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『時間は逆戻りするのか 宇宙から量子まで、可能性のすべて』高水裕一(著)


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【所感:理学博士が「古代の宇宙人」を観ていると知って、心強いです。家族には、この番組を観ていると、宇宙人の存在を信じるような怪しい人と白い眼でみられるため、いつもコソコソと、身を縮めて観ているので...】

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【所感:物理科学の分野は、科学の最先端を走っているが、こうして、わからないものがあると、正直に述べているので、好感がもてる。ダークマターとか、ダークエネルギーという名称も、ふざけているわけではなくて、物理科学の正式名ということですから驚きます。】


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【所感:気、気功術とかは、直観的に宇宙のエネルギーなのではと考えてしまう。実際に、手かざしによる、治療法も、医学界では、正式なものとして採用されている。ダークエネルギーの正体は、気だったと実証される時がくる可能性もあるわけです。】


電磁気力 の 場合 は「 繰り込み」 と いっ て、 問題 をより ミクロ な 世界 に 押しつける、「 しわ寄せ」 とも 思える 方法 によって、 ピンチ を 切り抜けることができました。(中略)だっ たら 重力 でも「 繰り込み」 を 使え ば よさ そう な もの です が ─ ─ 残念 ながら 重力 の 場合 は、 自然界 の 最も 基本 と なる 空間 や 時間、すなわち 時空 を 相手 に する 力 なので、 もう ほか に 押しつけ られる ところ が ない の です。 ここ に 量子 重力 理論 の 難し さが あり ます

【所感:朝永振一郎氏が、この「繰り込み」理論でノーベル賞を受賞しました。素粒子の発見で、暗礁に乗り上げていた問題を、とりあえず先延ばしにするというのは、およそ理論物理学らしくなく、まるで政府の政策そのものように思えますが、さにあらず、ノーベル賞受賞につながるほどの大発明になるのです。】


ループ量子重力理論が 予言 する 時空 の ネットワーク では、「 スピン」 と 呼ば れる 素粒子 の 回転 の 方向 が 重要 な 意味 を もち ます。 そこで、 この ネットワークは しばしば「 スピン ネットワーク」 とも 呼ば れ ます。 そして スピン ネットワーク には、 重力 を 表す「 輪っか」 が あり ます。 それ を「ループ」 と 呼ぶ こと が、 理論 の 名 の 由来 と なっ て い ます( 図 7‐3)。ループ 量子 重力 理論 とは、 この よう に 時空 を 離散 的 に 扱う こと で、 空間 や 時間 には それ 以上 は 分割 でき ない 最小 単位 が ある こと を 示す理論です。

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プランク 時間 は、 光子 が プランク 長 だけ 進む のに 要する 時間 と 定義 さ れ て い て、 それ は 10 の マイナス 44 乗 秒 という 桁 数 です。 (中略)時空 を 量子化 する と、 空間 は プランク 長 に、 時間 は プランク 時間 に なる と ロヴェッリ は 考えています。

【所感:空間は、プランク長さ以下には、分割不可と言われているので、時間の場合は、プランク時間以下は、無となるのですか。】

重力場 とは、 重力 を 伝える 時空 に ほかなり ませ ん ので、 空間 も 時間 も、 素粒子 で でき て いる という わけ です。 これ が、 ロヴェッリ が 考え た 時空 の 量子化 です。

【所感:哲学的には、時間とは何かは、永遠に解けない問いと考えられています。しかし、ループ量子重力理論では、空間も時間も、素粒子と見なすのですから、かなり大胆な仮説です。プランク長さと、プランク時間以下の世界は、測定は不可能でも、確実に存在しているのですから、いったいどうなっているのかと妄想がふくらむ。】


2001 年 に スタインハート と トゥロック が 提唱 し た「 サイ クリック 宇宙」 は、 宇宙 には そもそも 時間 的 な 起点 などは なく、 収縮➡衝突(ビッグバン)➡膨張➡収縮➡・・・・・というサイクルを何度も繰り返しているという奇抜なモデルです。(図8-5)

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太陽からの光エネルギーは、地球では、まず植物が光合成によって利用します。次にその植物を、動物が食べて体内に取り込み、身体やエネルギーをつくります。こうした一連の営みによって、動植物はみずからの身体に、「負のエントロピー」を摂取しています。あるいは、植物が太陽のエネルギーから変換した酸素を、動物が呼吸して体内に取り込むことによっても、負のエントロピーを摂取したことになります。


私たちは食べ物から負のエントロピーを摂取し、それをもとにエネルギーを代謝して活動して、生物の特徴である恒常性=ホメオスタシスを保っていると考えてよさそうです。

生物の場合は、便や汗といった排泄物が、秩序が乱れて散逸した正のエントロピーをもっています。体内にこれらを溜め込んでいるとエントロピーは増えてしまいますので、生物はつねに排出しています。その量は膨大なものです。


生物のこうしたエントロピーの出し入れが終わるのは、死を迎えたときです。生命活動が停止し、物質と同じ状態に戻ることで初めて、身体は朽ちて、エントロピーは増大という「時間の矢」にしたがうようになるのです。

【所感:屋久杉の樹齢は7200年という説があるほど桁外れに長いが、植物の場合は、栄養源は太陽からの光エネルギーにあるので、ほとんど負のエントロピーのみであり、エントロピーの増大という「時間の矢」にはしたがわなくてすんだ結果、朽ち果てるまでの時間は長くなるわけですか。】


宇宙の構造ができた原因を、それを観測した知的生命(いちおう人間とされています)に求める考え方を、「人間原理」といいます。あらかじめ言うと、これがはたして科学といえるのか、もはやわからなくなってくる話なのですが、物理学者の間では大真面目に議論されています。それも元はといえば、量子力学があまりにもぶっ飛んでいるからです。


この宇宙の構造が、知的生命の観測によってできるとすれば、この宇宙は知的生命が存在できるような宇宙でなければなりません。つまり、宇宙は知的生命を生みだすための条件が整うよう調整されているというのが、人間原理というアイデアの根本です。


宇宙の加速膨張の時間が長すぎず、短かすぎずに宇宙の構造が安定し、星と惑星ができるまでに、生命が生まれるのにちょうどよい100憶年程度がかかり、そして生命もちょうどよいタイミングで生まれたので、それから40億年ほどで知的な存在へと脳を進化させ、宇宙を観測することができたーーー人間原理では、そのように考えるのです。


それにしても、人間原理は不可解です。というより、それをみちびいた量子力学、さらに自然そのものが不可解というべきなのでしょう。しかし、一方で私は、一見するといかがわしい非科学的な考えにも思われがちな人間原理は、じっさい深い真理をはらんでいるような気もするのです。実際のところ、この宇宙を観測できる存在は、まだ私たちしか知られていません。そのことのもつ意味は、やはり大きいと思います。

【所感:人間原理という発想がでてきて、しかも、真面目に論じられているというだから、人間らしいというか、ずいぶんと、非科学的なものに思えるが、物理科学は、確実に最先端を走り続けている。】



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