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輪廻する宇宙(2)

横山順一著『輪廻する宇宙』の構成は下記の通りです。今回は第一章を描きます。

  • 序章 輪廻転生とは何か 転生者の捜索と科学の方法

  • 第一章 宇宙の中味をさぐる

  • 第二章 宇宙観の変遷 偏見からの解放

  • 第三章 加速膨張宇宙の謎

  • 第四章 ダークエネルギーの正体

  • 第五章 宇宙のはじまり

  • 第六章 宇宙の将来

  • 終章 ダライ・ラマとの邂逅

第一章 宇宙の中味をさぐる①
わたしたちはどこから来たのか

わたしたちが目にする自然のさまざまなものがもとをたどると何でできているかを知りたいという欲求は、わたしたちがどこから来たのか、という問いと同じく人類の根源的な欲求の一つである。

物質世界には、金銀、鉄、炭素、炭素、窒素などの様々な元素が存在しているが、これらの間に起こる反応を研究し、様々な化合物の性質を調べるのが化学である。しかし、どんなに化学反応を究めても、ある元素から別の種類の元素を作ることはできない。

何故なら、化学反応は原子の周りの電子によって支配されており、原子の中心にある原子核の性質を変えることができないからである。

宇宙にある多種多様の元素は、いつどこでできたものであろうか?

それを調べる手がかりとして、宇宙にある元素がどれだけあるか、見てみることにする。

宇宙の元素組成
現在の宇宙の元素組成を原子番号の順に相対的な日率は下図1-1のようになる。

横山順一. 輪廻する宇宙 ダークエネルギーに満ちた宇宙の将来 (ブルーバックス) (p.27). 講談社. Kindle 版.

縦軸 は、 一目 盛り上がる ごと に 実際 の 数値 は 一桁 上がる、 という 対数 目盛 なので、 宇宙に存在する元素量としては、水素が圧倒的に多く、ヘリウムがそれに続き、その二つで約98%以上占めていることが分かる。

炭素、酸素、ネオン、マグネシウム、ケイ素、硫酸などの、4N核は、原子核内部に陽子と中性子を同じ数、しかも偶数個含んでいるので、ヘリウム4を何個か集めて来たのと同じ組成をもっていることがわかる。したがって、ヘリウムを原料にして生成されたのではないか、という仮説が立てられる。

そして、重い元素の中では鉄の存在が突出して多いのは、鉄は核子1個あたりのエネルギーが最低であるもっとも安定な元素である、という原子核物理の事実を突きつけている。

元素はどこからできたか
このような元素は太陽をはじめとする恒星の中の熱核反応によって生成される。

太陽をはじめとする恒星の出すエネルギーのもとは、主として水素原子の使ってヘリウムを作る反応である。

恒星の進化
太陽は核融合反応によって水素からヘリウムを作り続けている。生成されるヘリウム1個の質量は原料となる水素原子4個の質量より1%弱小さいので、それに対応したエネルギーがこの核融合によって放出されることになる。恒星はそれによって明るく輝いているのである。

恒星は、中心の周りで水素を燃焼し尽くすと、ヘリウムの芯(コア)と水素の外層の二重構造になる。ヘリウムコアはだんだん収縮していくが、外層部は逆に大きくなり、赤色巨星と呼ばれる状態になる。



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