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ファンタビ3ネタバレ感想

●現在劇場公開中の映画、『ファンタスティックビーストとダンブルドアの秘密』に関する盛大なネタバレが含まれます●


ファンタビ3を観てきました…約5年ぶりの日比谷のTOHOシネマズで…。1、2共にNetflixで前日に鑑賞してから臨みました。私は1の物語のつくりがすごく好きで、2は1と比べてダークな雰囲気で1ほどは好きになれないなと思いながら劇場に足を運んだのですが…

ファンタビ3、めちゃくちゃ良かったです。

序盤からアルバスとグリンデルバルドの濃厚な関係を見せつけられて、おおっとのけぞったりしたんですが、ファンタビ3は徹頭徹尾アルバス・ダンブルドアのための物語でしたね。主人公はニュートなんですが、完全にアルバスのための物語でした。
ニュートの活躍や恋愛模様を期待して観に行ったファンはがっかりしないかな?と勝手に心配になってしまった。タイトルが『ダンブルドアの秘密』だから仕方ないか。

ニュートが活躍するシーンはコミカルなシーンもシリアスなシーンもどちらも良かったですね。兄テセウスと一緒に牢獄を脱出するシーンのニュートの奇怪な動きは忘れられそうにない…。あのサソリみたいな魔法生物が牢獄を管理してるの、すごく嫌な仕組みだったな。パノプティコンみたいな牢獄で少しでも音を立てると中央の洞穴から巨大な毒針が触手のように伸びてきて捕食され、死体がドーン!と投げ出される残酷さ、映像映えする良いシーンだったと思います。

私はハリーポッターシリーズのファンで、賢者の石が発売されて書店に平積みされてた頃からリアルタイムで読んできた世代なんですが、実は最終作である死の秘宝をいまだに読んでいません。
あまりに好きすぎて、シリーズが終わることが耐えられなくて最終作を残すことで未完のままにしたいという気持ちが強く、今も手元に置いたまま読まずにいます(愚かすぎますね)。

しかし、ファンタビ3を観て、アルバスとグリンデルバルドの結末をどうしても知りたくなり、私の中のハリーポッターシリーズを完結させねばという気持ちになりました。実家を出るときにハリーポッターシリーズの本は全て持ってきたので、早速賢者の石から読み返しています。

Googleで調べてみたら、死の秘宝は2007年に発売されたそうで、もう15年も頑なに読まずにいたんだなということに驚きました。15年も頑なだった心が、ファンタビ3を観た途端にするりと溶けて物語の結末を自分の目できちんと見届けたくなったわけで、今作はそれくらい衝撃の強い作品でした。

自分の中では、アルバス・ダンブルドアはお茶目な聖人というイメージだったんですが、ファンタビ3まで観た現在、かなり喰わせ者の爺さんだなという印象に変わりました。
死の秘宝を読んでもいない分際で色々考察するのは愚かだとは思うのですが、グリンデルバルドがあんなふうに悪の道に堕ちたのも、若き日のアルバスの奔放さが一因としてあったはずで、散々グリンデルバルドを振り回しておいて自分は身を引いたことに、正直、”こいつ、狡いな…”と思いました(そこが彼の魅力なのですが)。

クライマックス直前の二人の戦いで、明らかに未練を感じているのがグリンデルバルドだったのも、そしてそんな彼に背を向けてアルバスが去ったのも、切なかったですね。あんなふうに別れて、ハリーが生まれてグリンデルバルドが力を失って、アルバスはどんな感情を抱えてその後のヴォルデモートとの戦いに挑んでいたんだろうと思うと、シリーズを最初から読み返さなくては…という気持ちになりました。
アルバスは聖人君子のお茶目爺さんだと思ってハリーポッターシリーズを読んでいたのに、数十年越しに”実はそうじゃありませんでした〜♪”って言われるのすごいな。後付けとかじゃなく最初からファンタビシリーズで描かれたことを下敷きにして書いていたであろうこともすごい。

先日『シン・ウルトラマン』を観に行った時に、特撮に関する知識が不十分だったせいで楽しみきれなかったというnoteを書いたのですが、ファンタビはハリーポッターシリーズを愛する者に向けた作品という感じで、ストーリーにやや粗はあるものの、数十年越しに明かされる秘密があまりに多すぎて(私の中では)粗もどこかに飛びました。

感動でいっぱいになりながら日比谷を後にしたのですが、帰り道の電車の中でラストシーンを反芻していたら、ハッと気づいたことがありました。
今作はジェイコブとクイニーの幸せな結婚でハッピーエンドを迎えるのですが、私個人としては闇の陣営についていたクイニーがあまりに簡単に許されすぎではないか?(姉は闇祓いなのに)ということが引っ掛かっていました。結婚という分かりやすいハッピーエンドを見せる必要があったんだろうか…と考えていたのですが、これはアルバスの運命と対比させるための描写だったんですね…。

愛する相手が闇に堕ちて、手を離さなければならなかったアルバスと、それでもクイニーの手を強く引いて赦したジェイコブの対比だったんだ、だからアルバスはラストシーンで祝いの場に決して足を踏み入れなかったんだと帰り道の電車の中で気づいて、ウワーーーッと叫びたくなりました。
劇場で鑑賞中の解釈としては、決して自分には手に入らなかったであろう幸福から足を遠ざける切ないシーン、だったのですが、そうじゃなかったんだ…。同じように愛する相手がいて、相手は闇に堕ちて、それでも強く手を引けるかどうか、そういう強烈な対比だったんだなと観賞後に気づいて、ああ…とため息が出ました。

ジェイコブのこと、アルバスがやたらと”でっかい心の持ち主だ”みたいな褒め方をしていたのにも理由があったんだな…。自分がそうじゃないから、グリンデルバルドの手を引くことは決してできなかったから、ああいう台詞が出たんだと気づいて、ファンタビ3はアルバスのための映画だったなあと本当にしみじみしました。

それにしても、ファンタビ1はスキャマンダー先生とファンタスティックビーストの楽しい珍道中だったのに、ファンタビ3はだいぶ政治的な要素も絡んで物語が複雑になっていて、面白かったんですが、ファンタビ1みたいな珍道中もまた観たいなと思う次第です。スキャマンダー先生のファンなので…。

Big Love…