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カール・マルクス 著『資本論 』(81)  読書メモ

第二巻 資本の流通過程
 第一篇 資本の諸変化とそれらの循環
  第六章 流通費
   第一節 純粋な流通費
    一 売買期間
商品 から 貨幣 へ および 貨幣 から商品への資本の形態転化は、同時に資本家の取引であり、売買行為である。資本のこの形態転化が行われる期間は、主観的には、資本家の立場からすれば、販売期間と購買期間、すなわち、彼が市場で売り手および買い手として機能する期間である。

資本の流通期間がその再生産期間の必要な一節をなすのと同様に、資本家が売買し、市場を徘徊する期間は、彼が資本家として、すなわち人格化された資本として機能する期間の必要な一節をなす。それは彼の営業期間の部分をなすのである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 4 (岩波文庫) (Kindle の位置No.3660). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

この 売買 担当 者 は、 自分 の 労働を売る人であると仮定しよう。彼はこのWーGとGーWという仕事で、自分の労働時間とを支出する。したがって、彼はこの仕事によって生活すること、他の者が、たとえば紡績や丸薬製造によって生活するのと同様である。

彼が一つの必要な機能を行うのは、再生産過程そのものが、不生産的な諸機能を含んでいるからである。彼は他の者と同じ労働をするが、彼の労働の内容は、価値も生産物も作り出さない。彼自身が生産の空費に属する。(中略)

彼の効用は、社会の労働力と労働時間との比較的小さい部分が、この不生産的な機能に拘束されるということにある。それだけではない。彼は、比較的高給であるにしても、単なる賃金労働者であると仮定しよう。

彼の給料がどうであろうと、賃金労働者としては、彼は彼の時間の一部を無償で労働する。おそらく彼は、日々8労働時間の価値生産物を受取って、10時間働くであろう。彼のなす2時間の剰余労働は、彼の8時時間の必要労働と同様に、価値を生産しない、もっとも、この必要労働時間を介して、社会的生産物の一部分が彼の手に移されるのではあるが。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 4 (岩波文庫) (Kindle の位置No.3731). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

この2時間 の 剰余労働 は、これを行う個人によって支出されるのであるのに、社会はこれに支払わない。社会は、これによって、余分の生産物も価値も獲得しない。しかし、彼の代表する流通費は、10時間から8時間に、5分の1だけ減少する。彼によって担当される、この積極的流通期間の5分の1にたいしては、社会は等価を払わない。

しかし、この担当者を使用する者が資本家であるとすれば、2時間の不払いによって、彼の収入からの一控除をなす彼の資本の流通費は、減少する。彼にとっては、これは一つの積極的利益である。彼の資本の価値増殖の消極的制限が、小さくなるからである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 4 (岩波文庫) (Kindle の位置No.3747). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

小さな 独立 商品生産 者 が、彼ら自身の時間の一部を売買に支出するかぎりでは、この部分は、彼らの生産的機能の合い間に支出される時間として、または彼らの生産期間中の中断として、表示されるにすぎない。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 4 (岩波文庫) (Kindle の位置No.3752). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

(投稿者追記:大きな規模となり)彼 の 事業 の 大き さが、彼自身の流通担当者を賃金労働者として買う(雇う)ことを彼に強要するか、または可能にするばあいにも、この現象は実質的には変わらない。

彼の労働力と労働時間とは、ある程度までは流通過程(単なる形態転化であるかぎりの)で支出されねばならない。しかし、これがいまや追加的資本投下として現われる。

可変資本の一部が、この流通においてのみ機能する労働力の購入に投ぜられねばならない。この資本前貸は、生産者も価値を作り出せない。それは、前貸資本が生産的に機能する範囲をそれだけ縮小する。

それは、生産物の一部分が、その残余の部分を売買する機械に転化されたようものである。この機械は、生産物からの一控除を引起こす起こす。それは、流通で支出される労働力等を減じうるとはいえ、生産過程で働くのではない。それは単に流通費の一部をなすにすぎない。

【私見:私が、ある会社で、技術職を担当していたころは、われわれが、直接に、生産活動をして、他の営業、経理などの間接部門の人たちを、支えているのだという、驕りがあった。

ところが、転職して、介護界で、間接業務を担当するようになると、実際に現場で、介護実務を担当している人たちから受ける、まなざしは、かって、私が、間接業務を担当していた人たちに向けていたまなざしと同様のものを感じ取れた。

仕事というものは、それぞれの役割分担で行うものであり、担当した仕事には優劣はないのだ、ということを、マルクスは言っているのだろうか?】
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 4 (岩波文庫) (Kindle の位置No.3758). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

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