 もし産まれたら母のようになりたくないです。 でも人はしてもらったことしかできない気がして、そうやって自分で自分を呪ってしまっています。
同僚が産休に入る時、里帰り出産するとなんの迷いもなく言っているのを見てびっくりしてしまいました。でも普通そうなんですよね。私にとって親は困った時頼れる人ではなくて、むしろそういう時こそ追い詰めてくるような人なので、一瞬で私と同僚の間に線が引かれたように思えてまた苦しくなりました。たまたまその時可視化されただけで、元々線はあちこちに引かれていることをわからせられたような。
一生こうなんでしょうか?愛されたかった自分をどう慰めればいいのかわかりません。 とりとめが本当になくなってしまいました。 妊娠していること初めて言いました。 お返事なくても読んでくれてるんだろうなって思ってますので大丈夫です

この質問をいただいたのはちょっと前なんですけど、思わず何度も読んでしまった。文章の感じがかなり好みだったから。

”私の母は邪悪な人です”という出だしから痺れました。
母親との関係はおそらく悪いものと思われますが、”邪悪”という言葉を使って切り捨てることができている時点で、だいぶ母親の呪縛からは解き放たれている気がします。母親に支配されていると、母親を批判することすらできないから…。

今は気持ちが優しく明るい夫さんと暮らして、母親とは離れているんですね。素晴らしい。でも、妊娠や出産、育児を契機にどうしても親と直接関わったり、親について考えなければいけないタイミングが増えることをもしかすると不安に感じていらっしゃるのかなと思いました。勝手な想像なので全然違っていたらすみません。

私自身、親との関係が良好かと問われると言葉を濁してしまうような複雑な感情があり、特に出産前後はその傾向が顕著で、里帰り出産は選択肢にすら挙がらず、産後1年以内に母親が私の家に足を踏み入れたのは多分3回もなかったと思います。

困ったときに親に頼ろうと自然に思えないことって、どうしたって引け目ですよね。テレビのCMとかを観ていると親子関係って基本的に良好なものとして描かれているし、親と子は助け合うのが当たり前という空気が蔓延しています。私も10代から20代の頃、散々このことで悩みました。自分だけがおかしいんじゃないかと悩んでいたし、親との関係について相談できる人もいなかった。お前はおかしいと、後ろ指を指されるのが怖かった気がします。

どういう経緯でそうなったかは忘れてしまったのですが、私には親との関係について話せる友人が一人だけいます。その子も、親との関係に複雑なものを抱えています。親とのやり取りで”うわぁ…”と思うようなことがあると、お互いにLINEをしたりして話をします。親とうまく行かない部分があることが大前提だから、話をするのがものすごく楽です。

里帰り出産が当然という雰囲気の同僚と接したとき、びっくりしたのよく分かります。自分がおかしいんだって(実際は別におかしくはないのですが)思い知らされる瞬間は何度経験しても嫌なものです。

でも、黙っているだけで、びっくりしてるのはあなただけじゃないと思う。大多数の常識から外れるような要素が自分にあるとき、大抵の人は黙っています。同僚との間に線が引かれてしまったのは寂しいけれど、線のこちら側には案外同類がたくさんいるんじゃないかな。もちろん私と私の友人も、あなたと同じ側にいます。

母には良いところも悪いところもありました。邪悪と言い切れないあたり、質問をくださった方の方が精神的に自立しているなと思います。

実家から出てしばらく経つので、母の悪いところに関する記憶も薄れつつあります。でもやっぱり、思春期につけられた傷は完全には忘れられないから、記憶が薄れてもたまに取り出してはしげしげと眺め、”あの時、やっぱりめっちゃ嫌だったな”と思ったりしています。

親として、母と同じ轍を踏むまいと誓う気持ちと同じくらい、母に何が起きていたのか知りたいという気持ちも自分の中にはある気がします。
家庭ってあったかくて素敵なものとして描かれがちだけど、そんなことないですよ。4人くらいの年齢も性別もバラバラの人間が集まってできた、外部からの監視機構のないやべえ密室、それが家庭です。
親は子どもを経済的に支配しているからどうしたって優位に立ちがちだし、子どもは支配されているから十分に抵抗することは不可能です。そういう異常な場で20年近く子どもを育てることって、少なからず親を狂わせるんだろうなと思います。

かつて母の中で何が起きていたのか、答えが欲しい。子どもを育てようと思ったきっかけはもちろんそれだけではないけれど、親になってからずっと考えていることではあります。

私が求めている答えが死ぬまでに与えられるとは限らないんですが、それでも自分の中に問いを持ち続けることが大事な気がします。親の愛情の多寡に限らず、人生は理不尽な不幸だらけです。理不尽に直面するたびに、自分だけの問いが立ちます。生まれてきたからには、一つでも多くの答えが欲しい。問いを持って挑み続ける姿勢が、質問をくださった方の慰めになりますように。

風邪を引いているので今夜はここまで!
引き続き質問を募集しています。あなたの人生を私に見せてね。


Big Love…